sail hayabusa

千葉県 浦安にて活動中

名著より「5つの要素」 その3

2010-07-28 05:31:51 | レース<準備&心構え編>
名著「旺文社スポーツ教室ヨット競技」に解説されているクローズホールドで相手に勝つために必要な三つめの要素は「レーシングタクティックス」と題されています。

以下、名著「旺文社スポーツ教室ヨット競技」より一部を引用させていただきます。

”三つめの要素はレーシングタクティックスである。ヨット競技は自分一人で走る記録会ではない。2位の艇を10分近く引き離してフィニッシュしても、ほんの半艇身リードしてラインにとびこんでも1位は1位である。一度優位にたった地位をいかにして守りぬくか、先行を許した相手にいかにして追いつき形勢を逆転するか、これが戦術である。これは規則を熟知した上でそれを十分活用しながら走りくらべすることが必要で、それだけの経験と熟練が不可欠である。”

「一度優位にたった地位をいかにして守りぬくか、先行を許した相手にいかにして追いつき形勢を逆転するか」とは、どんなスポーツにもいえることだと思いますが、ヨットレースの場合、特に「一度優位にたった地位をいかにして守りぬくか」という発想が非常に重要だと自分では整理しています。

レースの前半、中盤、後半でも両者のウェイトは変わるでしょうし、自分の走っている順位によっても変わると思います。このあたりがヨットレースの面白さといえるのだと思います。

ただ、著者が最後に「これは規則を熟知した上でそれを十分活用しながら走りくらべすることが必要」と結んでいるとおり、艇がしっかり走っていないと、レーシングタクティックスだけではまわりの艇に勝てないと教えてくれています。

まずはきっちり帆走らないと。




名著より「5つの要素」 その2

2010-07-25 05:52:03 | レース<準備&心構え編>
名著「旺文社スポーツ教室ヨット競技」に解説されているクローズホールドで相手に勝つために必要な二つめの要素は「風の変化の把握と利用」と題されています。

以下、名著「旺文社スポーツ教室ヨット競技」より一部を引用させていただきます。

”二つめは風の変化をいかに早く敏感に把握し、これを活用する能力があるかどうかである。レースの海面が常に一定の方向から一定の強さの風に恵まれていると考えたら誤りである。必ず風の強弱のむらも風向の変化もある。場所によっても時間によっても異なっている。この変化を人より早く知りそれを早く利用するかどうかで勝敗が左右されることが多い。”

確かにそのとおりだと思います。

名著が発行された1972年当時、GPSデータから自艇の航跡を再現できるような手段はなかったと思います。一方、GPS等がなくても「風の変化の把握と利用」に長けた先輩セイラーは、自艇とマークする他艇の航跡を正確に記憶し、ミーティング時には板書した航跡図で、レース中の風の変化のポイントやそのとき自艇がどう行動したのかを解説してくれたものです。彼らは明確な意図をもってレースをしていたのだと思います。

航海計器の進歩により、風の変化の把握がより客観的にできるようになりましたが、数値を分析し、トリムやコースを変更する意思決定、すなわち「風の変化の利用」はセイラー自身が行うことについて変わりはないのです。


名著より「5つの要素」 その1

2010-07-24 06:01:15 | レース<準備&心構え編>
 最近いまひとつ帆走が不調で成績も振るわないので、名著「旺文社スポーツ教室ヨット競技」を読み返しています。


 
 クローズホールドは、通常ヨットレースの中で最もコースが長くかつ技術の差が明らかに出ます。クローズホールドでまわりの艇に勝つために必要な要素を名著は5つにまとめて解説してくれています。

 1番目は「艇を走らせる技術」と題しています。以下、名著「旺文社スポーツ教室ヨット競技」より一部を引用させていただきます。

”第一は全てのレース海面の条件が同じとして艇の走らせ方の技術である。これは基礎編で説明したことの熟練度の問題で、ヨットに乗る位置、セールのトリム、チューニング、風の強弱、波の高低などにおけるヨットの走らせ方が身についているかどうかである。風速も風向もイコールとして同等のヨットを走らせてみてすでにスピード差があるようでは問題にならない。もう一度ヨットに「考えながら乗る」または「比較検討しながら乗る」ことからやり直したほうがよい。”

 いつも思いますが、実にしびれる記述です。先週のスバルザカップで、十分なフリーウォータを確保し、当艇が風上先行位置(バウを並べる位置)でスタートしながら、2分も経過しないうちに風下艇が先行、ホープレスポジションに追い込まれ、タックを余儀なくされました。当艇が全然走っていなかったからに違いないですね。

 名著に言わせれば「やり直し」ということです。 

鍛える夏 その2

2010-07-22 05:11:07 | レース<準備&心構え編>
広島大学ヨット部OB会関東支部より、夏の例会「ヨットに乗る会」のお誘いをいただきました。毎年8月に行われる行事ですが、いつもTYC保田レースとぶつかってしまい、ここ10年ほど参加できませんでした。

今年はうまく日程があったので、参加することにしました。久しぶりのディンギーで非常に楽しみです。

最近、いまひとつ帆走りが不調ですので、原点に帰って鍛え直したいと思います。

写真は案内状に添付されていたものです。この写真を見たら行かないわけにはいかないですね。しかし、この写真はどういう状況なのでしょうか?レース海面に移動中かな?



