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プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

早くも始まった「白紙委任」の恐怖

2005-09-15 21:35:31 | 政治経済
先の総選挙で、国民は、現状への深い閉塞感から、「改革」の訴えに漠然と期待感を持っただけで、郵政民営化以外の課題に関し「白紙委任状」を与えたわけではない。しかし、巨大与党が数の力を背景に強引にことを進めるのではないかと言った杞憂が早くも現実のものとなり始めた。
9月13日の記者会見で、谷垣財務相は「(与党大勝の背景には)かなり多くの国民のなかに、どこかで増税も必要じゃないかという気持ちもあったと感じている」と述べ、早速、今後の増税路線の布石を敷いた。あたかも増税も選挙で信任されたかのような発言ではないか。増税計画は各種所得控除の見直し、消費税率アップで年間で1ヶ月分の収入が吹っ飛ぶ規模である。自民・公明与党は14日の衆院各派協議会で、憲法常任委員会を設置することを提案、法案提出・審議権を与え、改憲の手続きの第一歩となる国民投票法案の審議を始める積りである。
詐欺師小泉の力で一時的に選挙闘争に「勝利」できたとしても、財界とアメリカの要求どおりの増税や憲法改悪を企てる政治は国民との矛盾を深めざるを得ない。必ずや次の政治闘争を呼び起こすことであろう。

自民党圧勝―選挙制度のマジック

2005-09-14 22:10:47 | 政治経済
郵政民営化に賛成か反対かと聞かれ、「改革」を止めても事態が変わらないのなら、賛成だということで、民営化賛成の自民党、公明党が合わせて327議席を獲得、全480議席の2/3以上を占める「圧勝」となった。自民党は296議席で61.7%増だった。この選挙結果に対して、いま多くの国民から、賛成投票をした人々も含めて「多すぎる」「勝たせ過ぎた」の声が聞こえる。何故、こんな結果となったのか。
実は、民営化に賛成した(自民・公明に投票した)国民の割合は、比例で51.5%、選挙区では49.2%で、賛否は、ほぼ半々であり、圧倒的に「賛成」でまとまっていたわけではない。獲得議席数とこの民意との乖離の秘密は、小選挙区制という民意を正確に反映しない選挙制度にある。小選挙区での自民党の獲得得票率は47.8%であり、議席数は143議席の筈が、219議席獲得、76議席も多かった。逆に民主党は、57議席も少なく、22議席あってもおかしくない共産党の議席はゼロであった。
小泉首相が、郵政民営化一本やりで、これまでの「改革」の中身や今後の争点となるべき税制や社会保障、憲法、外交などの重要問題をすべて棚上げし、4割台の得票率で、7割の議席を獲得したのだから、国民の圧倒的支持を得たといわれても、われわれは「白紙委任」したわけではない。今後、これらの国政上の重要問題が、国会の日程につぎつぎと上ってくるたびに自公に投票した人々も、自分たちの暮らしや平和のためには、否応なく厳しく対決せざるをえないであろう。「郵政バラ色」宣伝のメッキが剥がれる日はそう遠くない。

総選挙投票日に思うこと

2005-09-11 09:49:51 | 政治経済
小泉自民党や岡田民主党そして公明党は次のような考え方で基本的に同じである。経済のグローバル化で、企業が国境を越え自由に活動するようになったので、企業に負担を求めると日本を捨て海外へ移転してしまう。日本に居ってもらうためには、企業が儲けやすい環境を作らねばならない。税金や社会保険料の負担は出来るだけ少なく、儲けの邪魔になる規制は緩和し、安い人件費を確保できるよう、労働時間や雇用形態に対する規制は外さねばならない。こうして多国籍企業は、国内でも進出先国でも資本蓄積に都合の良い環境を要求し、互いに儲けを競い合っている、これが現実だ。各国の労働者・国民はこのような現実を理解し、自己の才覚で儲かる企業に係わり果実の一部にありつけるよう努力するべきだ。すべて自己責任だから、脱落する者は努力が足りないのであって、結果の平等は怠け者の言うことだ。
経済の現実がこのような時に、弱肉強食をさらに促進するような政治を行うのか少しでもみんなが暮らしやすいように強い者に応分の負担を求め、かれらの横暴に対しルールの枠をはめる政治を行うのか。これが、今回の、そして今後も続く選挙ー政党選択の分岐点である。
いま日本の不幸は、弱肉強食促進勢力の力が余りにも大きく、政党、官僚、マスコミのなかにこれに抵抗する勢力が非常に弱いことである。労働組合、社会民主主義政党がヨーロッパのように育たなっかたなかで、日本共産党がその役割を担って孤軍奮闘している。この政党がどれだけ多くの心ある国民を結集できるかどうかは、今後の国民の暮らし、日本の進路を大きく左右するだろう。

