「かちかちやま」おざわとしお(再話)/赤羽末吉(絵)/福音館書店
あらすじ>タネまきの最中に冷やかしにきたたぬきを捕まえたおじいさんは、おばあさんに「たぬきじるつくっておいてくれ」と出かけます。帰ってきてたぬきじるをおばあさんと食べますが、その汁は、実は「ばあじる」でした。おばあさんはたぬきに殺されてしまったのです。おじいさんが悔しくて泣いていると、うさぎが来て「わたしがかたきをとってあげる」と約束しました。
* * *
縛りあげたたぬきの縄をほどいてしまう人のよいおばあさんが騙されてしまう場面は緊迫感がすごいし、たぬきがおばあさんにばけておじいさんにばあさんじるを食べさせてしまう場面も、話を聞いているほうは分かっているので息をのむ感じです。
「ばあじるくったし あわもちくった ながしのしたのほねをみろ」
と、たぬきが捨て台詞で去っていくところなんか、凶悪感がみちみちていて本当に恐ろしいのなんのって。
こういうことがあったから、たぬきがうさぎにとことんひどいめにあわされても、聞き手はある種の満足感とカタルシスを感じるのだろうなと思います。
いちばん最後のページは、たぬきが乗った泥船がこわれてたぬきが水に逆さまに沈んでいく様子だけが描かれています。
「どうなるの?」という固い表情で聞いていた子どもたちですが、このページでちょっと安堵の笑いのようなものが起きていました。ひとつの話をじっくり聞いてもらえたなという満足感がありました。(約10分)
* * * 2冊目
「おおきくなるっていうことは」中川ひろたか/童心社
物語ではなく、「おおきくなるっていうことは、ようふくがちいさくなるってこと」…など、小さい子どもだけど確実に成長しているんですよ、みんなは。みたいなメッセージ性のある絵本です。
「たかいこところからとびおりられるってこと」のページで、エーッと沸いていました。ひとつひとつ、ちゃんと自分に置き換えて捉えているんだなという反応をしていて面白かったです。以前2年生に読んだときはさらっと読んでそれほど反応はなく、3~4分くらいでしたが、わいわい言ってたので5分以上かかってしまいました。やっぱり1年生向きなのかもしれません。
それにしても、ああ、1年生の可愛さたるや。やっぱり小動物の可愛さに近いと思ってしまう。小さい子はそれだけでかわいいから、可愛がられるためにかわいいんだなあって思っちゃいます。
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