梅雨明け

2010-07-19 15:38:55 | レース <ログ・写真編>
関東地方が梅雨明けした翌日、スバルザカップ出場のために浦安マリーナから出艇する隼メンバーです。
(浦安マリーナのスタッフの方に撮影していただいたものです。マリーナブログよりいただきました。)

真夏日なのに全身フル装備で出場です。(ベストドレッサー賞は、はなから諦めています。)
隼の場合、10ノット以上の風だとかなり濡れます。ましてや20ノット近く吹きあがるとずぶ濡れですので、ヘルムの私などは1年中カッパを着ています。(スプレーを浴びるので、意外と暑くないのです。)



肝心のスバルザカップの成績はクラスⅤの20艇中2位という成績でした。
後日、メイントリマーのT氏が敗因をコメントしてくれるかもしれません。
 


ペナルティの履行

2010-07-11 20:20:49 | レース <戦術編>
 自分が規則や帆走指示書に違反したことに気づいたら、ペナルティを履行するか、または速やかにレースからリタイアすることが、審判のいないスポーツを楽しむ者のプライドであることを以前に書きました。

 恥ずかしながら、本日隼は、第2レースのスタート時に規則11に違反してしまったので、規則44.1、規則44.2にしたがって2回転ペナルティを履行しました。

 そこで考えたのですが、風上に向かっているときに規則44.2を履行するための回転をはじめるにあたって、最初にタックする方向でまわすのか、ベアする方向でまわすのかどっちがいいのでしょうか?隼クルーメンバーで話した時には答えが出なかったのです。

 本日隼は最初にタックする方向でまわしたのですが、1回転目はなんとかまわったものの、2回転目は失速してしまってさえないペナルティ履行でした。

 私が使っている少し古いルールの解説書なのですが、舵社から出版された「実践ヨットレースルール解説」の著者ブライアン・ウィルス氏によると、ペナルティの履行について次のように書いてあります。
”練習の時にできるだけ早く720度(2回転)を行えるよう訓練をしておくとよい。風位に面して立ち往生という余分なペナルティ効果を期待しているわけではない。720度(2回転)の練習をすればわかると思うが、風上に向かっている場合は最初にタックするよりもベアする方が良い。”

 「なぜか?」については記述がないので、今度練習してみます。

 いずれにしても、規則違反をしたら速やかにペナルティを履行して、気持ちよくフィニッシュしたいものです。




 

S字ジャイブ

2010-07-10 06:59:53 | レース<ハンドリング編>
スバルザカップなど比較的レグの長いレースになると、スタートから最初のジャイブまでに時間の経過もあり、自分たちが意識している以上に風速があがっているときがあります。また、東京湾奥より海ほたる周辺のほうが強い風が吹く傾向もあります。強風時に安易にボートをまわしてジャイブでコントロールを失うとブローチングなどのリスクが高くなります。
 
強風時はS字を描くように、ボートをまわすとうまくいきます。
①ジャイブのためにベアする際には、ブームが返るきっかけをつくるように余分にボートをまわす。
②ブームが新しいタックに移動しはじめたら、もとのタックに戻すように舵をもどす。
③ボートが安定したら新しいタックの方向にボートを向けるように舵をきる。

【18ノット程度の北東風の中、海ほたる橋脚付近でアビームからアビームへのジャイビング】 
 


【ジャイブ直前】サーフィングのタイミングを計り、ヘルムスマンは両手でしっかり舵を持つ。(エクステンションの根元近くに持ち替えるとヘルムがダイレクトに伝わる。)メイントリマーは、新しいタックの風上側へ先に体重移動し、メインシートをしっかり引き込む。



【ジャイブ中】ブームの移動を確認し、ヘルムスマンはもとのタックに戻すよう舵を切っている。メイントリマーは引き込んだシートすばやく送り出す。クルーは姿勢を低く体重を集中させている。


SUBARU-ZA CUP 帆走指示書公開

2010-07-07 21:53:52 | レース <戦術編>
 スバルザカップの帆走指示書が公開されました。

 大変丁寧な帆走指示書です。「安全にヨットレースを楽しんでもらいたい。」という実行委員の皆様の想いが伝わってきます。

 さて、いよいよスタートまで2週間を切りましたが、帆走指示書によりスタート方法が明らかになりました。参考になるかどうかは別として、過去10年間の7月18日午前9時の風向風速を調べてみました。

 マーク方向と垂直にスタートラインが設定されるとして、20%(北東)はフリースタートの可能性があります。またスターボードタックでラインを切れない可能性は30%(北東+南東)です。さあ、どういうスタートラインへのアプローチ方法がイメージできるでしょうか?

 帆走指示書でスタート前のスピンホイストは禁止されています。スピンの収納位置はどうしますか?

 この時期の風は、梅雨明けしているかどうか、梅雨前線がどこにあるかで変わると思います。ちなみに昨年のスバルザカップは北東の風の中行われましたが、梅雨明け前の7月11日のレースでした。

 一般的に梅雨明け十日といって、梅雨明け直後の十日間は安定した晴天となり南風になります。スバルザカップまでに関東地方が梅雨明けしていたら、悩むことなくクローズホールドでのスタートになると思いますが。


フリースタート

2010-07-03 20:10:28 | レース <戦術編>
 7月に入り東京湾最大規模のヨットレースであるスバルザカップが近づいてきました。
帆走指示書が公開されていないのでなんとも言えませんが、午前9時前後に東京湾奥から海ほたるを目指してスタートする場合、高い確率でフリースタートとなることが予想されます。
 
 クローズホールド以外でのスタートはとても面白いものです。もちろんスターボードタックではスタートが切れない場合も想定されます。何を優先してスタートすべきなのでしょうか?
 
 最初のマークは9マイル先にあります。この辺も考慮しなければいけませんね。スタートまであと2週間です。ゆっくり作戦を考えたいですね。

  
写真は2007年浦安沖で行われた全日本ミニトン選手権のショートオフショアレースのスタート前の様子。北東の風の中、浦安灯標沖から海ほたるを目指してのスタート