金田博美

「祖父に逢いに行く」フィリピン慰霊巡拝団に参加して
www.amazon.co.jp/dp/4434286900

自費出版「祖父に逢いに行く」本文より一部抜粋

2021-07-03 12:30:07 | Weblog
自費出版本「祖父に逢いに行く」より一部分を抜粋しましたので、読んでみた良かったらネツトで「祖父に逢いに行く」または「金田博美」と検索をお願いいたします。Amazonでは翌日配送に対応しております。

一部抜粋
【86頁】慌ただしくバスから祭壇や供物を運び出し、現地慰霊祭の準備をする。私も持参してきた祖父の写真や、靖国神社参拝時に頂いたお神酒や供物を供える。祖父が戦い、そして戦死した山に囲まれた悲しいほどの静寂の中で、七五年間待ち続けてくれた祖父へ手紙を広げる。

【90頁】私の夢の中で、激しい雨が降っている。
ジャングルの密集した木々の間を抜け、倒れた兵隊を雨はたたき土に埋める。
雨は兵隊の休む場所を奪い、命を維持するための体温を容赦なく奪い去る。
冷たい雨で手足がしびれ体が震え、思考は停止しているが容赦しない。
雨は傷病兵の微かな呼吸の間隔を、知らぬ間に永遠へと遠ざける。

【94頁】祖父はどのような気持ちでこの写真を見ていただろうか。自分の事よりも家族の事を案じていたに違いないと思った。残してきた子供や妻、母の事を戦場の中で案じていた事だろうと思った。ひとりひとりの顔を見てひとりひとりの事を戦死する瞬間まで案じていた事だろう。
合同追悼式が開始され、遺児代表あいさつの時には、雨はやさしく柔らかな雨に変わっていた。
 定価1100円(税込み)。インターネット通販「アマゾン」などで販売している。

「祖父に逢いに行く」
フィリピン慰霊巡拝団に参加して
書籍(税込)1,100円
www.amazon.co.jp/dp/4434286900


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自費出版本「祖父に逢いに行く」より一部抜粋

2021-07-03 12:22:59 | Weblog
自費出版本「祖父に逢いに行く」より一部分を抜粋しましたので、読んでみた良かったらネツトで「祖父に逢いに行く」または「金田博美」と検索をお願いいたします。Amazonでは翌日配送に対応しております。
本文より一部抜粋・・

【69頁】海没された海峡の方向を方位磁石で確かめ、祭壇を作り追悼式を行うが海風が強く難儀する。花と日本酒を海へ手向(たむ)ける。手向けた花は私たちから離れ難いのか波に押し返され戻ってくる。
この海の底に眠る多くの無念の魂へ、この海は故国(ここく)へ故郷の山河へと続いている。心安らかにと心から願う。

【74頁】オリオン峠着。戦地では峠は敵を迎え撃つ拠点になり、兵隊には死守する命令が下される。当時の戦況下で死守とは文字通り「死んでも守る」兵隊の死ぬ場所を意味する。自分の死ぬ場所は此処なのだと思い、兵士はこの景色の中で戦いと死の準備をしていたのだろう。フィリピン北部から南下してきた敵との戦いで、多くの戦死者や戦病死者を出した峠であり、付近では今もなお日本兵と思われる人骨やヘルメットなどが出土するという。


【76頁】南下してバレテ峠へ向かい現地追悼式を行う。陽が高くなるにつれて影は短く、そして強くなる。バレテ峠はルソン島の中央に位置し、北上する敵をくい止める重要な拠点である。ここでも峠を守るために多くの兵隊の戦死により、故郷への帰還を果たせない無念の魂が眠る峠となった。
慰霊碑は今もなお、攻め登って来る敵を見下ろすかのように、風を受け立っている。


定価1100円(税込み)。インターネット通販「アマゾン」などで販売している。

「祖父に逢いに行く」
フィリピン慰霊巡拝団に参加して
書籍(税込)1,100円
www.amazon.co.jp/dp/4434286900

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自費出版本「祖父に逢いに行く」より一部抜粋

2021-07-03 12:12:01 | Weblog
自費出版本「祖父に逢いに行く」より一部分を抜粋しましたので、読んでみた良かったらネツトで「祖父に逢いに行く」または「金田博美」と検索をお願いいたします。Amazonでは翌日配送に対応しております。

本文より一部抜粋・・

【59頁】出発日(二〇二〇年二月)の一か月前にはルソン島にあるタール火山で突然の噴火があり、噴煙は一五〇〇メートルにも達した。その後火山活動は終息したが噴火による降灰は、マニラ都市部も含め都市機能の一部に制限をもたらし、私たち慰霊団の利用する予定のニイノ・アキノ国際空港は火山灰の影響で一時閉鎖された。
また、年初より新型コロナウイルス感染が全世界に拡散する兆候をみせ、慰霊巡拝出発月の二月には、横浜港に接岸したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号から、乗員乗客の新型コロナウイルス集団感染が懸念されていた。

