セカンド韓流2

GQ:新顔論 -ド・ギョンス編-

韓国版「GQ」2019年4月号の記事に、今最も熱い俳優たちの”顔”を検証する『新顔論』という特集が組まれていて、ピックアップされた俳優は、ド・ギョンス、パク・ジョンミン、イム・シワン、リュ・ジュンヨル、イ・ジェフンの5人。その中のド・ギョンスさんの記事をご紹介。翻訳サイトで変換したものを、若干読みやすく修正してます。

韓国語の元記事 → 신 얼굴론 – 배우 도경수의 반듯한 얼굴

ド・ギョンスは整っている。眉毛は濃く端正で、黒い瞳は丸くて鮮明。鼻筋はくっきりとして、唇は厚めだ。鼻を中心に左右の顔を合わせると、ちょうど重なるような均整な顔立ち。「千の顔」と称される俳優の顔として、あまりにも模範的な印象だ。

ド・ギョンスが他との違いを見せるのは”目つき”で、映画デビュー作『明日へ』のプ・ジヨン監督も、『7号室』で息を合わせた俳優シン・ハギュンも、みんなド・ギョンスの目がよかったと語っている。『100日の郎君様』を企画したソ・ジェヒョンPDは「彼の目は生まれ持ったもの」だと言っていた。

『明日へ』で怒りを込めていた彼の瞳は、『純情』で切なさと悲しみに、『7号室』で寂しさと哀れさに、『神と共に』シリーズでは不安と混乱、『スウィング・キッズ』では悲哀と天真さに色を変えた。ド・ギョンスの乱れることのない顔立ちは、変化に富んだ目つきと対照を成し、さらには内面の演技を濃密にする土台となっている。

最新作の『スウィング・キッズ』でも、ド・ギョンスの目は輝いた。巨済収容所に捕虜として収容されることになった北朝鮮軍のロ・ギスは、悲しみと怒りに満ちた青年だが、偶然知ったタップダンスを踊る時だけ歓喜にあふれていた。『スウィング・キッズ』でド・ギョンスの目の演技が際立つのは、彼が悲しみと喜び、歓喜と絶望といった両極端の感情を、タップダンスのステップのごとく素早く繋げて表現できるからだ。

目を落とし顔を背ける小さな動きで、感情の変化を作り出せる俳優は少ない。ただし『スウィング・キッズ』の演技の中心は、”目つき”ではなくやはり”動き”だろう。ロ・ギスは、EXOのD.O.としてのアイデンティティが最も多く現れたキャラクターで、ダンサーでもあるド・ギョンスは、タップダンスの中に抑圧と鬱憤、解放と自由を完璧に盛り込んで表現していた。『スウィング・キッズ』の振り付けを担当したイ・ミョンヨン振付師は、インタビューでド・ギョンスのダンスを「タップは演技ではなく、本当に見事だった」と評価しているが、観客もその豊かな表現、ロ・ギスの開放感と自由をそのまま感じることができた。

ダンスに限らず、ド・ギョンスは身体を”演技言語”として使える俳優だ。試合中の事故で失明した柔道選手を演じた『あの日、兄貴が灯した光』では、瞳を空っぽにしたド・ギョンスが、距離を測りながらたどたどしく前に進み、顔が歪むほど大笑いして、絶望と友愛を表現した。幼い初恋を思い出す『純情』では、真夏の太陽の下で、真っ黒に日焼けした身体そのものが、”青春”を表現していた。

身体を積極的に活用し、なおかつ目つきが際立ってはいるが、ド・ギョンスの演技は”瞬発力”よりも”柔軟さ”の方が近い。感情を込める代わりに飲み込む方法を用い、大きい動きで印象づけるより全体の流れを汲む方式で演技をする。共に作業した俳優と監督はもちろん、観客も”眼差し”を彼の最大の強みとして挙げるのは、おそらく目に感情を込めたあと、残りは空っぽにするという緩急をつけた演技方法にあるからだろう。実際、ド・ギョンスは「現実的で自然な演技を追求したい」と明らかにしている。

『スウィング・キッズ』が封切られた年末は劇場の繁盛期で、『麻薬王』『PMC:ザ・バンカー』など、制作費100億ウォン以上の大作が激突した。その2つの映画で主演したソン・ガンホとハ・ジョンウは、韓国映画の男性キャラクターとして特徴的な「線が太くて熱い」演技を披露した。 一方、ド・ギョンスは彼の演技経歴の中で最も大きくスクリーンを闊歩し、最も積極的に感情を表現した『スウィング・キッズ』でさえ、比較的落ち着いた印象を残す。そして、それがまさに俳優ド・ギョンスの魅力なのだ。

感情をあまり出さず内に抱いているため、観客自身によってその人物を探求させようとする。韓国映画界の有名な俳優たちとは違う、別の方法で演技をする彼ならではの秘訣。ド・ギョンスは「いつかメロドラマやスリラーのジャンルに挑戦したい」と言っているが、いつの間にか最もありふれた韓国映画のジャンルになったスリラーで、彼の目つきがどんな色に輝くのか今から楽しみだ。よく見ると彼の目には、すでに乾いた冷気が漂っている。

(コラムニスト:パク・アグネス/イラスト:ジョ・ソンフム)


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