小泉流詐術

2005-09-10 10:46:37 | 政治経済
政党選択のためには各党の政策・実際の行動やそれらを基本的に規定している、各党がどの階級のどのような利害を代弁しているのかを冷静に分析する必要がある。新聞・テレビ等のメディアは勝ち負け予想報道に熱中して、政党選択のための分析データを決してまじめに提供しない。したがってこの分析のためには、一定の目的・意識的な努力が求められる。小泉詐術が選挙戦をリードすることになってしまう所以である。
①感情に訴える②決まり文句を繰り返す③議論の片方だけをとりあげ、たえず特定の敵(スケープゴート)をつくりだすー小泉研究者が指摘するヒトラー流宣伝詐術である。
「殺されてもいい」と叫び感情に訴える、決まり文句は「官から民へ」、反対派自民党議員を敵にし、刺客をおくる、郵便局員を「特権階級だ」とスケープゴートにする、そして国民はモヤモヤとした不満が解消された気になる。
庶民大増税、憲法改悪がひたひたと迫っているとき、気がついた時は、遅すぎたということのないようにしたいものだ。明日は第44回衆院総選挙の投票日である。

「改革の本丸」郵政民営化のウソ

2005-09-08 22:07:38 | 政治経済
選挙戦も終盤となった。いっこうに先が見えない生活上の閉塞感に乗じ、「改革」こそが、前進の道と自民・公明与党が叫べば、自分こそ本当の「改革」と岡田民主党が応じる。世界では民営化と規制緩和、市場競争万能の新自由主義「改革」はすでに時代遅れであり、「ルールある社会・経済」を資本主義の枠内で追求するさまざまな試みがすでにはじまっている。時代遅れの反国民的「改革」を強行しようとすれば、ウソで誤魔化すほかない。改めて、「改革の本丸」郵政民営化のウソを整理しておこう。
① 公務員が減り、節約になる
 郵政公社は独立採算を維持しており、税金の投入がないから、節約になりようがない。
② 税収が増える
 公社は利益の50%を4年ごとに国庫に納入する(郵政公社法第37条)。尤も公社になって2年なので現在のところ国庫納入はなされていない。この点をとらえて公明党の冬柴幹事長は得意のウソよばわり(政教分離論でみせた“頭脳明晰”冬柴弁護士の面目躍如)。
③ 無駄遣いがなくなる
 郵便・簡保の資金をどう使うかは、政治の問題。ムダな特殊法人に流れたのは郵便局制度のせいではない。
④ 公社のままならジリ貧
 民営化して、民間証券・保険会社に資金運用を任せるほかないとは、乱暴きわまりない。郵政は郵便、郵貯、簡保の三事業一体経営で効率よく公的役割を果たしている。三事業を解体して効率を悪化させ民間金融資本の餌食にするのが、小泉・竹中改革。
⑤ 郵便局はなくならない
 民営化でバラバラになった事業は採算悪化に直面し、全国一律サービスが維持できなくなることは、6年間で、4千店舗減らした銀行をみれば明らか。
もちろん郵政事業がすべて今のままでいいということでない。官僚の天下り、業界や族議員との癒着、民間に負けない公共セクターへの努力など必要な改革・課題に直ちに着手しなければならない。それこそが本当の「改革」なのだ。


