本当に「スポーツ」と言えるのかとの議論も聞かれる最近のフィギュアスケートだが、織田信成、安藤美姫が相次いで現役引退を表明した。二人ともどちらかといえば記録よりも記憶に残る選手。このスポーツでは喜怒哀楽を表す選手が多い中でも特に感情を隠し切れないという点でも共通している。今後はそれぞれ、家族とともに新しい人生をスタートしてほしい。
フィギュアスケートでの記憶は40年ほど前に活躍した共産国家チェコスロバキアのオンドレイ・ネペラ選手にさかのぼる。チェコの寒村で郵便配達をしていたというネペラが世界選手権で連戦連勝し、1972年の札幌冬季五輪では遂に金メダルを獲得した。当時は今のようなカラフルな衣装もなく、また、規定と言われるプログラムはひたすらスケーテイングの軌跡の正確さを競うもので、また、採点方法や順位づけも今とは異なっていた。そんな中で、ネペラ選手の堅実な、ただし、自由では華麗な演技に魅了されたものだ。彼はその後米国に渡り、病気で早世してしまった。
日本選手が活躍している今のフィギュアスケート界をその頃予想した人は少ないだろう。ただ、今の日本選手を見てると、体型の良さでは世界で一流だと思う。あの当時の短足胴長、低身長というのは今の若者には見受けられない。