プラムが咲いて、足踏みしていた春が又動き始めた。
常念の雪が少しづつ薄くなって、常念坊が姿を見せた。
黒い僧衣をまとった常念坊様は
貧乏徳利を下げて麓の作り酒屋に酒を求めて下りてくる。
後ろに従えた短足の犬は、坊様の愛犬という人もいるけれど、本当は怪しげな風体に犬が吠えついたということらしい。
坊様のこの小さな徳利は、なんと店先の四斗樽が空になるまで飲み込んでしまったという。
もちろん代金は徳利1本分しか払わない、しかし四斗樽に余るご利益が約束されたというから、店主さんもホクホク。
カモシカと言う人もいるけれど、今年はかたくなに羊である。
半月