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【取材記事】広告不要?蘭の新風メディア「デ・コレスポンデント」(後編)

2016-07-22 10:36:41 | 独自取材


2016年6月16日、早稲田大学にてシンポジウム「オランダ発『デ・コレスポンデント』が示す参加型ジャーナリズムのかたち」が行われた。共同設立者ロブ・ワインベルグ氏、ヘラルド・デュンク氏が講演を行った。2人の発言趣旨は以下の通り。【山下雄太郎】


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『デ・コレスポンデント』(特派員という意味)を立ち上げる当初、オランダのジャーナリストから、批判が多かったという。ジャーナリストには、「自分の仕事のやり方を変えようとしない人が多い印象があるからだ」とワインベルグ氏は述べている。

しかし、新しい形のメディアが登場したということで、ユーザからは喜びの声が非常に多かった。ユーザにとっては議論に加わったり、記事をよくしたりするなど新しいことができるからだ。

欠かせない知識のネットワーク

運営では失敗も経験した。採用面では、考え方が稚拙なメンバーも中にはいて、同じ方向に向かせるというのが難しかった。さらに立ち上げの際に、寄付をしてくださる意思をもつ方が多くいたにも関わらず、寄付を募らなかったのが資金面での失敗だった。

デ・コレスポンデントは、広告を出していないので、1つのページのクリック数は気にしていない。長期的なスパンで、個々のページのクリック数を見て、オーディエンスがどの記事を評価してくれているかを重視している。

また、オーディエンス同士がつながりを深めてできる「知識のネットワーク」を意識している。さらにそれを国際的に広めていくことも、視野に入れている。将来的には日本を含めた様々な国で、記事を配信、関係性の構築ができればいいと考えているという。




また、ヘラルド・デュンク氏も、『デ・コレスポンデント』の共同設立者であり、クリエイティブ・ディレクターだ。

購読者から「記事がよい」という評価をもらう。さらに記事の良さや質の高さというのをシェアされたりする。それによって購読者から、記事を受け取った人は、デ・コレスポンデントに興味を持って、購読者になろうと意思が高まるという仕組みだ。

購読者は様々なところにリンクをはることで、たくさんの人が興味をもち、デ・コレスポンデントについて知る。まず、知名度を高め、サイトにビジターが増える。そうすることで、購読者だけではなくて、世界中の人たちに、リーチを伸ばせる。




それによって興味をもった人が、デ・コレスポンデントの新しい購読者になってくれている。このような循環が実際にとても有効だ。新しいメンバーを増やすことにつながる。

サイトに投稿するコメントは、購読者のみしかできない。コメントを残して「協力する」ためには、実名を使う必要がある。実名を使うことで、へたなことはあまり発言できない。そのため大人の会話が、読者間や執筆者の間で行われる。

時々行き過ぎる場合や、問題のある発言をする読者については、それなりの処置はしっかりとる。問題のある読者のアカウントをチェックする。その結果会話が、購読者=読者の間で行われる。

基本的に今まで、テレビのジャーナリズムが長い間、一方通行の状態だった。ジャーナリストが視聴者に対して基本的に情報を与えるだけで、返答している関係がとれていなかった。

欠かせない記者とデザイナーのすり合わせ

しかし、デ・コレスポンデントの場合は、読者・購読者と相互的な関係を築いている。記事を書いた人に対して、自分の意見を述べる。そのため、今までよりもいい記事、全員の意見を反映できたいい記事がつくられるというわけだ。

記事を書いたジャーナリストの中には、まだ信頼のないジャーナリストもいて、読んだ人が、自分の意見を言い返せない。そこで、デ・コレスポンデントでは、お互いに話し合ってよい記事をつくる関係を築くよう努力している。



デ・コレスポンデントの記事は、1時間ほどで書けるような、小さなものと、数ヶ月もかかるような記事で分かれている。基本的な流れとしては、記事の編集を先にやってから、記事のデザインを整えて編集する。

さらに一番注目すべきは、記事の一番最後にあるコメント欄。このコメント欄の書き込みは実名で行われている。




デ・コレスポンデントの記者は記事を書くために、必要な材料をそろえる。本を読んだり、インタビューを行ったりする。小さな記事を書いて、取材活動していくにつれて、話が大きく肉付けされるケースも多い。

記事を書くプロセスの中で、デザイナーとジャーナリストの間で早い段階で連携をとることも大切だ。どんな記事をつくるか話し合いをしていく。その際、多くの人が興味をもつよう、ビジュアライズ化・視覚的に訴えかける記事にすることで、誰もがわかりやすい記事にしていく。(終)

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