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プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

マニフェストが泣く政党の退廃

2005-08-28 18:47:54 | 政治経済
国会で激しく対立しているように見える政党が、地方の首長選挙になると、同志になるということは、相当前から、見飽きた光景である。今回の衆議院選挙では、公示前から、数合わせ、票頼みの、共産党以外の政党間での“相互乗り入れ”が目立つ。「鉄道は相互乗り入れが便利だが、政治の世界まで相互乗り入れ自由になったら、政治の退廃」(共産党の市田書記局長)というほかない。
現職の自民党県議を民主党が公認、社民党の副党首が民主党から出馬、自民党の京都6区の公認候補は民主党の鳥取1区の公募者と同一人物、綿貫元衆院議長らの国民新党に民主党の参院議員が参加、自民党離党の小林前衆院議員らの新党日本には、国民新党から、長谷川参院議員が移籍。
小泉自民党と岡田民主党は、互いに大きな違いはないと、認め合う仲である。財界・大企業の新自由主義改革と軍事大国化要求を実現するという根っこは同じで、双方の党内派閥の事情が表面上の差異を生んでいるだけ。自民党と公明党の関係は今や自民党は公明・創価学会票なしでは選挙がたたかえない状態だから、両党間での票のやりとりは、日常茶飯事である。郵政民営化反対の八代英太議員が東京12区から、無所属で出ると言えば、本来「刺客」をおくる筈が、あわてて、自民党比例の公認をも検討すると言い出した背景には、12区で公明党太田幹事長代行を応援しなければならない事情があるからだ。社民党も、福島党首が、自民党も民主党も憲法改悪では同じと批判しながら、当の民主党と21選挙区で選挙協力する無節操ぶり。これでは、各政党がそれぞれのマニフェストを掲げて、政策を競うといってもマニフェストが泣くというものである。このような政党の退廃を克服し、国会を真に活性化させるためには、まともな野党のシェアを大幅に高める以外にない。

朝日新聞にみるイデオロギー操作

2005-08-27 17:28:55 | 政治経済
大マスコミによる選挙報道が二大政党制を煽るイデオロギー操作の主要な担い手になって久しい。日本の知性・リベラルを代表するといわれる「朝日新聞」(もうこんなことを本気にする人も余り居らないかも知れないが)の紙面をみてみよう。「自・民『激突』270選挙区」(05.8.20朝刊一面冒頭大見出し)、「二大政党戦 より鮮明 自・民対決 280選挙区に」(05.8.27朝刊一面冒頭大見出し)-少し頭を冷やして考えれば、「キリンとアサヒの違い」しかない財界・大企業の代理人だけの選択に人々の意識を向けさておけば、結果はどっちでもよいわけだから、財界・大企業にとってこんな有難いことはない。朝日新聞さんご苦労さん。
90年代の初め、利益誘導型ケインズ主義の従来型自民党政治の構造改革が支配的資本の焦眉の課題となり、小沢一郎は自民党を割って出て、新生党を結成した。93年7月の総選挙の時、朝日テレビのニュースキャスター久米宏が毎夜のごとく、「自民か非自民か」を煽ったことは記憶に新しい。94年3月には、小選挙区300、比例代表200(00年に180)の選挙制度が成立する。爾来10年余り、“自民党の純化は、小泉のもと相当に進んだ(今回小泉が解散に打って出たのも純化を望む財界の後ろ盾があってのこと、郵政反対派に象徴される旧い自民党派はいずれ排除されるであろう)。これで、民主党を一人前にすれば、一段落である(マニフェストに比例の議席数80減を掲げ、やる気をみせている)。「朝日新聞」さん、いま少しがんばってくれ。” 財界のこんな声が聞こえてくるようだ。
21世紀を迎え、日本はいま重大な岐路に立っている。戦後、民主憲法のもと曲りなりに築いてきた日本型福祉国家を支配的資本の要求に沿って新自由主義国家に改造する企てが、一部の革新派をのぞいたオール与党体制で着々と進められている。軍事大国化への動きも急ピッチである。次の選挙では、なんとしても小泉4年間の一方的な攻勢に歯止めをかけ、マスコミの情報操作に惑わされることなく、国会に確かな国民の地歩を築かなければならない。




