※注:ネタバレあり
多重人格者を演じることについて、チソンさんはこんな風に言っていました。
「7人の演じ分けに不安はありませんでした。むしろ、チャ・ドヒョンという人物の人生を、いかに現実味を持たせて演じるかのほうが難しいと感じていました」
チャドヒョンは子どもの頃から深い孤独の中にいて、周りの大人はみんな傍観者で、辛い出来事があっても誰も助けてくれなかった。やがて、ドヒョンは自分自身の中に助けを求めるようになります。ありったけの怒りと狂気をかき集めて作り出した「シン・セギ」。世の中に対する絶望と、それでも生きたいと願う心から生まれた「ヨソプ」と「ヨナ」。唯一幸せだった7歳以前の記憶から現れた「フェリー・パク」。それぞれの人格は個性が強くてとても魅力的。その反面、ドヒョン自身にはあまり個性がなく、ほとんど自己主張もしないため、他の人格と比べて魅力が薄いなぁと感じました。それはたぶん喜怒哀楽の「喜び」「怒り」「楽しさ」を他の人格たちに渡してしまったからじゃないかと思います。
イケメンだけど目に力がなくて、全体的な印象が薄いんですよね。
シンセギの目はギラギラしていて、フェリーパクはイキイキしていて、ヨナはキラキラしていた。ヨソプの目は静かな炎で、プライドの高さと周りに対する不満が現れていました。では、ドヒョンの目は?というと、今にも消え入りそうでとても弱々しい。。
いつもどこか寂しげで哀しそうだったドヒョン。感情のほとんどを他の人格に渡してしまって、彼の中に残っていたのは「哀しみ」だけだったのかも。
そんなドヒョンの表情は、リジンとの出会いで徐々に変わっていきます。
特にリジンの家族といるときは本当に楽しそうで、こんな風に笑うことってこれまでのドヒョンにはなかったですね。
自分自身を切り刻んで苦しみから逃れてきたドヒョン。結局は、全ての人格がドヒョンそのものだったわけですが、中でもセギとは表と裏の関係で、セギだけがドヒョンと共に年齢を重ねています。(ヨソプとヨナは常に17歳で、フェリーパクは最初から40歳)それぞれが去るとき、フェリーはドヒョンのために、ヨナはリジンのために、ヨソプはドヒョンとリジンのために決断しました。そしてセギは、自分のために決断したんだと思います。リジンの側にいられるのはドヒョンであって自分ではないと分かったとき、それでもリジンの側にいたくて、ドヒョンと1つになる選択をした。せつなかったけど、セギにとって一番いい選択でした。
リジンが言ってましたね。
「永遠にこの中で生きるの。バラバラなカケラじゃなく、完成したパズルのように素敵な絵になるわ。チャドヒョンという名の、とても素敵な人間になるの」
もしもリジンがいなかったら、ドヒョンは生きていけなかったかもしれない。一番の被害者はリジンだけど、心にとてつもない傷を負ったのはドヒョンで、その傷を癒せるのはリジンだけでした。
幸せになってね☆
【オマケ】ドヒョン、今むかし。