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監督:ファン・ドンヒョク(2017年公開)
出演:イ・ビョンホン、キム・ユンソク、パク・ヘイル、コ・ス
非常にいい映画でした。ストーリーも映像も暗くて地味なんですけど、濃厚な密室劇を見ているような(実際は密室ではないけど)それぞれの言葉に聞き入っているうちに、自然と涙が出ていました。
清の侵攻により籠城を余儀なくされた朝鮮の王(パク・ヘイル)と、話し合いでの解決を模索する重臣チョンギル(イ・ビョンホン)、最後まで誇りと名誉のために戦うことを進言するサンホン(キム・ユンソク)の3人が、とにかく素晴らしかった!!!「名優」とはまさにこういう人たちのことを言うんだなと、しみじみ感じましたねぇ。この3人を見るだけでも価値のある映画だと思います。
イ・ビョンホンとキム・ユンソクの思想は真逆なんですが、国や民を思う気持ちは同じように持っていて、それぞれの考えを王様に進言します。イ・ビョンホンは「屈辱を受けても生き続けることが何よりも大事だ」と説き、キム・ユンソクは「どう生き、どう死ぬかが大事で、誇りある生き方を」と説く。2人とも、それが”国と民のため”だと言います。
どちらが正解とかではないんですよね。どちらも間違ってはいない。ただ、思想が違うだけ。そしてその思想は、決して交わることがない。彼らは議論をする際、相手の言葉を遮ったり、相手を罵ったりということを決してしません。ともすればマウントを取って相手を論破しようとする人がいますが、論破ほどくだらない行為はないです。議論とは、自分と違う考えの意見を聞いて、さらに考えを深めていく作業だと思います。
王様はたくさんの人の意見を聞きすぎていて、優柔不断に見えてしまいます。でも、最終決定を下す人の責任がどれほど重いものか…ということを考えさせられました。
ラスト、三人三様の責任の取り方をします。そこに至るまでに、どういう意見を交わし、どういう判断の元、どう責任を取ったのか、というのがこの映画の主題だと思いました。
責任を取るのが責任者の最大の仕事だと、どこかの国のエライ人たちに言いたいわぁ。