公明党-いまや「福祉」、「平和」破壊の党

2005-08-26 22:20:09 | 政治経済
高度経済成長時代、公明党は「旧い自民党」の利益誘導型政治を補完しながら、主に中小自営業者、労働者に対し、「福祉」の党、[平和]の党の看板を掲げてきた。ところが、政権に入って以来、グローバル時代の財界・大企業の構造改革と軍事大国化要求実現の小泉自民党を支えて、いまや、「福祉」、「平和」破壊の先頭に立っている。この党独特の支持基盤に支えられているとはいえ、事実に即して、その反国民的役割を明らかにしなければならない。
年金の支給開始年齢の先送り(99年)、老人医療費の値上げ(00年)、サラリーマン医療費の三割負担化(02年)、年金保険料の連続引上げと支給引下げ(04年)そして郵政民営化が廃案になったいま「改革か、それとも停滞か」と小泉自民党とともに、サラリーマン大増税(定率減税の廃止、所得控除の廃止・縮小)、07年の消費税率引上げ路線をひた走ってる。軍事大国化の要求に対しては、もっともらしい儀式のすえにイラク派兵に賛成し、戦争をする国に向かって憲法第9条を『加憲』の対象にするという立場である。
自民党が旧い自民党から脱皮する過程にあり、岡田民主党が財界要求を実現するにはいまだ一人前になっていない現状で、小泉自民党単独では出来ないことを一緒に推進してくれる公明党は財界にとって大変有難い存在であろう。逆に国民にとって、その反階級的役割の克服は、たしかな対抗勢力を国会に送り込むことと同時に、焦眉の課題であるといわざるを得ない。「破滅から逃れる方法はないのか。ひとつだけある。それは国政選挙に70%以上の有権者が参加して、『民衆の理性』を発揮することである。」(平野貞夫『公明党・創価学会と日本』講談社)



財界・大企業の政治的代理人の選挙パフォーマンス

2005-08-25 21:22:11 | 政治経済
選挙がまじめな政策論争でなく、争点隠しの「劇場」選挙になってしまうのは何故か。まず第一に、財界・大企業の政治的代理人である小泉自民党及び岡田民主党には、大企業に対しては報告事項があっても、もはや、国民に語りかける政策が見当たらないと言う事情がある。それを敏感に察知しているマスコミがジャーナリストとして、国民の立場から各政党の政策の検証を行わず、選挙の勝ち負けだけを面白おかしく報道し、国民の関心を政策から逸らす役割を果たしている。第二に、これは同時に、財界・大企業がむき出しの資本の論理を押し付けざるを得ないほど日本資本主義がゆきづまっている一方で、労働組合や革新政党の対抗勢力が、マスコミを味方にした支配階級の攻勢を国民的に反撃するまでに到っていないという現状の力関係の反映でもある。
高度経済成長時代、企業社会日本を補完する形で、自民党政治は、農村や都市自営業者を支持基盤に取り込み、企業側にもそれを許容する余裕があった(詳しくは渡辺治教授の諸論考参照、)。しかし、90年代後半以降のグローバル化の進展のなかで、この旧い自民党政治(肥大化した政官業癒着の大きな政府)は、支配的資本の要求に合致しなくなった。民主党は小沢副代表に象徴されるように、出生そのものから、多国籍大企業の新自由主義改革=構造改革と軍事大国化の要求を推進する役割を担った党である。小泉自民党も岡田民主党も構造改革と軍事大国化の要求を推進する党であるとすれば、政策的に「キリンとアサヒ」、「三越と高島屋」の違いしかないのは、当たり前、国民の前では、争点隠しの「劇場」選挙を演じるほかないのである。

「構造改革」-誰のために何をめざす改革か

2005-08-24 22:08:26 | 政治経済
国民は、「官から民へ」「小さな政府」の小泉構造改革に4年間ついて来た。自民党の古臭いおじさんよりは、何かをやってくれると信じて。「痛みを伴う改革」も明るい明日のためには我慢しなければと。もし「構造改革」が誰のために何をめざす改革かを知っても、次の選挙で小泉についていく人がおるとすればその人は、お人好しを通り越し、余ほどの変人というほかない。
①「構造改革」は誰のためのものか・・・国際競争力の落ちた日本の大企業(多国籍企業)のためのもの。
②何をめざす改革か・・・A.企業にかかっている負担を軽減させ、「小さな政府」をめざす B.自由な活動を邪魔する「規制を緩和」させる、これら大きく二つの政策を政府に実行させ、企業の競争力を回復すること。
A.企業の負担軽減策
 ①財政構造改革・・・法人税等の引下げ、所得税の増税と累進制の緩和、消費税増税
 ②社会保障改革・・・医療・介護・保育の給付の削減と個人負担増
B.企業を縛る規制の撤廃
 ①弱小企業(農業・個人商店など)を保護するための規制の撤廃
 ②衛生・医療・福祉・消費者保護の規制の撤廃
 ③労働者保護(労働基準法・派遣労働等)規制の撤廃
 ④企業間の業際規制の撤廃
A.B.がどんなに国民に犠牲を押付けるものかは、小泉内閣の4年間の実績が明らかにしている。
資本主義社会は弱肉強食のルールなき社会では、うまくいかない、政府による規制、所得再配分が必要だということで歴史の進歩があったのだ。いまこそ対抗勢力がこの逆流に歯止めをかける、そのための総選挙が近づいている。

