6:30 起床、今日は出発が早いので、ホテルの朝食は食べられません。
7:30にガイドのハンさんが迎えにきて、一緒に車に乗り込み、キナバル国立公園に向けて移動します。昨日とは違う方向に向かって120kmの道のりをひた走ります。ここではどのドライバーでも「爆走」です。

途中からグングンと高度を上げて行きます。山道、というほどでは無いのですが、周りの景色も徐々に山間部の風景に変わっていきます。
9:15ころ、見晴らしの良いところで休憩です。ここは、キナバル山を眺めるビューポイントになっているようです。

キナバル山の頂上直下あたりに少し雲がかかってはいますが、ギザギザした特徴的な山頂がよく見えます。
これも、雨期なのでひょっとすると見られないかな、と思っていたので非常にラッキーでした。多少薄雲が流れてはいるが、頂上(5,059m)はよく見えます。
なぜか秋のススキの穂も見られました。ボルネオには「秋」と言う季節感は無いのですが、けっこうススキとキナバル山の2ショットは似合っていました。
近くには、ネムノキ、ホウセンカ、ハイビスカス(マレーシアの国花で、マレー語でブンガ・ラヤ Bunga Raya)、などが咲いています。

休憩ついでに、近くに出ていた売店で飲み物やお菓子などを買い求めます。
30分ほど頂上を眺め、再び車に乗り込みキナバル自然公園(標高=1,500m)に向かいます。
そこから15分ほど走ったところで、自然公園入口に到着しました。
公園内のボタニカル・ガーデンのコースを1時間から1時間15分程度で巡って行きます。

ここは基本的にネイチャーガイドと共に歩きながら解説を聴き、巡って行くことになるのですが、僕らにとってはやはり日本語のネイチャーガイドが一番ありがたい。

ネイチャーガイドでもあるハンさんは樹木や花の名前だけでなく、日本での近似種のこととか、どんな薬効があるのかとか、何に使われていたのかとか、興味ある解説をきちんとしてくれます。
園内のコースをぐるっと回って11時半ころ、元の自然公園入口に戻ってまた車に乗り込みそこから少し移動し、近くのチャイニーズレストランに入って昼食です。
ここでも、2人分にしてはかなり多い量・品数の料理が出されましたが、これもほぼ完食。どんだけ食べるんだろう、という感じで食べ終わりました。
12時半、チャイニーズレストランを出発し、再び車で約1時間ほど移動します。
13:15ころ、ポーリン温泉に到着し、その奥に位置する自然公園内の森の中に張られた「キャノピーウォーク」を巡りながら、熱帯雨林内を散策します。(カメラの持ち込み料は、5RM/1台、Videoは30RM/台)
キナバル山麓では、地上数十mの高さに張られたキャノピーウォーク(吊り橋)と呼ばれる何本もの観察用の吊り橋を渡りながら、熱帯雨林の中を観察して歩くことが出来ます。キャノピーウォークは、森の中にこんな感じ(写真)で張られている細い吊り橋です。

歩くところ(吊り橋上)はアルミのハシゴの上に足場板を載せただけの簡単なつくりで、何本ものワイヤーで吊られています。
こうした吊り橋が園内に6本程度あって、コースに沿って順番に渡って行けるようになっています。
観察用の吊り橋は安全性は確保されているのでしょうが、長い距離に張られた細い吊り橋なので、もちろん上下にも揺れるのですがそれよりも、左右にヨーイングというかローリングする感じでも揺れるので、これがけっこう怖かったぁ。
高いところでは地表面から20m以上の高さに張られた吊り橋なのですが、そこから見ても高さ40mを優に超えるフタバガキ科(高い木では樹高80mにもなるという)の木々には圧倒させられます。
いちおう吊り橋を歩くのには積載基準があって、「大人6人まで」ということのようです。
この日はそれほど来訪者が多いというわけではなかったのでしょうが、それでも中継地点ごとのテラスでは5人~8人程度の観光客が、渡る順番を待ちながら少し渋滞気味でした。
実際には2~3人ずつ少人数で慎重に(写真を撮りながら)吊り橋を渡るので、それなりに時間がかかりますね。
観察用のこうした吊り橋から熱帯雨林を覗き見るのは、とても面白く興味深いものです。視点が変わるとこんなに違う姿を見せてくれるのか、と感心します。

下から見上げるだけでは解らないフタバガキ科の樹冠なども良く見ることができます。1カ所「クラウン・シャイネス」に近い感じの「樹冠の譲り合い」を見ることも出来ました。
今はラワンなどの巨木の切り出しがある程度制限されていますが、一時は日本向けのフタバガキ科(ラワン/メランチ、セランガンバツ)、クスノキ科(ウリン/ボルネオ鉄木)、クマツヅラ科(チーク)、ナンヨウスギ科(アガチス)の乱伐で、特に日本は国際的に批判を浴びた時期がありました。
今も、まったく無いわけではなく、熱帯雨林は相変わらず切り出され、そのあとにはアブラヤシなどのプランテーションが作られ、森林の破壊や乱伐は続いています。

現在、マレーシア・サバ州の産業は(現地のガイドが言うには)、1位がアブラヤシ、2位が木材(ラワン/メランチなど)、3位がゴム、4位が観光というような具合になっていて、相変わらず木材の輸出は上位に位置しているようです。というか、1位から3位までは密接にリンクしていると思われます。
午後3時前に、園内のキャノピーウォークをぐるっと回って元の入口(ポーリン温泉)にまで戻って来ました。
ポーリン温泉の源泉は62.5℃くらいといっていました。泉質は詳しくは知りませんが、大きな岩が横たわる源泉近くでは硫黄の匂いがしてきます。大岩の前の釜のお湯を触ってみましたが、60℃以上あるようには感じなかったが、、、

