バスケの試合を観るときは、チームより選手を選んで観に行くことの方が多い。
ましてやパナソニックがいない新リーグ、選手移籍の多かったオフシーズン。
2月に和歌山トライアンズを観に行くつもりだったけど、その後の試合も含め、
大雪で断念した。
他に観たいチームがあるわけではない。だけど観たい選手はいる。
今でも一番好きなチームは2004年の青学だし、最も愛したのは2005年の青学。
彼らのその後を見届けたいという気持ちは常にある。
(ちなみに全日本実業団も観に行こうとしたが、やはり大雪で断念した。)
だから。
今シーズン、揃って転機を迎えた同期二人の対決を、見逃すわけにはいかないと思った。
広瀬健太と熊谷宜之。
学生時代に成長の軌跡を見てきただけに、ひときわ愛着も深い。
広瀬が移籍すると知った時は複雑だった。そもそもパナソニックの休部自体がやるせなかった。
チームに残るか、移籍するか。
だが移籍する年次、そして行き先としては適切だったと思う。
次世代の中心選手として、木下・永山・青野らベテラン選手のもとで経験を重ねた
パナソニックでの5年間。
中堅となる年齢で移籍した日立は、学生時代にしのぎを削った同世代が主力を務めるチーム。
竹内譲次、酒井泰滋、近森裕佳、西村文男、中濱達也、小林大祐。
ベテランのもとで、また日本代表として、経験を重ねた広瀬が同世代の彼らとどのような
バスケットボールを展開するのか。
そしてもうひとつ。
これは、あの青学を愛したがゆえの、私の個人的な思い。
ここでも広瀬は、大屋の後を継ぐのかと。
かつて日立サンロッカーズに所属し、2012年に現役引退した大屋秀作。
その大屋の背中を見て、学生時代、広瀬は育った。
ふたりのプレイスタイルは似ている。いわゆるハードワーカー。縁の下の力持ち。
チームを支え、献身的に働く。
違いといえば、大屋は左利き、より地味な仕事が多くバランサーの色が濃いのに対し、
広瀬の方はより得点に絡むことが多いことか。
同じポジションの後輩に、かつて自分が先輩から教えられたことを言葉でプレイで、
大屋は伝えた。
大屋の卒業後、広瀬は大屋と佐藤託矢と、チームを、特にインサイドを支えてきた二人の
存在の重さに押しつぶされそうになり、自分を見失い、しかしリーグを通して乗り越えた。
そして最終学年で、大屋が果たせなかったインカレ優勝を成し遂げた。
大屋の引退から1シーズン空いて、広瀬は日立に加わった。
28歳、大屋が引退した年。
何だろう、この符号。
一見するとひとつひとつの出来事なのだけど、見る人間が意図を持って見れば連なり始めて、
それは因縁にも運命にもなりうる。
大屋と広瀬をつなぐ縁。
もしかしたら、広瀬の日立入りを一番喜んだのは大屋かもしれないな、なんて思ったり。
10年前の9月。明大和泉で行われたリーグの開幕戦で見て以来、ずっと広瀬の成長を
見るのが楽しみだった。
今度はどんなプレイを見せてくれるのだろう。