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Nicomachusの園 Ⅲ

2007年度総合倫理の課題とコメント

第一回 レミオロメン「3月9日」と「旅立ちの日に」の共感について

2007-04-13 00:06:26 | Weblog
先日、校内の合唱コンクールがあり、久しぶりに合唱曲について調べる機会がありました。表題のレミオロメン「3月9日」も自由曲として取り上げたクラスがありましたし、全員合唱は「旅立ちの日に」でした。この両方の曲とも卒業式のシーンで最近よく歌われる人気曲なのだそうです。

そういえば、NTT東日本のTVCMでスマップも「旅立ちの日に」を歌っています。(CMシーンはこちらから)「旅立ちの日に」はいまから15年ほど前、埼玉県のある中学の先生が卒業する生徒のために作った曲が、瞬く間に全国に広がっていったものです。(けっしてメジャーではない曲が口コミで広がっていったというのは希有な現象ですし、この曲が多くの若者たちに支持される何らかの理由があったということではないでしょうか。)

さて、もうひとつのレミオロメンの「3月9日」は、もともと友人の結婚式のために作ったと言われていますから、必ずしも卒業式とは関係ないものでした。それが、TVドラマ「一リットルの涙」の挿入歌として使われ、大ヒットします。(わたしはこのドラマを見ていないので卒業ソングとドラマとの関連については説明できません。
まずはこちらからPV動画を見てください。)

「瞳を閉じれば あなたが
まぶたのうらに いることで
どれほど強くなれたでしょう
あなたにとって私も そうでありたい」

このサビのことばがもっとも胸にグッと迫る部分です。(歌詞の方は、こちらから)
この歌にある「あなた」と「私」は、これから一緒になる男女のことでしょう。新郎となる友人の男性に思いを重ねて歌っていると推測されます。しかし、この「あなたと私」は必ずしも男女の関係にしなくてもいいようにも思われます。あるいは、密かに「あなた」に思いを寄せている「私」が女性であってもかまわないでしょう。いい歌というのは、無意識のうちに意味の普遍性を持ってしまうものです。つまりだれもが自分の経験のうちから見いだせる言葉としてとらえられる可能性を持っているということです。

今回のテーマは、「共感」ということです。このレミオロメンの「3月9日」が卒業シーンに重ねて歌われるというのはなぜなのか、考えてみたいと思います。

もうひとつ、「旅立ちの日に」についても、卒業ソングの定番として支持される理由がどこにあるのか考えてみたいと思います。


小嶋  登  作詞
坂本 浩美 作曲
松井 孝夫 編曲

「白い光の中に 山並みは萌えて
遙かな空の果てまでも 君は飛び立つ
限りなく青い空に 心ふるわせ
自由をかける鳥よ 振り返ることもせず

勇気を翼に込めて 希望の風に乗り
この広い大空に 夢を託して

懐かしい友の声 ふとよみがえる
意味もないいさかいに 泣いたあの時
心通った嬉しさに 抱き合った日よ
みんな過ぎたけれど 思い出強くだいて

勇気を翼に込めて 希望の風に乗り
この広い大空に 夢を託して 」(以下、省略。歌詞はこちらから)

「勇気」「希望」「夢」といった合唱曲定番のフレーズ満載の歌詞であるが、この曲のどこに「共感」するのだろうか?みなさんはどう思いますか。つぎの設問について考えてください。

(設問1)「瞳を閉じれば あなたが…」の部分の意味がどのような「共感」を導き出していると思うか、説明しなさい。

(設問2)「旅立ちの日に」の歌詞のどの部分に「共感」の要素が表現されているか、説明しなさい。

(設問3)「3月9日」と「旅立ちの日に」に共通する要素(卒業ソングとしての要素)は何か、説明しなさい。

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2007-04-12 22:04:00 | Weblog
2007年度授業用ブログを開設します。昨年度に引き続き、J-POPを中心とした楽曲を取り上げて、その中での倫理的な課題について探求していきたいと思っています。昨年度は、戦争と平和から環境問題まで比較的社会的な問題について言及している楽曲を取り上げることが多かった気がします。また、生と死など死生観をめぐる問題も取り上げました。今年度は、少しスタイルを変えてみようかと考えていますが、最初は、例年と同じようにPOPSの歌詞からヒントを得たいと思っています。たぶん、テーマとしては「感情」「情緒」「情感」といった、いままで直接には扱ってこなかった分野に踏み込むことになるのではと思っています。では、こうご期待。