アメリカの占領-日米安保条約を考える

2005-08-23 22:00:59 | 政治経済
ブッシュのアメリカは、与党・共和党内からも批判の声が上がる中、イラク占領から当面撤退の意思はなさそうである。そして「・・責任ある政府が樹立されたときには、連合国の占領軍は、直ちに日本国より撤収する」(ポツダム宣言)といってから60年、アメリカ軍はいまだに日本に居座り続けている。この現状におかしいと異議を表明しているのが政党のなかで日本共産党以外無いと言うのも寂しい限りである。アジア・ラテンアメリカ・ヨーロッパの最近の流れは、ならず者、アメリカとどう距離をとるかということである。アジアのなかで、日本は、援助をくれる国だが、自主的に自分のことを決められない国として冷ややかに見られていることをどれだけ日本の支配階級は理解しているのであろうか。
アメリカ従属が日本の軍事外交・経済政策の決定にあったてどんなに足枷になり、国民にとって障害となっているか、選挙の機会にじっくり調べ、考えてみよう。
日米安保条約を終了させることは、難しいことではない。
「この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する(日米安保条約第10条)」のである。

財界が憲法改定にかける野望

2005-08-22 21:29:49 | 政治経済
日本経団連は政党考課表の評価項目に経済項目に加えて憲法改定を追加した(2004年5月)。政党に憲法改定のために働くことを公然と求めたわけである。自民・民主・公明はマニフェストでこの要求に応えることを約束した。この点で、改憲発議に必要な国会の三分の二を確保したことになる。
財界の憲法改定にかける野望はおおよそ次の通りである。①アメリカ軍の後方支援に止まらざるを得ない、肩身の狭い現状から堂々とアメリカの有志連合に加わり、世界の戦争に参加したい。②東南アジアなど海外進出した投資利権を守るため相手国に力で睨みを効かせたい。③軍需発注で安定した利潤を確保したい。④国民を国家に統合させ、組織に従順な人間を育てたい。⑤政府の意思決定が迅速・効率的になされるような国家体制を作りたい。
したがって、財界の憲法改定の核心は憲法九条第二項(国連決議の有無にかかわらず、二項がある限り海外での武力行使や集団的自衛権の行使は許されない)の廃棄であり、これと一体となった、国家や組織に従属しない独立した人格を育てる教育基本法の改定である。マスコミの自民・民主対決の隠蔽工作に惑わされてはいけない。憲法改定について言えば自公民はすでにオール与党なのだ。

二大政党制を考えるー第三局の大切さ

2005-08-21 18:51:44 | 政治経済
もともと雑多な派閥が自民党という名のもとに、あたかもフランチャイズ制の如く集まっていた自民党が小泉の政治手法を巡って相争い、国会を巻添えにしたのが今回の郵政解散の本質である。マスコミは自民党内の争いを面白おかしく囃し立てながら、またしても全体として国民を自民・民主二大政党制に誘導しようとしている。二大政党制とは何か。本当に民主的な制度といえるのか。総選挙を前に検討してみたい。
資本主義社会では多くの人々は企業に雇われて日々の生活を維持している。その意味で企業は資本主義社会では主人である。そして政府は、国々で色合いの違いはあるが、企業の利害を守るものとして存在する点はみな同じである。二大政党制の国の選挙制度は程度の差があるが、小選挙区制が大きな比重を占め、二大政党の間に企業の利害を守るという点で大差ないことも共通している。このような限界のなかで、企業に相対する労働組合や国民諸階層の声を政治に反映させるために小選挙区制を克服しようとする運動が高まっている点も共通している。
日本では残念ながら周回遅れで、自民・民主二大政党時代到来などと囃し立てられている。同時にルールなき資本主義といわれるくらい、大企業の力に対し、労働組合等の対抗勢力が弱く、それだけ政府と国民諸階層の矛盾も深い。
企業の最大の弱点は法人格はあっても選挙ができないことである。国民は、自分たちの代表を正しく選べば、政治の場で企業の一方的な主張に修正を加えることが可能なのだ。二大政党に対抗する第三局を国会で確かな存在とすることである。そのためには金と権力を総動員して行われるイデオロギー操作をまず打ち破らなければならない。