庶民大増税と企業の社会的責任

2005-09-07 21:46:13 | 政治経済
企業の社会的責任というとコンプライアンス(法令遵守)がすぐに頭に浮かぶ。しかし、法令遵守は、企業の社会的責任としては当たり前のことであって、資本主義社会で総資本としての企業の最大の社会的責任は、雇用を確保し、従業員の生活を支え、社会を安定的に維持するために応分の負担をすることである。企業が総資本として担うべき社会的責任を果たさず、個別資本の利益追求のみを政治に押し付けようとするのであるならば、国民の利益を守って歯止めをかけるのが、政治の本来の役割である。企業を強くすれば、トリクルダウン(滴り落ち)効果でみんなが潤うという時代は明らかに終わった。企業部門に貯めこんだ余剰資金を企業自身が流そうとしないのであれば、政治の力で、再配分するほかない。国会の力関係を変える総選挙の機会が迫っている。
1988年度28兆円だった法人税収(法人税率42%)は、2004年度には15兆円(法人税率30%)へと13兆円落ち込んだ。この減収を1989年に導入された消費税収12兆円でつじつまを合わせたのだ。消費税は消費者が負担し、企業は通過するだけでまったく負担しない。文字通り、企業の国民への責任転嫁である。日本企業の税・社会保障負担の対GDP比は7.6%(02年)で、ドイツ9.1%(00年)、イタリア11.7%(03年)、フランス14.0%(03年)の5割から8割である。それでも、小泉自民党、岡田民主党は所得税や消費税の増税はいうが、法人税の増税は決していわない。今こそ法人税率を引上げ、他方で所得税率、消費税率などの引下げで、企業の余剰資金を雇用者所得の増加へと政治の力で移転させるときなのだ。



日本人が「鬼子」でなくなる日

2005-09-06 22:00:14 | 政治経済
9月6日付「日経」新聞は中国総局長 飯野克彦の署名入りで標記の見出しの記事を載せている。そこでは、中国共産党にとって、共産党政権の正統性を国民に訴えるうえで、また台湾独立勢力へのけん制を強めるためにも 「悪役としての日本の存在価値」は高い。従って、日本人が「鬼子」でなくなる日はそう簡単に来そうもないと結論づけている[「鬼子(グイズ)」とは中国語で外国からの侵略者のこと]。自民党安倍幹事長代理らがよく使う俗説を一流新聞の中国総局長が何の分析をすることもなく堂々と開陳していることには、ただ驚くばかりである。このような国民を愚弄する知的退廃にたいしては、国民的に正論で反撃しなければならない。
日本のアジア外交が、97年の「日米防衛協力のためのガイドライン」改訂(いわゆる新ガイドライン)以来、自衛隊のイラク派兵に到る軍事大国化の動きの中で、孤立化を深め、小泉首相の靖国参拝の強行でいよいよ行き詰まっていることは、悪役としての日本が必要とかどうとかいう問題とは何の関係もない。これは事実をありのままに見る目があれば、誰の目にも明らかである。
日本と中国の関係について言えば、1998年7月共産党不破委員長(当時)が北京で提唱した「日中関係の五原則」が保守・革新に関係なく今も有効と考える。
「日中関係の五原則」
 ①日本は過去の侵略戦争についてきびしく反省する。
 ②日本は国際関係のなかで『一つの中国』の立場を堅持する。
 ③日本と中国は、互いに侵さず、平和共存の関係を守りぬく。
 ④日本と中国は、どんな問題も、平和的な話し合いによって解決する。
 ⑤日本と中国は、アジアと世界の平和のために協力し合う。
アメリカべったりを続けていると当たり前のことが、当たり前でなくなってしまう。今回の選挙は自民党も民主党も外交についてあまり語たりたがらないが、国民にとって、見逃せない重要争点であることはいうまでもない。


日本型企業社会の崩壊-企業の繁栄と暮らしの乖離

2005-09-05 23:27:10 | 政治経済
年功賃金と企業内福利と長期雇用制度が機能していた時代、企業が繁栄すれば、労働者・サラリーマンの暮らしも良くなり、企業の繁栄を支える自民党政治を暗黙のうちに支持する構図が出来上がった。企業の周辺の農村、自営業者は、利益誘導自民党政治によって、やはり自民党の支持基盤に組み入れられた。自民党政治が長く続いた所以である。この長年の間に形成された国民意識が、日本型企業社会が崩壊し、企業の繁栄と暮らしが関係なくなっても、自民党政治を克服することを妨げている。
今日(9月5日)の日経新聞が面白いサーベイ結果を報じている。「政府・日銀が言うように景気が踊り場を脱却したと思いますか」と訊ねたところ「脱却したと思う」20%に対し「脱却したとは思わない」が50%に達したとのことである。そして「今回の調査でも自分自身の実感、近所や職場など周囲の印象の両方で景気がよくなっていると答えたのはわずか6%にとどまった」としている。「景気と暮らしが連動していたのは1990年代半ばまでのこと。・・・景気の動きに一喜一憂したり、景気の回復に期待するのではなく、暮らしが良くなるにはどうしたことが必要かを優先させて考えるべき時がきている」(山家悠紀夫『景気とは何だろうか』)
小泉構造改革によって国民の負担で大企業は国際競争力をつけ、大幅に収益を回復した。しかし企業の収益回復が、国民の暮らしに連動しないのであれば、われわれは、これ以上小泉改革に協力する必要はまったくない。暮らしが良くなるにはどうしたことが必要か私たちの頭で考え、政治もその方向に舵を切るときではなかろうか。日本でも、ヨーロッパのように、階級的立場を明確に主張しなければならないときがすでにはじまっている。

