俳句に興味のあるものなら、芭蕉の生まれ故郷の伊賀上野。
そこでホトトギス(子規)を聞いたとは、なんと幸せなことでしょう。と私などは思ってしまいます。
<コラム 筆洗>ホトトギスの声を週末に訪ねた三重県伊賀市の山里で聞く。この…
ホトトギスの声を週末に訪ねた三重県伊賀市の山里で聞く。この地ではまだウグイスも盛んに鳴いており、「春告鳥」と田植えの季節を告げる「時鳥」の掛け合いがのどかである
▼無粋者には「ケキョケキョ」としか聞こえぬが、ホトトギスの鋭い鳴き声にはその声を言葉にうつす「聞きなし」が豊富にある。「テッペンカケタカ」「ホンゾンカケタカ」「トッキョキョカキョク」「トモニチヨニ」…
▼<信濃なる須賀の荒野(あらの)にほととぎす鳴く声聞けば時すぎにけり>。万葉集の東歌(あずまうた)にある。この「時すぎにけり」も鳴き声の聞きなしという説があるそうだ
▼この方がその声を耳にすれば、やはり「時すぎにけり」と聞こえるかもしれぬ。岸田首相である。今国会での衆院解散をあきらめたとの観測が広がる。自民党派閥の裏金問題の逆風で、同党が勝てそうな衆院解散・総選挙のタイミングはとっくに「すぎにけり」か
▼早期の衆院解散・総選挙で勝利し、その勢いのまま、9月の自民党総裁選でも勝利するというのが首相の計算だったのだろうが、解散を総裁選以降に見送るとなれば岸田さんの戦略は成り立たず、再選はいよいよ厳しくなる▼衆院解散先送りが本当なら、総裁選に向けた党内の動きは本格化するのだろう。出馬を目指す方々にはホトトギスの声がすでに「テッペン(総裁)賭けた闘い」と聞こえているはずである。
でした。
【子規365日】■6月9日
大釜の湯気立ち上がる栗の花 1896(M29)年
夏井いつき【子規365日】朝日文庫
《栗の花》の俳句
梅雨の頃、山路で強い異臭にふり仰ぐと、黄色い花房を見いだす。
・栗の花白痴四十の紺絣 茅 舎
・花栗に寄りしばかりに香にまみる 多佳子
・海荒れに汐汲む海女や栗の花 誓 子
横田正知編「写真 俳句歳時記 夏」現代教養文庫 より
西 逈さんのコメントです。
《ホトトギス総理 (西 逈)
ウグイス・レコードやツバメ・レコードはあっても、ホトトギス・レコードはない。未熟なホトトギスの鳴き声は「テッペンかけ」と聞こえるそうな。天辺(おつむ)欠け、だ。タカをくくっていたのだろうが、これからは「ホトトギス総理」と呼ぶことにいたそう。一度でいいから、ちゃんと「テッペンカケタカ」と鳴いてみろ。こちとら物価高で「カリタカ、カリタカ」としか、聞こえないんだよ!》