動きはじめた
町の片隅のある
家の隅っこの部屋の窓は
風を待ち口をあけたままで
夜明けが訪れた
水色のカーテン
揺れずの一夜
月あかりが白い夜の中
歩いた眠りの森を思い出す
夢の実など
拾うことも見ることもできず
森は深く
そして狭く
あっという間に出口は
目の前に現れた
窓枠のかなた
青黒い空
笑い疲れて泣きたいのか
夜を脱ぎきれないベッドの中
泣き疲れたら笑えばいいと
言われた遠い日を思い出す
天気予報は
晴れのち雨
動きはじめた
町の片隅にある
家の隅っこの部屋のドアは
今日へ通じる入口だ