nagao's blog WanderVogel

WanderVogel、山歩きと自然観察

Phuへの旅07・2018年12月9日(日)プー → キャン → チャク

2018年12月31日 | WanderVogel Nepal

(第5日目):プー phu (4,080m)  → キャン kyang (3,887m) (昼食) → チャク chyakku (3,800m)

 Trekking:6.0h (chyakku泊)

 

朝7時起床し、7:10朝食を取る。なんだか今朝は、寒気がすると言うよりも身体の芯からゾクゾクするイヤな寒さだ。

朝食の時に聞いてみるとこのバッティの一家も含めて、村人はだいたいみな今日中に下のkyang村まで下るのだそうだ。

いやそうだとすると、昨夜いきなり来て泊まることが出来て、ホントにラッキーだった! というか、1日ズレていたらどうなっていたことか!ほんと今回も冷や汗ものだな。

phu村では冬は、年寄りは動物たちを連れてkyang村あたりまで下って「冬ごもり」をするのだそうだ。若い人はカトマンズまで出稼ぎに行くという。

12月以降の冬期間は、まとまった積雪があるとkyang村からphu村までの山道(生活道)が閉ざされてしまうので、村人はみな下の村に下るとのこと。そうなると、我々のような外国人がこの間にトレッキングをすることなど到底 ”無理”ということだ。なんとか村までたどり着いても泊る場所もなく、食事すら手に入らないというのでは、命にも関わる問題だ。

ひと雪ドカッと降ればそれこそ言葉通り「進退窮まる」事態になりかねない。

 

村人と共に下って行くロバや馬、ヤクの隊列を眺めながら、ガイドのラムさんと「いやぁ~、ギリギリセーフ!という感じだったな。到着が一日遅れていたら途方に暮れていただろうな」などとしみじみ話しをした。

 

7:30~8:30頃までphu村を散策。村自体はそれほど大きくないので1時間もあればぐるっと一周することが出来る。

すり鉢状の地形に沿って家屋が展開しているphu村の裏山頂上に建てられている古いゴンパまで登ってみる。

上からの村の俯瞰もなんとも幻想的で不思議な光景だ。チベット族独特の形状の陸屋根の家屋がすり鉢状に積層し並んでいる都市(村)の姿というのは他では余り見たことのないゾクゾクするほど独創的な光景だった。(僕が出発間際に見た写真がまさしくこれだった。)

 

チベット族独特の静かで凛とした小村の佇まいと厳しく絶望的な自然の美しさがここには混在している。

小さな村の規模に不釣り合いなほどの大きなゴンパ(チベット仏教僧院)と道々に点在するチョルテン群。寒風にたなびくたくさんのタルチョー。

見れば見るほど「なぜこのような厳しい地をわざわざ選んで村を造った?」という素朴な疑問が頭をよぎる。いや、これはここだけに限らず、チベット族の村の中には「どうしてこのような過酷な地に住み続けるのか?」というところが案外多い。

 

4,080mのphu村でも夏の間は(種類は解らないが)”麦”が収穫出来るのだそうだ。逆に荒れた地でも育つ”蕎麦”は標高が高いゆえに育たないのだと言う。この乾燥した地だと青菜類も採れそうにないだろうし、耕作の条件としては最悪な土地の部類だろう。食料にせよ他の物資にせよ、ヤクや馬、人の背を利用して運び込むしか方法が無いのだが、交易の民「チベット族」ならそのあたりはno problemなのだろう。

 

その光景は有機的で先進的な一群のテラスハウスを思わせるものだった。

 

9時を回ると河原まで太陽の陽射しが射し込み、phu村全体に陽が当たり出す。

昨夜泊ったロッジも各扉に外から大きな錠が掛けられ、旅立ちの準備をしている。ロッジの一家はみな今日中にkyangに下るのだと言う。

 

phuを出発すると、あとは基本的に下るだけだ。道々のバッティーやロッジの事情も解っている。そう思うと昨日までと違い精神的にけっこう楽なものだ。快晴の天気に気分も良く、鼻歌まじりで歩いて行ける。

 

昨日時間が無くパスした彩色鮮やかな古いチョルテン群もつぶさに見て回ろう。

それにしても、この荒涼とした世界との対比はどうだ!何度も言うが、なぜにこんなにも荒涼とした絶望的な地をチベット族はあえて選ぶ?

道脇のところどころに建つ立派な城砦跡はなぜに? と疑問は尽きない。

  

道に点在する無数のマニ石たち。ひとつひとつにはお経が梵字で緻密にていねいに掘り込まれている。

なかば崩れかけて土に帰ろうしているチョルテン群も見られる。

世界中にあるさまざまな宗教の建造物や造形物のなかでも、チベット仏教のそれは群を抜いて特異なものだと感じてしまう。

 

12:45 陽当たりの良い丘の上に造られたkyang村到着する。しかし、昨日昼食を食べたバッティにはすでに住人はいなかった。

その下に見えるもう一軒のバッティに村人が出入りしているのがチラリと見えたので行ってみる。

地元の村人とヤクの放牧に来ている人が、今まさに食事を取ろうとしているところだった。ラッキー!です。

我々もそこでなんとか昼食にありつけることが出来る。面倒なオーダーはやめた方が良かろうと、トマトスープとチャパティを頼む。それと手持ちのチーズで僕は簡単に昼食を終える。ガイドのラムさんとポーターくんは地元の人たちと同じようにチベット風に味付けされたダルバートを食べる。

(後日、今回のトレッキング中の食事の話しになった時、ネパールの国民食・ダルバートでさえチベット風に味付けされてしまうと苦手なようで「超マズかった~↓」 と吐露していた。)

 

そこで、(いつ製造されたものかわからない)ミネラルウォーターを1本買う。1L=Rs350、山ではなんでもバカ高い。kathmandu市内でなら1本 Rs20~30程度なのにねぇ。

他の観光地トレッキングコースの場合、車やヘリでの大量輸送が可能だが、この渓谷上にあるいくつかの小村の場合、一昔前と同じように基本的に馬や人の背に背負われて運ぶしか選択肢が無く、かつ滅多に外国人トレッカーが訪れない地なので余計に高く付くのだろうな、と理解は出来る。

 

昼食を終え、14時にkyangを出発。

快晴で陽が射してはいるのだが風がひどく冷たく、ダウンジャケットとハードシェル、バラクラバ、ウールの帽子と手袋は離せられない。

オーバーミトンを持ってこなかったことをちょっと後悔する。ひたすら風が冷たく手先が凍えて冷たい。

 

そうこうしているうちに上空には雲が湧いて来始め、山に掛かるようになってきた。雲の動きも速い。来る時も標高の低いところの方が天気が不安定だったな。

うす暗くなりかけた時、chyakkuのバッティに到着した。今日も良く歩いた。

で、今夜もバタンキューと寝てしまう。


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