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回顧と展望

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バズーカ - ECBの場合

2015年01月23日 16時50分37秒 | 日記

欧州中央銀行(ECB)が昨日発表した新たな量的緩和(Quantitative Easing-QE)は今年3月からECBが毎月600億ユーロ(8兆4000億円)、来年9月まで少なくとも総額1兆1000億ユーロ(150兆円超)の債券を買い入れ、資金供給するというもの。ただし、買い入れた債券の80%については対象国の中央銀行によるRisk Sharing危険分担(損失分担)を条件としており、ECBが純粋に買い入れるのは最高額で2200億ユーロにとどまることになる。したがって、発表時にマスコミがもてはやしたような「バズーカ」が急速に萎みつつあるようだ。もちろん、買い取り債権の80%を関係する国の中銀に危険負担させなければ、財務規律は全くタガが外れ、財政健全化はますます遠ざかることになるし、さらには市中に資金供給しデフレを回避するという趣旨からも外れる。

しかし、量的緩和によって本当に資金が回りだすのだろうか?これまで行ってきた低金利で駄目なら今度はアメリカや日本がやったような量的緩和で、ということだが、金融機関は不良債権を発生させずに貸し出しを増やせるのか、単に資本市場に流れて株価のバブルを起こし、富める者がますます富むということにならないのか、先行きは不透明だ。さらには問題児ギリシャの選挙の行方もある。

ところで、本物のバズーカ砲は後方に向かって爆風が発生するため、砲の後方に壁や障害物があってはいけないし、また、仰角を上げすぎると後方の地面に爆風が当たって極めて危険なことにもなる兵器である。バズーカ砲の射手は常に危険と隣り合わせだ。今回のECBのQEが本当にバズーカなら、射手であるECBは大きな危険を負っていることになる。

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