中国が日本制圧に要する
ミサイルは「647発」
「お父さん、ミサイルは何発必要?」
そんなジョークの裏に潜む軍拡中国の悪夢
ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN
【想定】 中国人民解放軍の将官の家庭。息子が聞いた。
「ねえ、お父さん、オーストラリアを攻撃して
制圧するには何発くらいのミサイルが必要なの?」
【動画】中国は近い将来、すべての人工衛星を撃ち落とせるようになる
「そうだなあ。そんなことはよく分からないけれど、
おそらく300発くらいじゃないかな」
「じゃあ、ドイツを制圧するためには?」
「どうだろう。もしかしたら、1000発以上は必要になるかもしれないね」
「ふうん。じゃあ日本は?」 父は間髪入れずに答えた。 「647発」
◇ ◇ ◇
息子の質問に対して詳細に即答する将官。
どうやら日本に対する攻撃作戦は、随分と綿密に立てられているらしい。
「647発」どころか、現実はさらに厳しい。
中国軍は既に日本全土を射程に収める
中距離ミサイルを2000発ほど保有しているとされる。
台湾有事の際、中国は日本国内にある米軍基地への
先制ミサイル攻撃を想定しているともいわれる。
中国は最新鋭兵器、極超音速ミサイルの開発も進めている。
マッハ5(音速の5倍)以上の速度で飛行し、
複雑な軌道を描くこともできる極超音速ミサイルは、
アメリカのミサイル防衛(MD)システムさえ回避できるという代物である。
そんな驚異的な進化を遂げる中国人民解放軍は
陸軍、海軍、空軍、ロケット軍などから成り、中国共産党の指導下にある。
つまり、「国軍」というより実際には「党の軍隊」とも言える。
一党独裁を続ける共産党の軍隊が世界最強になるという
悪夢のような現実が、まさに刻々と近づいているのである。
中国における国防予算の膨張は世界中が危惧するところである。
2022年の国防費は前年比7.1%増の約1兆4500億元(約26兆3000億円)。
これは日本の防衛予算の実に4倍以上の額だ。
ウクライナ侵攻によって世界の目がロシアに向けられている今、
中国は息を潜めながら各国の様子をうかがい、さらに力を蓄えている。
中国軍は強いか弱いか?
ただし、中国軍が本当に精強なのかどうかについては議論もある。
例えば「世界最大の海軍」といわれることもある中国海軍だが、
実は「これまでに敵の艦船を沈めたことがない。
あるのは非武装のベトナムの漁船だけ」と揶揄されてもいる。
今回のロシアとウクライナの戦争においては、
ロシア軍が苦戦に陥っている要因の1つに、
「ロシア軍が中国製の粗悪な軍用タイヤを使っている」という説も浮上。
軍の車両が品質の落ちるタイヤを使っているため、
泥土にはまるなどして十分な能力を発揮できていないという。
こんな指摘をされるようでは、
「本家の中国陸軍の実力はどの程度なのか?」といった疑問も湧く。
無論、だからといって、日本としては油断などできるはずもない。
国防に関する議論さえ、ぬかるみにはまるような国では、
相手を利するのみである。
【早坂 隆(ノンフィクション作家、ジョーク収集家)】
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