ハリケーン被害を大きくする軍事大国アメリカ

2005-09-04 13:05:45 | 政治経済
世界で最も豊かなはずの国で貧困国と同じ惨状が起きている。悪臭を放つ水上や路上にころがる死体、食料や金品を求めて略奪に走る民衆、武装した兵士と軍用ヘリから投下される物資に群がる群衆。ハリケーンはもちろん自然災害であるが、死者が1万に達するかもしれないといわれるまでに被害が拡大したのは、明らかに人災であり、そこには、アメリカ社会が抱える病根が垣間見える。
第一番目は「テロ戦争」優先の軍事大国の問題。ルイジアナ州の陸軍工兵隊は、昨年のハリケーン被害の教訓を受け、ニューオーリンズ市の堤防強化と洪水管理のため180億ドルの予算請求をしたが、ブッシュ政権はこれにまったく予算をつけなかった。また本来緊急時に避難や救助活動をする州兵がイラク戦争に駆りだされ、対応遅れの大きな要因となっている。第二番目はアメリカの貧困層の問題である。アメリカ政府は、つい最近、04年度の米国の貧困層(4人家族で、年収1万9000ドル以下等)が4年連続増加して、3700万人(総人口の12.7%)に達したと発表したばかりであった。ニューオーリンズの人口約48万人のうち3分の2がアフリカ系黒人であり、その多くが貧困のため市当局の避難命令に応じられず、被害を一番悲惨な形で背負うことになった。三番目は人種差別問題である。米議会黒人市民権運動家グループの下院議員、エライジャ・カミングス氏(民主党)は2日の記者会見で「ハリケーンで生き残った者と死んだ者の違いは、貧しさと肌の色だ。助けを求める彼らの声を前に、米国のモラルが試されている」と述べ、今回の救援の遅れは、黒人に対する差別意識が根底にあるとの認識を示唆した(「毎日新聞」9月3日インターネット版)。
今回の総選挙で、ミニアメリカ型社会をめざす、小泉・竹中路線に歯止めをかける結果を生み出せるかどうか、米国の惨状は、決して他人事ではない。

「つくる会」歴史教科書 採択率0.4%

2005-09-03 20:49:34 | 政治経済
「新しい歴史教科書をつくる会」(八木秀次会長)が金と権力を使って、各地の教育委員会に採択を迫った扶桑社発行の歴史教科書(来年度から中学で使われる教科書)の採択率は0.43%の結果でひとまず終了した。同会は、10%の目標には大きく届かなかったが、前回(01年)の0.04%に比べれば前進であり、「4年後の教科書採択にも挑戦する」としている。政府が検定合格させた教科書である以上、教育委員会メンバーを強権で入れ替えれば、採択率は確実に増える。「新しい教科書」の教育現場への持込は「戦争をする国」の国民精神づくりの最終仕上げとして、今後も執拗に繰り返されるだろう。今回の採択に当り、安倍幹事長代理は、自民党内に通達を出し、国会議員・地方議員一体となって「つくる会」を公然と支援した。閣僚や自民党幹部、民主党国会議員の一部、財界関係者も「つくる会」の集会盛上げに一役買った。しかし、各地の親・教師・市民が「“あぶない教科書”を子供たちに渡すな」の一点で共同し、世論と運動の力で04%の採択率に押しとどめた。
「つくる会」教科書は、歴史的事実を無視し、自国の、しかも国民ではなく支配階級の都合のいいように歴史を解釈する。その背景には、靖国問題とも同根であるが、戦争の総括が曖昧だったこと、そして戦後60年経って、国民の戦争体験に基づく反戦気運の薄らぎと資本の多国籍化・アメリカの戦争協力要求の強まりがある。第二次世界大戦には、確かに帝国主義諸国間の植民地再分割をめぐる争いの側面がなかったとはいえない。多数の兵卒・国民は犠牲者だったという側面も確かにある。しかし、日本国民はアジア諸国民に対して明らかに加害者であったことは決して忘れてはならない。やれ「反日だ」、「自虐だ」と叫ぶことこそ、自分自身を、自国民を賤しめていることを知らねばならない。アジア諸国民、世界の諸国民と平和のうちに共存・共栄することこそわれわれの本当の願いなのだ。

