おどるなつこ 「あしおとがきこえる?」

タップダンサー・振付家おどるなつこの日常から浮かびあがることばを束縛せず書きとめています。2005年開設。

アウトサイド・インサイド考『地蔵とリビドー』

2018-07-01 | おすすめ!
表現についての、非常に濃い一日。

その二
こちらの上映会へ、映像ワークショップ受講の古巣でもあるUPLINKへ足を運びました。

『地蔵とリビドー』予告


滋賀県のやまなみ工房の映画です。
今や、アート界を席巻しているやまなみ工房の作品群。私は2015年春にあそびに行かせていただいて、依頼、山元さんの墨絵と一美さんの陶芸”まさとさん”作品シリーズのファンでもあります。

映像を監督された笠谷氏はデザイナー本職の方、やまなみ工房に魅せられたそのひとめ惚れ感が、すこしお洒落にまとめられています。やまなみ工房の彼らの、究極のマイペースな日常から地続きに作品の高みに到達する強さそのものを、薄めることなくカッティングされている。私はとても嬉しい気持ちで見終わりました。

終演後、アフタートークはやや固いムードではじまり、質疑応答になりました。そこででた質問・感想・意見をきいていて...。

・作品だけみせて障害をもつ人の日常的な言動はみせないほうがよい
・アカデミックな経歴のアーティストに対して、エイブルアートやアウトサイダーアートがどんな位置づけか
・知的障害をもつ人の言動は支援者の模倣である

映画に足を運んだ観客、決して差別的な気持ちからの発言ではないことが感じられるだけに、私は家族のような気持ちで......と沈黙してしまった。



一度ね、ぜひあそびに行ってみてください。滋賀の甲賀のやまなみ工房へ。
今やビッグで恵まれている施設と感じられるかもしれないけれど、はじまりは重度障害として行き場のない人たちの集まっていた二間のアパートで、わりばし詰めをやめて絵でも描く?いや、そもそもみな施設と家の往復で絵の題材に出会ってないから、電車をみにいこうか?水族館でも行く?と、彼らの日常に種をまき続けた、山下完和(まさと)施設長の、それぞれの内的衝動を尊重するこころが、ここまでの作品を生み出す環境を整えてきたのです。
その軌跡が、きっと感じられる。

誰もが自分以外の何かと出会うことで自分に出会える。
評価や出自ではなく、障害の有無でもなく、まずは誰もが己の内的衝動を信じて暮らそう。
誰もが本当に自分を大切に日々をたのしんでいったら、その先はどうなるんだろう!

私はやまなみ工房の人々(もちろん職員さんも含む)と会うたび、そんな勇気をもらっている。


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