全身入浴をするまでもないかなと、30分程度足湯に浸かってボルネオの温泉を楽しみました。
その後、近くの個人の所有する森の中にラフレシアが一輪咲いているということで、ガイドとともにそれを見に行きます。プライベートガーデンだということなので、別に一人30RM支払い中に入れてもらう。
ラフレシアは東南アジアの島嶼部とマレー半島だけに自生する「世界最大の花」と言われている全寄生植物の巨大な花です。
「悪臭のする花」として知られていますが、花の花粉を運んでいるのが死肉や獣糞で繁殖するハエであるため、そのハエを引き寄せるための手段としてそうした強烈な臭いを出しているのです。

ですから、媒介する昆虫が”もし”違っていたら、もしかするとバラのような香しい香りを出していたのかもしれない。
ラフレシアはその独特の進化の過程で、何かしらの理由があってハエをパートナーに選んでしまったのだ。
なので、とうのラフレシアにとってみれば、毎日勝手に人間が覗きに来ては「クサい、クサい」と言われるような筋合いなどまったくない!と言いたいだろうな。
近くにはまだ蕾みの状態のものもひとつありました。ガイドのハンさんに聞いてみると、ラフレシアの開花は蕾みの状態からでも数ヶ月から十数ヶ月かかるのだが、蕾みが出来たからといってすべてが開花につながるわけではないらしい。
好条件が揃わなければ開花には到らずに、そのまま腐ってしまうことがあると言う。
また、無事に開花したとしても花が咲いている期間は3日から5日間程度なので、その間でうまく受粉に結び付けられるのかもわからないし、こうして人の目に触れるかどうかも非常に微妙なのだそうだ。
運良く、ちょうど開花した花(これで開花3日目だという)を見ることが出来たのは、非常にラッキーだったということだろう。
今回見ることが出来たのは山麓にある個人のプライベートガーデンの敷地内だったが、薄暗い林の中で怪しく花開いていたのが印象的だった。
3時半過ぎにプライベートガーデンを出発し、来た道をふたたび爆走して18時過ぎにコタキナバルに到着。
帰りはホテルではなく、市内の真ん中で下ろしてもらい、これも念願だった「新記肉骨茶」のバクテーを食べに行きます。
昨日行ったサンデーマーケット(ガヤ通り)が開かれていた道の1本海側のパンタイ通りという通りに面して、バクテーの専門店「新記肉骨茶」はあります。肉骨茶(バクテー)とは、ぶつ切りの骨・皮付きの豚あばら肉とモツやホルモンなどを、漢方薬に用いるスパイスとともに中国醤油で煮込んだ鍋料理のことです。
漢方薬を大量に使うので、ヘルシーで体に良い「薬膳料理」なのだそうです。
「肉骨」の名の由来は「削ぎ落しきれなかった肉片がついた骨」という意味なのだそうで、漢字で「肉骨茶・Bah Kut Teh」と書いてはありますが、特に「茶葉」を使用しているわけではないようです。

お店はnetで紹介されていたように、ものすごく繁盛していました。
ちょうど夕食時なので相当並ぶことを覚悟していたのですが、幸いにもちょうどお店に着いた時にテーブルがひとつ空き、ピョコンと二人座ることが出来ました。
この数分後には順番を待つお客さん(現地の人や中国からの観光客)で店の外は大混雑、そして豪快なスコールに見舞われることになるので、ほんとにラッキーでした。
注文の仕方がよくわからなかったが、威勢の良い女性店員に勧められるまま、2種類(スープありとスープなし)のミックスバクテーと油条(油揚げ)、ご飯、 ビールなどを頼みます。
バクテーが代表的な「マレーシア料理」なのかどうかはよく解らないが、コタキナバル観光では外せない名物料理なのだと言う。
名物に旨い物なしと言うが、これは評判通りおいしい料理でした。で、姪も大満足だったようだ。
僕は前回マレーシアに来た時の入院・通院の轍を踏まないように、屋台での食事やつまみ食いは封印していましたが、「新記肉骨茶」はとりあえず屋台ではないし、、ここだけは絶対に外せないので食べに行きました。いやぁ~、美味しかったなぁ。鍋好きにはたまらない料理でした。
今回は若い姪と一緒の旅ということもあって、アルコールも控えていたのですが、ここではとても我慢することが出来ず、タイガービールを2本頼んでしまいました。
食事を終えた時には先ほどまでの凄まじい雷とスコールは過ぎ去っていて、傘をささずに歩くことが出来ました。
スコールは、インド・ネパールや東南アジア、マレー半島と同じように熱帯地方特有の猛烈な降り方をします。しかし、長くは続かず、止む時はいきなりパッと止みます。
いくらか涼しくなった街なかをそぞろ歩いて、またしてもスーリアサバショッピングセンターへと向かいます。
明日はコタキナバル市内を散策(モスクや現地マーケットなどを見物)しよう、と計画していたのですが、姪がどうしてもリゾートらしい「南の海」に行きたい、というので、当初の計画を変更して飛行機のチェックイン時間ギリギリまで「南の小島」に行こう、ということになりました。
で、姪の明日のビーチ用のショートパンツを買いにスーリアサバまで来たというわけです。ついでに明日買う予定だった姪のお土産も合わせて買います。(僕は明日の南の島行きのために、2万円ほど現地通貨に両替をしておきます。)
今回泊ったホテル(Asiana Hotel)は街なかから少し距離がある(その分、割安なのだが)ので、行き帰りはタクシー利用となりますが、タクシーの運ちゃんはみな親切で気持ちが良い。
この旅を通じて、金額をボラれたり、気分を害したことなどは皆無でした。みなさんとても親切で礼儀正しく、ホントに良い旅をさせてくれています