JEWEL BOX KDC!!

軽井沢学園を応援する会 会報 ストリートパズル30号より

KDCが長年応援している児童養護施設「軽井沢学園」。
その副園長先生のコラムがまた届きました。

困った時はお互い様、で、いつも連絡を取り合う仲。

今回はそんな「たかねっち」から、応援してくださったみなさんへのご挨拶です
紹介します!



‐園の庭をはきながら‐

30th Anniversary   ありがとうのキモチ


たかねっち☆
 
 この「ストリートパズル」もおかげさまで第30号を発行することが出来ました。平成22年「軽井沢学園を応援する会」の発足と同時に創刊した本誌を10年近く続けることが出来たのは、年3回の発行という少ない頻度であるにも関わらず、毎回楽しみにして下さる大勢の読者の皆様、そして、何よりもここで暮らす子どもたちのことを見守り応援してくださるサポート会員の皆様のおかげ以外の何者でもありません。この場を借りて改めて御礼申し上げます。
さて、今回は30号という節目を迎えるにあたり、応援する会発足の経緯や子どもたちへの支援の実際、私たちを陰で支えてくださる方々のことを振り返ってみようと思います。

今から10年前、それは一本の電話によって始まります。電話の相手は執筆の仕事をされている知り合いの女性Yさんです。私は単刀直入切り出しました。「軽井沢学園の広報誌を作りたいので力を貸してください!」
多くの社会福祉施設が発行している広報誌ですが、当時軽井沢学園にはそれがありませんでした。広報誌発行なんて余計な仕事、必要ないと思っていた私でしたが、ある児童養護施設の広報誌によって考えが一変しました。それは冊子の巻末に小さな文字で“寄付をお願いします”というたった1行の文章と振込先。「えっ、寄付ってこちらからお願いしてもいいものなんだ」
そもそも寄付とは「お金ください!」ということですから、それをこちら側からお願いするなんて図々しいし、嫌われるんじゃないかと思っていたものですから私自身清々堂々寄付を募るなど考えたこともありませんでした。
しかし、当時の学園は“無い袖は振れない”ことも多く、例えば運転免許取得費をはじめとする自立に係る様々な費用、進学なんてもってのほか。他にも地域活動や習い事の月謝、部活動に係る費用など国から頂く運営費の支出科目に含まれていないものは、諦めて我慢させることも多かったと思います。
このような状況を少しでも打開するための手段としての広報誌と考え、Yさんを頼ったのです。そして、その思いをYさんは真っすぐに受け止めて下さり、2つ返事で協力を約束してくれました。「でも、ありきたりの物じゃダメ!継続が大事、そのためには、こうして、ああして…」Yさんは自身の経験を生かしながら具体的な助言や提案をしてくれました。
こうして軽井沢学園を応援する会と会報誌ストリートパズルは動き始めたのです。知識も人脈も影響力も何も無い私でしたが、応援する会の初代会長兼編集長を引き受けて下さった彼女の抜群の行動力により、知り合い、そのまた知り合い、更にその知り合いといった感じで次第に広がりを見せ、短期間で色々なものが形になっていきました。
あの一本の電話から10年近くが経過しますが、気付けば延べにすると5,000人以上の方のご入会。本当に多くの方々に支えられ今日に至ります。地元はもとより北海道や九州など遠方の方も会員となって下さり、まさに全国規模の大応援団です。

これだけ大勢の方からのご支援によって今までできなかったこと、してあげられなかったことは数知れず。その最たるものは何といっても運転免許取得費でしょう。それまでは子ども自身のアルバイト代で賄うか諦めさせていましたが、公的援助と合わせ自己負担無しに取得させることが可能となりました。
進学についても、さすがに学費すべてを負担することはできませんが、オープンキャンパス参加や受験費用、それに係る交通宿泊費などの支援を行っています。近年、民間奨学金制度も随分と増えては来ていますが、借金を背負わずに進学できるようになるには程遠く、それは今後の課題です。
また、障がいを持った児童のグループホーム入居準備費用や、退所後の生活困窮者に対する無利子による生活資金貸付なども行っています。
他にも、新入学や進級、卒業のお祝い、退所児童を招いての食事会、各種地域活動への参加費用や園内の運動部で必要なスポーツ用具や備品、高校生部活動に係る費用は全て応援する会からの援助によって賄われています。昨年夏、一人の男児がサムライジャパンU12日本代表に選抜され左腕投手としてアジア大会に出場するという快挙を成し遂げた事は記憶に新しいところですし、書道教室に通っていた女児が全国の書道コンクールで金賞という栄誉をいただくこともありました。しかし、彼らのように表立って輝かしい結果を出さずとも子どもたち一人ひとりの挑戦したいことへの手助けが可能となっていることは事実です。

