辻総合研究所ーTsuji Consulting

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ブダペストでの国際展覧会出展レポート

2015-01-20 19:15:12 | Weblog
NEWSLETTER No.2


越前焼ニュースレター第2号 
「ハンガリー国際展覧会・親善演奏会への越前焼出品参加最終報告)―2014年11月4日~11月21日」

2014年11月21日

皆様に越前焼ニュースレター第2号をお届けいたします。

1. ハンガリーステファナ城国際展覧会・親善演奏会出品の経緯




(ステファナ城国際展覧会・親善演奏会招待状)
(C:K.NISHIKAWA)
2014年は、既に2回の越前焼展覧会が終わった.第1回目は2月、パリ市7区の区役所だった。第2回目は4-5月、パリ日本文化会館だった。それが、突然フランス以外の国で日本の美をテーマとした国際展覧会に参加することになった。
今回のハンガリー、ブダペストでの国際展覧会出品参加は、11月4日がオープニングで、その3週間前にお話が有り、短期間での資料等の準備が間に合うかどうかの瀬戸際だった。最初は、躊躇した。フランス側の協力者であるエリゼクラブの西川代表から、越前焼が、私の家で保管してある話をしたら、「それはもったいない、ぜひ外でいろいろなひとにみてもらうほうがよい」と言われ、そうだと思ったのが一つのきっかけだった。その通りだと思い出品参加を決めたのだった。もちろん各6人の作家に承認をすぐ得た。越前焼の6人の作家とは、司辻光男氏、幸炎れい子氏、大屋宇一郎氏、新藤聡子氏、近藤信康氏、近藤早苗氏だ。
ただし条件があった。それは運送費を集めることだった。運送費の一部を負担することになった。それと同時にこちらからは、運送時に保険を掛けることを申し出た。

「善は急げ」、で今回は承諾したが、後で考えて見るとまだ保険の問題が残っている状態だ。その他のことも詰める時間はなく、それぞれアジアの作家が準備するということでスタートしたのだった。もちろん、越前焼をヨーロッパに広く知ってもらおうという目的から見れば、今回のハンガリーでの国際展覧会・親善演奏会というのは大きな転換点になった。フランスで2回展覧会をしたが、いずれも、販売ありの経験だったのだが今回は,販売があるかもしれないという予想の下、出品することになった。共同で出品するのも初めてだった。
今回は、越前焼参加は最後に押し込んでもらった形になったため、何しろ時間が足りなかった。作品は全部で11点だった。12人の出展アーテイストたちの中で、6人が越前焼作家だった。誰もハンガリーに来る人はいない。これからは、誰か一人でも作家が来た方がいいと思った。
 

(越前焼、司辻光男氏と幸炎れい子氏の作、花瓶)
 

2. 準備段階

 準備は、福井の方で、いろいろな方面への呼びかけをした。私がお願いの手紙を書き、必要写真、必要資料をつけてそれを配布した。辻きぬ(実行委員会事務局長)が、私の手紙と関連資料をもっての寄付金集めは簡単ではなかった。私の学校の恩師、高校の同級生、福井日仏協会、友人、知人にあたった。一方で、フランスでは、前にパリでの展覧会に来てくださった方々にも声をかけたが、150人以上手紙とメールで呼びかけて、5人の返事だった。ここに既にパリでの経済的限界が見えてきた。


(越前焼、幸炎れい子作、花瓶)


 日本である程度のお金が集まった時点で、パリに送ってもらった。そして、継続事業にするなら、寄付金集めだけに頼っていてはいけない点が浮き彫りになった。これは元高校の同級生である,山崎真名美さんの意見が大いに役に立った。越前焼展覧会事業は、寄付金集め以外のほかの方法を取り入れる方向へ歩みだそうとしている。



3.当日オープニングセレモニーの様子
 
最初の日、11月4日(火)に、オープニングセレモニーが開催され、ステファナ城主のヘンデ・チャバ、ハンガリー国防大臣、また大臣招待の各国大使,公使がいらっしゃった。マルセル・サボ(ピアノ)、中野公輝(ピアノ)、アスカー・イシャンガリエフ(チェロ、パリ在住)らによる日本・アジア・ハンガリー親善コンサートが行われた。演奏はどれも素晴らしかった。拍手が鳴り止まないほどだった。