【64頁】片側の窓から射し込む陽の光は、機内の反対側に同じ数の白い窓の形を描き、機体の動きに伴い上下左右にゆっくりと移動している。窓から見える市街地は少し斜めになっている。しばらくしてエンジン音は落ち着き、高度を維持したまま飛行を続け、窓から見える緑の大地と青い空との境界線は水平になっていた。
飛行機の窓から見ると、全てを覆いつくすかのように広がる熱帯のジャングルの樹木は、無念の死を遂げた多くの人々が両手を上げて、上空を飛んでいる私たちに向かって叫んでいるように感じる。置き去りにされた人々を樹木の根が貫き縛る。ここに見えるジャングルに多くの人々が残されている。

定価1100円(税込み)。インターネット通販「アマゾン」などで販売している。

「祖父に逢いに行く」
フィリピン慰霊巡拝団に参加して
書籍(税込)1,100円
www.amazon.co.jp/dp/4434286900


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自費出版「祖父に逢いに行く」フィリピン慰霊巡拝団に参加して

2021-07-03 12:05:56 | Weblog
本の一部を抜粋しましたので、よろしかったらAmazonや書店にてご注文を頂けたら幸いです。

目次
一、戦争の記憶を紡ぐ
二、フィリピン慰霊巡拝団申申込
三、なぜこの少年が戦死しなければいけないのか
四、戦場ヶ原公園・忠霊塔
五、戦没者・戦災殉難者合同追悼式
六、故郷の神社(豊神社)
七、祖父の葬儀
八、勲八等白色桐葉章
九、戸籍謄本・過去帳・墓石
一〇、死亡者生死不明者原簿
一一、臨時陸軍軍人(軍属)届
十二、兵籍簿
一三、NGO
一四、個人調査票
一五、『巡拝と留魂』
一六、小林兵団阪東隊
一七、祖父について
一八、フィリピン慰霊巡拝出発
一九、フィリピン慰霊初日
二〇、フィリピン北部慰霊(ツゲガラオとバシー海峡慰霊) 
二一、フィリピン中部慰霊(オリオン峠とバレッテ峠)
二二、フィリピン南部慰霊・祖父の現地追悼(ラムット川とモンタルバン)
二三、祖父への手紙
二四、戦没者合同追悼式
二五、祖父の戦歴
二六、家族

本文より抜粋
【10頁】戦死した祖父操は、特別な武勲(ぶくん)をあげたわけではなく、上位の階級でもない。戦地からの手紙や遺書は無く、骨壺の中には何も入っていない。
だが、戦後七五年が経ち振り返ってみると、時間の風雪は過酷だ。戦争を知らない世代は令和産まれも七五歳の人も同じであり、昭和、平成、令和と歩んできた戦争を知る世代は高齢化が進み、戦後を知らない世代は日本の総人口の八割を超えている。私も祖父について知っている事は、僅かな写真とフィリピンで戦死したという事だけだった。
【17頁】姉弟で緊張して写真に写っているこの少年は、三七歳で召集され、三八歳の五月に日本から遠く離れた南の島で戦死する事を知らない。


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2021年6月30日山口新聞朝刊一面の「四季風」で自費出版本が紹介されました。

2021-07-03 11:35:20 | Weblog
2021年6月30日山口新聞四季風
1944年下関から出征し、翌年激戦の地フィリピン・ルソン島で38歳で戦死した兵士がいた。「たまたまその時代に生まれ、自分の意志とは関係なく派兵された」若者の一人だ。どのような思いで出征し、無念の死を遂げたのか。遺影でしか知らない彼を今年63歳になる孫が少しでも祖父に近づきたい」と足跡をたどり『祖父に逢いに行く』を出版した。著者は下関市で農業を営む金田博美さん。戦争の記憶が薄れゆく中、「私が祖父の事を調べる最後の世代であり、調べないと祖父が生きていたことの全てが消えてしまう」との思いにかられた。戸籍謄本に始まり、役所に残る兵籍簿、臨時陸軍軍人届、菩提寺の過去帳・・。資料を一つ一つ調べる過程で、祖父の人物像とともに帰りを待つ家族の心情も明らかになっていった。昨年2月、厚労省の戦没者慰霊巡拝でルソン島を訪れた。祖父が最後に見た場所に建ち、むせるような森の匂いに包まれ最後の思いに寄り添った。慰霊は亡き父がかなえられなかった願いでもあったという。金田さんは言う。「平和への灯を絶やしてはならず、決して無関心であってはならない。この本を一番書かせたかったのは祖父でなかったか」。


定価1100円(税込み)。インターネット通販「アマゾン」などで販売している。

「祖父に逢いに行く」
フィリピン慰霊巡拝団に参加して
書籍(税込)1,100円
www.amazon.co.jp/dp/4434286900


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