目的のためには手段を選ばない公明党

2005-09-02 21:32:54 | 政治経済
選挙カルト集団公明党がまたしても目的のためには手段を選ばない無節操ぶりをみせている。自民党とともに「郵政民営化に賛成か反対かを問う選挙だ」「郵政民営化法案をつぶした人たちをこの選挙で勝たせてはならない」と神崎代表はかっこよくスタートをきった。ところが、裏では自分たちの選挙のために反対派をひそかに応援しているのだ。
郵政民営化法案に反対したため、新たな、自民党公認候補がたっている22選挙区で、公明党は公認候補を推薦せず、ひそかに公認をはずれた反対派を応援している。岐阜1区の反対派野田聖子をはじめ、全面支援、あるいは「自主投票」とういうかたちで、今回支援を受ける反対派議員の大半は、前回総選挙で、公明党の支援を受け、見返りに公明党に比例票を差し出した実績の持ち主である。
最近では首相補佐官「山拓踏み絵事件」が有名だが、選挙で公明党・創価学会に対し「異体同心」の誓いをたてることは、将来にわたってこのカルト集団に支配されることを意味する。縁を切るのは大変だ。ああ、くわばら、くわばら。

財界の要求に忠実に応える「実直・岡田」

2005-09-02 09:27:49 | 政治経済
世間のマスコミは、首相選択、「信念・小泉」か「実直・岡田」かなどと、もて囃している。小泉の正体が、山師、詐欺師であることは、昨日明らかにした。今日は、民主党・岡田代表が、いかに財界の要求に実直であるか明らかにしよう。「信念・小泉」も「実直・岡田」も国民にとっては、まことに迷惑な存在といわざるを得ない。
31日のTBS報道番組収録で、岡田代表は、「社会保障費が増えるのにリンクする形での消費税増を考えなければいけない」と述べ、民主党がマニフェストに盛り込んでいる年金目的消費税導入に加え、将来の消費税率引上げを考えていることを明言した。別のところでは、社会保障の保険料方式を(消費税を財源とした)税方式に変えますといっている。これに法人税率引下げを加えれば、まさに「奥田ビジョン」そのものではないか。
いかなる負担増も阻止したい財界にとって、社会保障の財源が保険料方式ではなく、税方式、なかんずく消費税方式に一本化されることは、長年の野望である。なぜなら、消費税は大企業には一切負担とならない仕組みとなっているからだ。仕入れ時に負担する消費税はあくまで、仮払いであり、製品価格に上乗せした(買い手に転嫁した)受取消費税から、控除するので、結局一銭も消費税を負担しない。保険料は現在の仕組みで労使折半なので、保険料が引き上げられると半額は企業の負担となってしまう。税方式、消費税方式は、財界にとって、社会の主人として、当然に分担しなければならないものまで投げ捨て、自分だけ生きようとするまことに身勝手な許されざる要求なのだ。
岡田民主党は、実直にこの身勝手な要求に応えて、政権を呉れと叫んでいる。総選挙ではきっぱりとNOの審判を下さなければならない。