自民党政治のDNAと今回の総選挙

2005-08-20 21:12:59 | 政治経済
今から30年前の70年代半ば、日本共産党が自民党政治の本質にある特性を①戦犯性②売国性③金権性の三悪政治と特徴づけたことがある。昨日の総選挙準備の集会で不破中央委員会議長はこれらの自民党政治のDNAが現局面でどのように現れているかを報告している。われわれ国民は、総選挙の争点を郵政民営化に矮小化し、相変わらずのパフォーマンスで乗り切ろうとたくらむ小泉政治の4年間をしっかりと見極めなければならない。
①先ず、自民党政治のDNAの戦犯性ついて言えば、靖国史観=過去の侵略戦争の名誉回復、新しい教科書の策動、NHK等へのマスコミ工作となって現れている。②売国性はどうか。日米同盟を絶対視し、もっぱら「アメリカの窓」から世界をみる態度はアジアでも、ヨーロッパでも、つとに有名である(何故か日本のマスコミはこのことをひた隠しにしている)。③金権性はどうか。今回寂しく引退するほかなくなった橋本元首相はじめ、何度スキャンダルにまみれても政治を金で買う勢力と手を切れない。国民の税金から政党助成金を受取りながら、大企業からの献金で、先進資本主義国のなかでも特別に「ルールなき資本主義」の国にしたのが自民党である。
小泉得意のマスコミを動員したパフォーマンスに目を晦まされてはならない。しっかりと自分の目で確かな野党を国会に送り込もう。政治をそして自分たちの生活状態をよりましなものに改善しよう。

民主党・公明党のマニフェスト(その三)

2005-08-19 23:11:24 | 政治経済
民主党・公明党のマニフェストのその三は「改憲」問題である。憲法「改正」は日本の支配階級がさまざまな歴史的経過のなかでここ数年内に決着をつけようとしている最大の政治課題である。自民・公明・民主の政治体制が改憲をいよいよ現実の政治日程に乗せるところまで来たのだ。
民主党のマニフェストは第一章の「憲法」で党独自の「憲法提言」を国民に示し、同時に国会議員の三分の二以上の合意による発議のため「国会におけるコンセンサスづくりにも真摯に努力」するとして自民、公明両党と共同改憲に向かう立場を明確にした。
公明党は改憲の本丸である憲法9条について「自衛隊の存在や国際貢献等について、『加憲』の論議の対象」とするとし、自衛隊を自衛軍に改定することによってすべての制約の突破をたくらむ自民党案に同調する伏線を張った。
日本が世界に誇れる唯一の道徳的権威である憲法第九条第二項を世界の人々が平和の秩序構築に向かって努力をしている、まさにその時に投げ捨てるような政党を選択してよいのか、しっかり見極めたいものである。

民主党・公明党のマニフェスト(その二)

2005-08-18 20:43:10 | 政治経済
民主党・公明党のマニフェスト(その二)は増税問題についてである。政治とはある意味でどのようにお金を集めどのように使うかである。民主党は、「子ども手当」の財源として配偶者控除、扶養控除等の所得控除の廃止を明記。かねてからの主張である年金目的消費税の創設を繰返し、税制調査会、日本経団連の庶民への犠牲押付け大増税路線を改めて確認している。一方、公明党もかねてからの「2007年度を目途に消費税を含めた抜本的税制改革を実現」すると増税路線追従を改める気配はない。
市場原理を中心した資本主義システムは、これをどう間接制御するかでさまざの色合いを帯びる。昨今の日本資本主義は弱肉強食の色合いを急速に強めている。小泉・竹中改革にたいする確かな批判を一部の知識人だけでなく大衆のものにする努力をマスコミの妨害を撥ね退け急がねばならない。

民主党・公明党のマニフェスト(その一)

