2017.06.16
この週はこの日で3回目の採血だ。
やはり抗がん剤投与後の血液検査は詰めて行われる。
白血球、赤血球、血小板の数値が減少していくのを追いかける為である。
予定ではこの週末から次週の始めにかけて、ほぼほぼ "0" に近い値に
なってくるはずだ。
この日の午後は赤血球の輸血だった。
前回の輸血の時もそうだが、いつも午後に行われる。
輸血用のものがセンターに到着するのを待って、輸送されるからだ。
凍結保存された血液がやって来るのである。
到着の知らせを看護師さんから聞いた。
主治医の先生が今日は赤いのをしますと言っていた。
われわれ患者は、輸血と言われると赤い血の映像しか浮かばない。
先生があえて、今日は赤いのをすると言った意味が前回の薄黄色い血小板
と比較してのことだと、理解するのにさほど時間は掛からなかった。
準備に入り、到着したそれを見た瞬間、想像していた物とはかけ離れた
ものがそこにあった。
およそ赤色とは表現するのがおこがましいくらいだった。
深い赤、濃い赤、どす黒い赤、どれも当てはまらない。
今までの赤という概念が全く当てはまらない。
とにかく赤血球がそこにあるのだ。
赤血球が入った袋を点滴柱の先にぶら下げる。
次に、その下からチューブの先端を差し込み、反対側のチューブの先を
喉元から伸びたカテーテルに繋ぐ。
看護師さんがチューブの中を流れる赤血球のスピードを、袋から下りて
くるのを見ながら調整する。
当然まだ眠気すら襲って来ない自分は、その光景を目の当たりにした。
その液体の色でかなり強烈な印象を持った自分は、それがチューブを
伝って体の中に流れ込んで行ってるとは、どうしても受け入れられないで
いた。