人一倍努力「乗り越えられない障害ない」…快挙の辻井さん
2009年6月11日(木)15:16
バン・クライバーン・コンクールで優勝した辻井伸行さん(20)──11日付二面<顔>
「全盲のピアニスト」と呼ばれることに、内心抵抗があった。「音楽家としての評価に全盲かどうかは関係ない。これからは一人のピアニストとして聴いてほしい」。プロとしての自信を深め、きっぱりと語った。
ハンデはもちろんある。だが、「音楽の世界に乗り越えられない障害はない」と信じている。難しい新作の課題曲で、ほかの参加者が楽譜を見ながら弾くところを、1か月で完全に暗譜し、本番で審査員を驚かせた。協奏曲では「指揮者の『息遣い』に耳をすませ、心の中で指揮棒を思い浮かべながら」演奏し、聴衆を熱狂させた。
10歳でプロになると決意して以来、人一倍努力してきた。しかし悲壮感はない。10日の記者会見では「今までつらいと思ったことはなく、楽しくピアノを弾いてきた」と笑顔で語った。
音への鋭敏な感覚、抜群の記憶力とテクニック、繊細な歌心……。才能に恵まれ、苦労とは無縁だったのに、受賞が決まった時は母親と抱き合い、涙を流した。「一日だけ目が見えるとしたら何を見たい?」という質問に、真っ先に返ってきた答えは、「両親の顔」だった。
2009年6月11日(木)15:16
バン・クライバーン・コンクールで優勝した辻井伸行さん(20)──11日付二面<顔>
「全盲のピアニスト」と呼ばれることに、内心抵抗があった。「音楽家としての評価に全盲かどうかは関係ない。これからは一人のピアニストとして聴いてほしい」。プロとしての自信を深め、きっぱりと語った。
ハンデはもちろんある。だが、「音楽の世界に乗り越えられない障害はない」と信じている。難しい新作の課題曲で、ほかの参加者が楽譜を見ながら弾くところを、1か月で完全に暗譜し、本番で審査員を驚かせた。協奏曲では「指揮者の『息遣い』に耳をすませ、心の中で指揮棒を思い浮かべながら」演奏し、聴衆を熱狂させた。
10歳でプロになると決意して以来、人一倍努力してきた。しかし悲壮感はない。10日の記者会見では「今までつらいと思ったことはなく、楽しくピアノを弾いてきた」と笑顔で語った。
音への鋭敏な感覚、抜群の記憶力とテクニック、繊細な歌心……。才能に恵まれ、苦労とは無縁だったのに、受賞が決まった時は母親と抱き合い、涙を流した。「一日だけ目が見えるとしたら何を見たい?」という質問に、真っ先に返ってきた答えは、「両親の顔」だった。