「戦略家というより策士」というより山師=小泉首相

2005-08-31 22:02:48 | 政治経済
時事通信によれば、31日付仏紙ルモンドは、国際面トップで日本政治の特集記事を掲載、小泉首相について「戦略家とういより策士」と辛らつに批評したとのことである。「策士」の仏語のニュアンスは私には解らないが、選挙運動を見る限り、正確な日本語でいえば、詐欺師、山師である。選挙で訴えることは、郵政民営化だけ、それも山師よろしく、他人を欺く話ばかり。
「38万人の国家公務員が、郵便局の仕事をしております」⇒郵便局でアルバイトをしているフリーターや主婦12万人を含めた話。国家公務員といわれ本人たちもびっくりしていることであろう。「警官は約25万人、自衛隊は約24万人、・・・これほど公務員が削減される改革はほかにないんですよ」⇒現在国の税金を一番使っている給与支給先は、自衛隊、公社は、独立採算で稼いでいるから、郵政職員には一円の税金もつぎ込まれていない。「郵便局はどんな仕事をしても、税金、法人税を納めなくてよい」⇒郵政公社は4年ごとに、利益の五割を国庫に納付することになっており、政府経営試算によれば、2016年時点で国庫納付金の方が、民営化による法人税等よりも600億円近く多く国の財政に貢献することが、国会論戦で明らかになっている。
とうとう、「行財政改革も、公務員削減も、経済活性化も、税負担の軽減にも不可欠なのが郵政民営化」とNHKテレビで発言、アナウンサーから「郵政民営化がさまざまな改革にどうリンクするんですか」と聞かれ、まともに応えられず、「なぜ26万人の国家公務員でなければ、郵政事業はできないのか」と同じ話を繰り返すばかり。
イラクの自衛隊が問題となったとき、「自衛隊の居る所が非戦闘地域です」と平然といってのけ、国際的に笑い者となっている小泉に、しっかりと審判をくださないと、今度は日本国民が国際的笑い者になるだろう。日本のメディアより、外国メディアの方が、はるかにしっかりと事態をみていることは、われわれが、しばしば経験することである。

総選挙の焦点

2005-08-30 21:30:00 | 政治経済
第44回衆院総選挙が30日公示された。すでに本欄で一連のコメントをしてきたように、今回の総選挙の焦点は自民・民主の激突でもなければ政権選択を問うことでもない。朝日も毎日も日経もすべて国民の目から事態の本質をそらすために働いている。郵政民営化法案がなぜ廃案になったのか。小泉構造改革ー大企業に対する負担を軽減し、活動の邪魔になる規制を取り外すことーが庶民や中小企業の犠牲のうえに行われた矛盾が旧い自民党員に反映した結果である。
財界・大企業はこの矛盾を小泉自民党、岡田民主党を競わせながら、そしていまや権力亡者となってしまった公明党を使って、いっそう庶民、弱者に犠牲を押し付ける方向で、突破しようとしている。自民・民主・公明は正真正銘の軍事協力(後方支援でなく)を要求するアメリカの意向を逆手にとって平和憲法を投げ捨てようとしている点でも共通である。
今度の選挙、そして資本主義のグローバル化の進行とともに今後の選挙では支配的資本の支援のもとに、彼らの利益のために働く政党か、国民の利益を守り資本の攻勢に歯止めをかけ、弱者のために働く政党か、この選択・対立こそが長く続く政治的焦点となる。


「広く薄く負担」に拍車をかける自・公・民の大増税路線

2005-08-29 22:21:32 | 政治経済
所得の高い者が何で、低い者の面倒を看なければならないのか。豊かな都会が何故、貧しい地方への補助金の面倒をみるのか。衰退産業は淘汰されるべきで、公共投資は、成長産業を強化する方向に向けるべきだ。自・公・民はこのような考えに立って、2007年にかけて、所得税、消費税の大増税をたくらむ。選挙のときは、サラリーマン増税をしませんなどと得意の詭弁を使ってはいるが。所得や雇用の格差拡大、地域、産業間の「勝ち組」と「負け組」の亀裂が益々大きくなろうとしている。
戦後の憲法は、国民の権利や生活を保障し、水平的公平を実現するために垂直的公平=応能負担、累進課税を原則としてきた。改憲策動は直接的には自衛隊の軍隊への格上げを狙ったものであるが、経済的側面からは、民主的人権攻撃でもあるのだ。
所得の高い者、「勝ち組」は自分ひとりで、所得を稼いだわけではない。多くの人々の協業、そして市場で認知されたおかげである。市場原理に基礎をおく経済が「交換」原理にたつのは、当然であるが、「再分配」原理を取り入れなければ、社会主義崩壊のまったく逆の過ちを犯すことになる。経済は「勝ち組」だけでは絶対に成り立たない。
圧倒的多数の国民の所得、消費の低迷は、日本経済の再生産過程の破壊、社会の崩壊である。どの程度「再分配」原理を機能させるかは、政治闘争の結果であり、社会科学的には階級闘争の結果である。天は自ら祐くる者を助く。今回の選挙は国民の意思を示す大変重要な政治闘争、階級闘争なのである。