はんたろうのがらくた工房

えーと、えーと…。

ハッピー?

2017-02-03 11:51:28 | シリコンバレエ(電脳をどり)
「お前らが楽しんでいる音楽は無料ではない」
「次の音楽を生み出すためにお前らはCDや配信を購入すべきである」
口調は優しいが、要するにそういう内容のCMが、ラジオで流れるようになった。
「ハッピーミュージックサイクル」という運動なのだそうだ。

かれらの言いたいことは、本来、こうである。

ネット上に転がっている【違法な】音楽ファイルは、無料で落とせるかもしれんが、違法である上、クリエイターの利益にもならんから、【手元に置きたいなら】ちゃんとカネを出して正規ルートで買ってくれ。

そう、かれらが啓蒙し根絶したいのは「違法にアップロードされた音楽ファイル」とそのダウンロードのはずだ。
ところが、言葉が足りないのか、それとも言葉を盛り過ぎたのか、とにかく違法な行為を指す言葉をごっそり削ってしまっているために、「音楽を無料で楽しむこと」を全否定するCMに成り下がっている。

友だちにCDを借りるなり、図書館の視聴覚コーナーで聴くなり、カネがなくても、合法的に、無料で、音楽を楽しむ方法はいくらでもある。
有線放送やラジオにリクエストを送ってかけてもらえば、さらに好ましい。聴き手は完全に無料だが、放送局を通じて著作権者にきちんと報酬が支払われる(尤も、それは著作権管理団体がちゃんとしていればの話だが)。

にもかかわらず、これらの手段を一切示さずに「音楽は無料ではない、さあ金を出せ」と一方的に居丈高に言われれば、音楽は好きだけど小遣いが少ない若者を不必要に委縮させ、却って音楽コンテンツから遠ざけることとなろう。
そして、いくら言っても、違法と知りつつコンテンツのコピーをアップロードしている連中には、まったく効果はあるまい。
では、違法なアップローダーのうち、かれらがCMを届けたいのであろう「違法とは知らずに」やっている者、そしてCMを聞けば思い留まる者が、いったいどれくらいいるだろうか?
それは、お金がかかるんなら音楽聴かなくてもいいや、と諦める者よりも多いと言えるだろうか?

合法かつ無料で音楽を楽しめて、且つ著作権者も潤う、もっとも身近なメディアであるはずのラジオが、ほんの四半世紀前には「More Music, Less Talk」を標榜していたFMラジオが、なぜ「無料で楽しみたいならラジオをどうぞ」のひとことをCMに盛り込めなかったのか。

カネのない奴ぁ音楽を聴くなと言わんばかりのCMが、そのFMラジオから毎日何度も流れてくる、という現状には、呆れを通り越して暗澹たる気持ちになる。
まあ実際、この頃のFMは、音楽は少な目で、胡散臭いラジオショッピングばかりが耳につくのだけれど。

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