白血病闘病記は(1)で一旦終了します。

白血病闘病記(2)「再発編」は、後日掲載予定です。
少しの間、撮り溜めた写真をアップしていきます。

下界への帰還

2021-09-02 18:15:59 | 日記
 2017.05.24 ~

  2ヶ月ぶりに病院の玄関を出た時は、空気が違っていた。

  外は季節の変わり目で、体感的には少し暑く感じた。

  普通はそんなには思わないのだろうが、長い間外気と日光を

  浴びてなかったせいか、皮膚に感じる刺激は強かった。

  それに抗がん剤の副作用で、皮膚に当たる紫外線から2次的に

  癌を発症する可能性もあり、二の腕から下はサポーターで防御していた。

  病室から見下ろしていたそこは、当時 ”下界” と言われていた。

  (勝手に言っていた…)

  下界には非常に敵が多く、無数の病原菌、カビ菌、アレルギー物質、

  有害物質を含んだ外気、容赦なく突進してくる人達、もちろんそこは

  いままで自分がいた極々当たり前の世界である。

  人間は立場が違うと思考も変わる。

  今まで普通に暮らしていた世界が、ある瞬間から恐怖の下界に

  変わるのだ。

  自分は容赦なく突進していた人間ではなかったのか。

  とにかく健康なときの生活はすぐには取り戻せない。


  帰った部屋は懐かしくはあったが、どこか他人行儀だった。

  自分が確かに暮らしていた。

  玄関、廊下、ソファー、テーブル、椅子、身近なものがどこか他人行儀

  なのである。

  落ち着かない時間が少しの間流れた。