児童福祉法41条では「児童養護施設は自立を支援する施設」と明記されていますが、自立とは自らの人生を自らが選択できるようになることでもあると思います。その選択の機会や選択肢が増えたという意味では、応援する会の取り組みはお金には代えがたい大きな成果ではないかと思っています。
実際、お金以外での支援も応援する会の大きな特色です。真っ先にご紹介したいのは、発足当初から数年にわたって「軽井沢学園応援ライブ」というチャリティライブを開催し、現在進行形で広く宣伝や運営にも携わって下さるおやじバンド「カザンオールスターズ」の皆さん。そのメンバーでもある現会長Oさんと副会長のⅯさんは人手の足りないグループホームの宿直業務を手伝ってくれています。
他にも、退所後間もない若者が失業により路頭に迷っていることを知り、仕事や住居の世話をして下さった方、進学児童の居所を提供してくれた大家さん。職場体験させてくださる事業主さん。毎年2月には卒園する児童の激励という名目で、ご馳走をふるまって下さる飲食関係の方々など、この場で全てを上げることが出来ません。
また、子どものみならず私たち職員や施設運営に対する間接的なご支援もいただいています。難しいケースに対する法律相談や労務に関する相談。公用車や施設設備などの維持管理の困りごとに対しても親身に相談に乗ってくださいますし、佐久のグループホーム開所の折も会員の方々にはご尽力いただきました。様々な分野、その道のプロたちとの繋がりも私たち職員が子どもたちを支援するうえでの大きな助けとなっています。物心両面でのご支援に感謝いたします。

今日は連休の最終日。もうすぐ夏休みだというのに今年は特に降ったりやんだりすっきりしない天気が続きます。厚い雲によってどんより薄暗い廊下の掲示板には「かるがく屋台村まであと20日!!」と蛍光ペンで書かれた紙が貼られています。子どもが書いたものでしょう。“かるがく屋台村”とは日頃からお世話になっている方々をお招きし、園庭で子どもたちが焼きそば、焼き鳥、かき氷などの屋台を出店してお客様をもてなすという年に一度のイベントです。
来月8月3日に控えた屋台村に向け、下校後や休日には子どもと職員がそれぞれの役割分担のもと準備を進めます。「唐揚げフライドポテト」とか「冷やし中華始めました!」など、各々が考えた段ボール製の看板を作る小学男児、会場の草むしりや石拾いをする女の子。お客さんの座るテーブルを設置するため、鎌やスコップを使って藪を開墾、地面を平らに固める中高生男児たち。職員と一緒に本当に良く働きます。決して強制ではなく、ありがとうの気持ちを伝えたいという屋台村の趣旨を理解した子どもたちが率先し、そして、楽しみながら行ってくれているのです。無論、作業の後のご褒美アイスも頑張る目的の一つではありますが。今年はどんな店が出るのか今から楽しみです。

応援する会発足からもうじき10年、このストリートパズルも30号を数えます。これまで数えきれないくらいの人たちからの温かい気持ちを受け取ってきました。一言では言い表せぬ「ありがとうのキモチ」皆さんにどう伝えればよいか迷いますが、間違いなく言えることは皆さんの期待に応え、子どもたちをしっかりと育て、社会へ送り出すことではないでしょうか。

終わりに、ストリートパズルってどんな意味?と、会員さんからたまに聞かれます。命名は編集長のYさんですが、Yさんは言いました。私たちの暮らすこの世界は、人々がジグソーパズルのピースのようにつながりあって形成されている。施設の子どもも、わたしも同じ1ピース。その一片一片、一人ひとりがしっかりとつながりあってこそ素敵な絵が完成する。社会もこれと同じ。だから他人事って思って欲しくない。そんな思いで命名したそうです。今後とも軽井沢学園をどうぞよろしくお願いします。                        おわり
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