トヨタ 57-71 パナソニック
好ゲームを期待して行ったら、予想外の展開で驚いた。
これが現時点でのチーム力の差なのか。
プレイオフに出てきたら、またトヨタは違うだろう。
だがパナソニックは。
試合を見ながら思った。
この試合、この展開で勝てるかどうかが、パナの強さと安定感の試金石。
その試合に勝ったのだから。
パナソニックの強さは本物になりつつあるのではないか。
AJファイナルの敗戦を経て、また強くなったような気がする。
試合開始直後から光ったのは、トヨタ#11熊谷。
攻守とも、インサイドに入り込んでのシュート、リバウンドでチームを牽引する。
一方のパナソニック、トヨタの気合いに呑まれたか、シュートは入らない、
リバウンドは取りに行く姿勢が感じられない。
開始5分、13-5となったところでタイムアウトを取ったが、
明けた直後、ゴール下に突っ込んでいった木下が
コートエンドに飛び込んで側頭部を怪我して、渡邉と交替。
でもこのアクシデントで渡邉と交替したことが、
パナにとってはかえってよかったような気がしないでもない。
そしてもうひとり、広瀬に替えて大西を投入した。
日体大の優勝を知る最後の学年。それも大西が1年の時の春のトーナメント。
名門・日体大も、いまや関東2部。
墜ち行く日体大のゴール下を4年間、さらに最後の年は主将として支えたのが
この大西だった。
その往年のプレイを、久しぶりに見せてもらった。
大西がゴール下で勝負しに行く。
青野ほどの存在感はないが、器用さと機動力がある。
しかしギブスにブロックされる。
再度、大西が勝負に行く。
荒尾のファウルを誘っての、バスケットカウント。
そう、これが大西。日体大を支えたプレイ。
このプレイこそ、大西がすべきプレイ、パナにとって必要なプレイだと、
ここ数シーズンずっと思っていた。
大西がこのプレイをするから、パナのオプションが広がる。
単独での起用のみならず、青野と大西を併用する効果が増幅する。
パナ優勝へのラストピースのひとつを、手にしたと思った瞬間。
それでも前半終わって、トヨタ 29-25 パナ。
パナのDFが全体的に雑な印象。
最近安定した感のある青野が前半だけで3つファウルを取られた。
ラスト2分の永山の連続スリーと中務のスリーで踏みとどまった。
逆にトヨタが29点しか取れていないというところに問題がある気がする。
インサイドは青野のDFが悪くないということもあるのだが、
実はアウトサイドシュートが入っていない。
流れを引き寄せきれないトヨタと、苦しい展開をかろうじて踏みとどまっているパナ。
総合力ではパナの方が上ではないかと感じる一方、
この展開で勝ちを引き寄せられるかどうかが、パナの試金石とも感じる。
ここ数年のパナの課題でもあった精神面が問われる試合かもしれない。
そして後半、パナソニックに流れを持ってきたのは、やはり木下だった。
自らゴール下に持ち込んで、もらったFTが今日の初ゴール。
チームトップのアベレージ14点を誇る木下が、前半無得点だった。
ここからパナソニックが来る。
そう思ったから、トヨタも熊谷や岡田をバックコートから木下に付けて、
封じようとしたのだろう。
しかし木下のエンジンがかかって、青野が存在感を増してきたら、
いよいよ流れはパナへと傾く。
ラスト5分で10点差。
トヨタもインサイドでつないでいたから、まだ芽はあると思った。
問題は外。外が入れば、もう一波来ると思ったのだけど。
57-71。
実際これほどの差はないだろうと思う一方、
あのパナでこれだけ差が付いてしまったとも思う。
パナソニックにおいて木下の存在感が大きいのは言わずもがな、
しかし交替で出てきた大西・渡邉・中務の好プレイがチームを引っ張った。
トヨタはアウトサイドが入らなかったのが痛いけど、それだけだろうか。
ビッグプレイとは言わないが、「いい仕事」といえるプレイがひとつあったら
また違ったかもしれない。
思いがけないトヨタの連敗、しかもこの内容。
プレイオフには出てくるとは思うが、もしかしたら。
東芝・日立と三つ巴の展開もあるかもしれない。
来週は、日立-パナソニック、東芝-トヨタの対戦がある。
どのチームも連勝したいところであり、連敗は避けたいところであるが、さて・・・。