(越前焼、大家宇一郎作、花を担ぐシマウマ、新道聡子作、花入れ、司辻光男作、風)



(アジア人作家の作品)




(Mikalyn作、屏風と書)

 
(Anne Kagioka―Rigoulet 作、絵画)
(ヘンデ チャバ、ハンガリー国防大臣)













(オープニングセレミニーに集まったハンガリー人)


(オープニングパーティに集まったハンガリー人たち)















(在ハンガリー日本国大使館公使)





4.ハンガリー人の反応について





















(Mikalyn作の書と屏風の作品を鑑賞するハンガリー人)

ハンガリー人の反応はというと、批判めいたことは口に出さず、日本・アジアの美術の
美しさを称え、「綺麗だ」、「素晴らしい」、「美しい」と口々に言う。全体としての展覧会の設営の仕方が上手だったのだと思うが、全部が見渡せるようになっていた。越前焼は奥の部屋で、大事に展示されてあった。私が訪れた他の日に、意見を聞いてみると、その人たちは皆「いけ花」を知っていたのには驚いた。フランスでは、一部の人が知っているが、ほとんどは知らないのだ。
ハンガリーは文化水準が高いとは聞いていたが、日本のことも一般の人に知識があるのだと思った。




5、併設展のTV放送

 温泉併設のホテル、イエールで・ホテル(ローザ夫人所有)にて、11月5日~12月5日まで、同時期に展覧会を開催した。出展参加作家は、」Mikslyn、Sun Young Min, Lika Katoだった。越前焼は含まれていない。
昨日、届いたばかりのニュースだが、国営のTV局が、この国際展覧会の様子をTVで、放映したとのことだ。以下がその、アドレスだ。中ほどになると併設展の様子が出てくる。

http://erdmediacentrum.hu/tv/2014/11/04/hirado-2014-november-04/

もう少し経てば、ステファナ城での展覧会と演奏会の様子が、国営放送のTV局で放映されるという。

 温泉がたくさんあるときいたが、1日日帰りの温泉もあると聞いた。今回は水着を持って行かなかったので体験はできなかった。



(越前焼、近藤早苗作、へんこ花瓶)

 














(越前焼、司辻 光男作、道)
(越前焼、司辻光男作、道)


6.今後の課題について














(越前焼、近藤 信康作、火もらい)

今回は、多くの参加者の中に、越前焼作家も入れていただいた状態だった。まず、条件が違っていた。販売をするのかしないのか、はっきりしない状況の中でスタートした。もし売れた場合のコミッションなど何も決まっていなかった。契約書をやはりアジア人同士でも作成したほうがいいのだろうか。そして、今も気になる保険の問題だ。














(越前焼、近藤信康作、急須、)
















(越前焼、左:幸炎れい子作、手付き花瓶、ヘンデ・チャバ、ハナガリー国防大臣所有、ステファナ城内、右:司辻光男作、花瓶)



 












(右:ローザ・フルマン前OECDハンガリー大使夫人、今回の協力者)

現在は、無事に事故なく作品がパリに戻ってきてくれることを祈っている。一方で、運送時もその他の目的での移動中も適用されるアート関係保険を探している最中だ。いくつか保険会社が見つかった。

今後のこととして、一つでも割れたら大きな損失になることを考えれば、そこには責任が伴う。保険には必ず入るという条件を出して、できないなら参加も見合わせるという決断になるだろう。そのためには、自分たちで企画する展覧会事業は、経費がかかるため、県の補助金制度なりを研究しようと思い、先日福井産業支援センターに訪れてみた。担当者とも会って話をした。そういう制度を活用するか、メセナ企業を見つけるか、もう個人的な寄付行為にだけ頼っていてはいけないと思った。その思いを強くしたのが今回の参加だった。
でも共同で日本の美をテーマにした国際展覧会に参加したこと自体は良かったと思う。全体として前進したと思っている。フランスだけではなく,ハンガリーにまで拡大した意義は大きかったのではないだろうか。越前焼展覧会が継続事業を目指すことになったことは確かな前進になったと考える。
(文責:辻 秀子)

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