二学期の最後の授業から一ヶ月も経ってしまったので思い出しながら書いています。みなさんが解釈しているように、この歌は、「あなた」という特別な大切な存在について歌っています。「あなたが花なら 沢山のそれらと 変わりないのかも知れない」という一節にだけ「花」ということばが、それも「あなた」の「たとえ」としてというより、比較のことばとして出てきます。しかし、どうもなぜ「花」でなければいけないのかしっくりきません。まして「花の名」というタイトルが意味深です。そこで、BUMPの曲で花の名をタイトルにしたものを調べてみると、「リリィ」という曲があります。(歌詞は、こちらから)この中でこんな一節があります。
「やっぱり僕は唄うよ もう一度叫び唄うよ
今まで一度も使うことのなかった 言葉を混ぜて
<中略>
こう呼ばせてくれないか 「最初で最後の恋人」
この唄が 部屋のドアを叩きに来たって 胸を張れるから」
この「リリィ」という曲はBUMPの藤原が下積み時代の体験をそのまま歌にしたような内容です。「リリィ」はそこで「最初で最後のヒト」として登場します。
「僕だけに 歌える唄がある あなただけに 聴こえる唄がある」というのは、この「リリィ」の中で出てくる「唄」ということかもしれません。
「リリィ」の曲は、まさに現在進行形での「君」との関係を歌ったものです。しかし、「花の名」には具体的に「リリィ」の名は出てきませんし、この中の「あなた」はどちらかというと過去を回想するような距離があります。その分だけ、楽曲「花の名」は普遍性を獲得しているとも言えます。つまりBUMPの藤原の個人的な体験にある出来事とは無関係に、この曲を聴く者はだれでもそれぞれの個人的な経験に置き換えて解釈を可能にするものとなっているということです。
だから、「花の名」とはそれぞれの人がそれぞれ大切に思う人がいて、そういう特別な存在が人生に生きる意味を与えている、と解釈することができるわけです。
「僕がここに在る事は あなたの在った証拠で
僕がここに置く唄は あなたと置いた証拠で」
「生きる力を借りたから 生きている内に返さなきゃ」
これは「リリィ」の中に表現されているような体験が背景になっているのだと思います。藤原がアーティストとして歌を作り、音楽活動するということの原点がここにあるのだということだと思います。
もちろん、こういう背景を「花の名」の歌詞から推測することもできません。はたして「花の名」とは「リリィ」(Lily 百合の花)のことを意味するのかどうかもわかりません。だから、ここは何か特定の「花の名」が隠されていて、その花の名と特別な人とが結びついているのだと解釈するのがいいかもしれません。そうすればこの楽曲のひろがり、普遍性を感じ取れるものになります。
映画「Always」は昭和30年代の懐かしい光景を再現してヒットしました。古きよき時代へのノスタルジーというのは、たしかに映画の重要な要素にはちがいありません。しかし、この映画のテーマはたんなる懐古趣味ではないでしょう。喪われてしまったのは、よき時代の光景だけではなくて、その中で生きる人々の人情やひとひととの結びつきであろうと思います。(原作の西岸良平の漫画が描くのは登場人物の温かい人柄、何でもない日常でのアカの他人どうしのきずなです)
「皆 会いたい人がいる 皆 待っている人がいる」というのは、映画「Always」の登場人物から出るような言葉ではありません。楽曲「花の名」が映画のシーンに重ね合わせられるとしたら、喪われた過去への思いがリンクしてくるからだと思います。
「やっぱり僕は唄うよ もう一度叫び唄うよ
今まで一度も使うことのなかった 言葉を混ぜて
<中略>
こう呼ばせてくれないか 「最初で最後の恋人」
この唄が 部屋のドアを叩きに来たって 胸を張れるから」
この「リリィ」という曲はBUMPの藤原が下積み時代の体験をそのまま歌にしたような内容です。「リリィ」はそこで「最初で最後のヒト」として登場します。
「僕だけに 歌える唄がある あなただけに 聴こえる唄がある」というのは、この「リリィ」の中で出てくる「唄」ということかもしれません。
「リリィ」の曲は、まさに現在進行形での「君」との関係を歌ったものです。しかし、「花の名」には具体的に「リリィ」の名は出てきませんし、この中の「あなた」はどちらかというと過去を回想するような距離があります。その分だけ、楽曲「花の名」は普遍性を獲得しているとも言えます。つまりBUMPの藤原の個人的な体験にある出来事とは無関係に、この曲を聴く者はだれでもそれぞれの個人的な経験に置き換えて解釈を可能にするものとなっているということです。
だから、「花の名」とはそれぞれの人がそれぞれ大切に思う人がいて、そういう特別な存在が人生に生きる意味を与えている、と解釈することができるわけです。
「僕がここに在る事は あなたの在った証拠で
僕がここに置く唄は あなたと置いた証拠で」
「生きる力を借りたから 生きている内に返さなきゃ」
これは「リリィ」の中に表現されているような体験が背景になっているのだと思います。藤原がアーティストとして歌を作り、音楽活動するということの原点がここにあるのだということだと思います。
もちろん、こういう背景を「花の名」の歌詞から推測することもできません。はたして「花の名」とは「リリィ」(Lily 百合の花)のことを意味するのかどうかもわかりません。だから、ここは何か特定の「花の名」が隠されていて、その花の名と特別な人とが結びついているのだと解釈するのがいいかもしれません。そうすればこの楽曲のひろがり、普遍性を感じ取れるものになります。
映画「Always」は昭和30年代の懐かしい光景を再現してヒットしました。古きよき時代へのノスタルジーというのは、たしかに映画の重要な要素にはちがいありません。しかし、この映画のテーマはたんなる懐古趣味ではないでしょう。喪われてしまったのは、よき時代の光景だけではなくて、その中で生きる人々の人情やひとひととの結びつきであろうと思います。(原作の西岸良平の漫画が描くのは登場人物の温かい人柄、何でもない日常でのアカの他人どうしのきずなです)
「皆 会いたい人がいる 皆 待っている人がいる」というのは、映画「Always」の登場人物から出るような言葉ではありません。楽曲「花の名」が映画のシーンに重ね合わせられるとしたら、喪われた過去への思いがリンクしてくるからだと思います。
何だかんだで、今の世の人間関係におけるつながりの薄さを実感させ、昔のよかったところを思い出させてくれる歌のようですね。
かくいう自分も、最近受験勉強から来るプレッシャーからか、ほかの人と接する態度が冷淡でありますので、いけないなと痛感するところがあります。
当たり前に接することの大切さ、しなかったときの代償が目に見えてきそうな今日この頃を過ごしていますね。
自分ごとになってしまい失礼しました。
リリィもBUMPファンの間では有名な曲ですが、確かに似たような世界観がありますね。繋がるものがあるのだと思います。より普遍性のある曲になっていると思います。誰にでも当てはまる普遍性、そこがより多くの人が登場する映画のテーマと合っているのでしょう。
先月辺りに『花の名』も収録されている新しいアルバム『orbital period』が発売されました。曲を作っている藤原さんの世界観が色濃く出ていてとてもいいアルバムだと感じました。先生もよかったら聞いてみてください。