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プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

小泉首相が靖国参拝に固執する本当の理由

2005-10-01 18:26:02 | 政治経済
小泉首相の靖国神社参拝を巡る訴訟で、9月30日2件目の違憲判断がでた。大阪高裁は参拝の「動機ないし目的は政治的であり、内閣総理大臣としての職務を行うについてなされた」公的なものと認定した。中国や韓国からの強い反発に加え、野党だけでなく与党や財界の一部からも反対の声が上がるなかで、小泉首相は今年も参拝を継続するかまえを崩していない。「戦没者を追悼し慰霊してどこが悪い」、最近ではつけくわえて「私的参拝だ」と開き直る小泉首相の本当の狙いは何か。
靖国神社は、「過去の」戦没者を慰霊する単なる追悼施設ではない。それは、明治政府以来の近代日本のあらゆる戦争を正当化し、再び戦争をする日本をめざす運動の拠点のひとつとなっている。その意味で「未来の」戦没者がターゲットとなっているといってよい。小泉首相が靖国神社参拝に固執する理由も実はこの点にあるのだ。
1985年に靖国神社に「公式参拝」した中曽根首相は「これが戦後政治の総決算。過去のことではなく、21世紀へ向けて前進の体制をつくる」と言明した。その後紆余曲折があり、首相の公式参拝は途絶えたままであった。小泉首相は就任前に靖国参拝を公言し、公私どちらでもよいといって毎年の靖国参拝を復活させたのである。就任後の会見では「米軍が攻撃をうけた場合、日本が何もしなくてもよいのか」「いざという場合に命捨てることに敬意をもつ」と述べた。「未来の」戦没者を想定していることが、明らかではないか。そして今、イラクに自衛隊を派兵し、憲法改悪による「戦争をする国=戦死者をつくる国」が目の前に近づいている。小泉首相は靖国参拝を単なる個人的思いで続けているのではない。大きな国家戦略の一環であるからこそ、周辺の反発にかかわらず靖国参拝に固執するのだ。