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言葉喫茶【Only Once】

旅の途中で休憩中。

◇言葉という鏡◇

2020-08-16 22:13:42 | 言葉



本当はいつでも怖いのだ。

言葉は終わりのない森や海であって、
そのかけらにも失礼のないよう、丁寧に選ぶ。並べる。
けれどもそれが果たして誠実なのか、
常に迷うし、怖いのだ。

一日に多くても二つの「詩もどき」を投稿しているのは、
感覚が薄れてしまわないように。
そして、その日紡いだ言葉を後から読み返して、
妥協していないか、その言葉に失礼がないか、
その日の自分がどんな生き方をしたのかを、
確かめるためでもある。

言葉はいつだって正直だ。なにものよりも嘘をつかない。

自分が少しでも言葉に対して手を抜けば、
それは読む人が一番に気づくだろうし、
書いた自分はどこかでやましさを抱えるので、
長短問わずに濃いものを、と心がけている。
それだけとは思わないが、それが何よりも難しい。

言葉という壊れやすいものを「なんとなく」で扱わないように、
たとえば「てにをは」ひとつにしても、
それは本当にそこに置くべきものであったか?
ら抜き言葉になっていないか?
読み手は何かを想像できるか?

あげるとキリがないのだが、
どこにいても、言葉という鏡を見つめながら、
自分が粗末に生きていないかを、いつも確かめている。

時にはくだけた言葉も使うけれど、
言葉にも相手にも、自分にも。

最低限の敬意と「礼」を欠かさずにありたい。

だからいつでも、何かを書く時は怖い。
怖い事を悪いとは思わない。
大切な事だと思っている。








うつろい

2020-08-16 20:28:23 | 言葉





帰りそびれた夏と
座る椅子を探す秋に
挟まれる

暗がりで蝉が鳴いている
草むらからは鈴虫の声
そのすき間にある
しじま

気流にまたがり
夏が遠くへ旅立つ頃
風の匂いや空の色
夜の長ささえも

いつの間にか
変わっているだろう

そうして

時は 季節は
流れてゆくのだろう

ひとつの土地へ とどまる事もなく

さらさら
ゆらゆらと
うつろう者たちの中で
わたしは生きている