2005-08-17 20:09:38 | 政治経済
8月16日、民主党、公明党が総選挙に向けたマニフェスト(政権公約)を発表した。今後の日本のあり方、したがって国民生活に大きくかかわる基本問題でどのような方向が示されているかを見てみよう。その一は郵政民営化問題である。
まず郵政民営化を小泉自民党とともに推進した公明党は民営化法案を総選挙後の国会に再提出し、成立させる「決意」を述べている。尤も、この党は、自分たちの野望(「国立戒壇建立」)のためにはどの権力と組むことも厭わないので(つい最近も郵政国会の真っ最中に冬柴幹事長が民主党と組むこともありうると言って物議をかもした)理論的検討の対象にはならない。民主党は8月13日の本欄で書いたとおり、この党の財界から与えられた役割から考えて「反対」は言えないだろうと思っていたら、案の定まず郵貯・簡保の資金を縮小させ、将来廃止や民営化も検討するということになった。いつもはもっと構造改革を急げと言う民主党は、郵政改革では、小泉自民党の後を進むようだ。二大政党といっても所詮は財界のための保険に過ぎない存在であることはここにもよく現れている。岡田代表が野党と呼ばないでという気持ちがよくわかるというものだ。

与党外交のゆきづまりと8.15首相談話

2005-08-16 10:50:56 | 政治経済
昨今の与党外交のゆきづまりは、国連常任国入り問題でアジア諸国のほとんどが日本を支持しないとか、北朝鮮問題を巡る6カ国協議でもほとんどまともに相手にされなかったように誰の目にも明らかである。首相はODA(政府開発援助)や国連平和維持活動(PKO)などへの貢献を通じて「戦後の歴史は、まさに戦争への反省を行動で示した平和の60年」だと胸を張るが、先述のとおりアジア諸国の反応は冷たい。力やお金のある者は同時に道徳的権威を持たないと人々から適当に利用されることがあっても信頼されたり尊敬されることは無い。
世界唯一の被爆国でありながら、アメリカの核の傘に入り、アメリカの軍事行動に付き従って中東にまで自衛隊を派兵(憲法9条2項の関係で派遣だと強弁している)し、先の戦争を「自存自衛」「アジア開放」の戦争と正当化し軍国主義復活策動の基地となっている靖国神社を参拝し続け、アジア蔑視を根底にもつ「新しい歴史教科書」の採用を応援する自民党、民主党議員、そして批判されると口先の「反省」を言い、それをまた「自虐的」と反批判する、このような日本を信頼にたる相手と思わないのは当然ではなかろうか。
小泉異端児とアメリカとともに世界の異端児、孤立化の道を進むのかアジア、世界の人々との連帯、共生の道に外交を切替えるのか、今度の総選挙の今ひとつの重大争点である。

8月15日-不戦の誓いは日本国民の戦後の出発点

2005-08-15 18:52:28 | 政治経済
今日8月15日は60回目の終戦記念日である。60年前、日本国民はもう二度と国家から悲惨な戦争を強制されまいと誓い、国際公約として平和・人権憲法を定めた。ところが、その後のさまざまな歴史的経過を経て自民党がこの8月1日、再び日本を戦争をする国に引戻す「新憲法第一次案」を発表するまでに事態は進んで来た。21世紀を戦争のない世界にしようと日々努力する日本国民や世界の人々に対するまさに反動的挑戦である。
91年の湾岸戦争以来、国際協力の名の下、日本の領土外で戦争しようとする日本の支配勢力の軍事大国化への周到な計画はさまざな立法を経てついにどうしても突破しなければならない現憲法(なかんずく第9条第二項)の改廃、新憲法の制定にまで及んで来た。
戦争は国家公認の殺人であり、国民を殺人者に動員するためには、ふつうの国民を精神改造しなければならない。平和は武力によって確保され、個人の自由よりも国家が大事だと言う思想をあらゆるルートを通じて注入し、他方で、疑問を持つ者の思想は強権で弾圧することになる。
今回の総選挙の争点は国民に犠牲転嫁の新自由主義的改革だけではないのである。

郵政民営化の影-過剰金融資本の存在

2005-08-14 21:26:04 | 政治経済
郵貯・簡保の資金は今は安全な公的機関で運用されている。小泉首相は郵政を民営化して「資金の流れを官から民へ」変えれば資金が有効に活用され経済が活性化するかのように喧伝する。本当だろうか。
しかし、郵政を民営化しても日本経済の実態が資金需要を必要としない限り、「官から民へ」資金を流したくても流しようがない。
現在資金の受け手である民間企業は手元資金が潤沢で「金余り状態」で、日銀の超金融緩和のもと民間金融機関は大量に国債を購入しているのが実態である。なんのことはない。現在資金はすでに逆方向の「民から官」へ流れているのである。
過剰金融資本を投機市場の博打にではなく本当に資金を必要とするところへ流すために日本経済のあるべき姿をどう構想し実現するか-「東アジア共同体」構想へのかかわりも含めて民主的な議論が俟たれるところである。