すこぶる…日記 

室長のアートな日々

月岡芳年

2017-04-25 21:05:31 | 日記
 先日、美術館「えき」京都で、展覧会「芳年ー激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」を見てきました。

 月岡芳年(1839ー1892)は、幕末から明治前期に活躍した浮世絵師。歴史絵、美人画、役者絵、風俗画、古典画、合戦画など多種多様な浮世絵を手がけた。また、芥川龍之介、谷崎潤一郎、三島由紀夫、江戸川乱歩など近代日本の文学者にも愛された。そして、画家 横尾忠則は、芳年をテーマにし編集した「狂懐の神々」(里文出版)と言う本を出している。

 そして、芳年と言えば血みどろの無残絵のイメージが強いのですが、この画家の作品の持つ、人物の表情や姿のリアルさ、ダイナミックな構図、鮮やかな色彩(特に赤色が秀逸)、スペクタルあふれる情景(さすが国芳の弟子)などその表現力や画力に圧倒されます。今回それらの作品を見て改めてかっこいいなと思いました。

 以前、杉浦日向子著コミック「合葬」(ちくま文庫)を読んで彰義隊に興味を持ったので、今回の展覧会で、芳年描く彰義隊の画がどのようなものか期待していました。慶応4年5月、新政府軍の攻撃で彰義隊が壊滅するが、芳年は上野の山に登り、戦場の死屍累々のさまをつぶさに実見しスケッチしたそうです。だからこれほどリアルな絵が表現できたのだと思いました。

 で、今回この展覧会の最終日に間に合い見る事が出来ましたが、来年2018年には、神戸ファッション美術館に巡回し、1月13日(土)~3月11日(日)の期間公開されます。見逃した方はぜひぜひ!

ナンバ・心斎橋ウォーク

2017-04-18 21:54:20 | 日記
 先日、梅田へ出るつもりでしたが、電車を乗り違いナンバに出てしまう。せっかくだからナンバの古書店をのぞく、するとカウンターに季刊25時と言う雑誌が置かれていてその号の特集が「作家中島らも」。即購入しました(らもさんのファンなので)。

 らもさんの娘さんの中島さなえさん(作家・ミュージシャン)のインタビューや親交のあった人たち(仲畑貴志、桂南光、松尾貴史など)の寄稿文や中島らも全著作の紹介などとても興味深い内容でした。中でも、らもさんが主催していた笑殺軍団リリパット・アーミーの劇団員だった俳優「山口圭哉」のらもさんとの思い出話はジーンときました。そして、なによりらもさんのポートレイトを使った表紙のブックデザインがかっこよかった!

 そして次にお気に入りのスタンダードブックストア心斎橋へ。ここは、一階と地下の店舗があり地下にはカフェが併設されています。しかし、その日行ったら地下の店舗とカフェはありましたが一階の店舗がなくなって服屋になっていたのはショックでした。ナンバのジュンク堂、ビックカメラの前の天地書房、精華小学校(ここで唐組のテント芝居を見ました)など文化的な場所がなくなっていくのは寂しい限りです。

 でも、昨年アメリカ村のビック・ステップ地下二階にイラストレーターの黒田征太郎さんのアトリエ&ギャラリー「描場」がオープンしたのはうれしかった!その日もギャラリーをのぞいて黒田さんのアクリル作品を拝見しました。そこでスタッフの方からフリーペーパーと祝春一番コンサートのチラシをいただきラッキーでした。

 その後、大型新古書店Bで、和久井光司著「ビートルズ原論」(河出文庫)と荻原魚雷著「閑な読書人」(晶文社)をゲット!今、荻原氏の著書(「古本暮らし」、「活字と自活」、「本と怠け者」、「書生の処世」)がマイブームで、著者の本好きが伝わってきて、本好きにはたまらないエッセイ集です。

 その日は、ナンバ・心斎橋ウォークを楽しめました。

 

コミック「いちえふ」

2017-04-11 21:26:51 | 日記
 最近、コミック「いちえふ(1)(2)(3)」(講談社)を読了しました。このコミックは、原発作業員が描く原発ルポ漫画と言う事でテレビや新聞などで色々と話題になった作品。で、私はそれらの報道を見て興味がわき読んでみたいなと思っていました。そうしたら、先日古書店でこの3巻を見つけて即購入しました。

 このコミックを読み終えて、原発作業員のリアルな日常が描かれていて、マスコミ報道では知ることが出来なかった事を知る事ができ、とてもよかったです。

 例えば、作業員になるまでの道程、下請けの実態(ルポでは6次下請けで働く)、防御服の着たり脱いだりの煩雑さ(鼻が痒くてもマスクがあるので掻けない、尿意を催してまた外に出てすませるまでの大変さ、夏の暑さの過酷さなど)、現場へ出入りする時の被爆量チェックの煩雑さ、仕事場である原発まで車で通う煩雑さ(渋滞が起こる場合も多い)、原発作業員の住宅事情の悪さ、被曝量の少ない作業は収入が少なく、被曝量の多い作業は高収入だが長くつとめれない現状、などなど。

 このコミックを読むことで少しでも実態を知ることができてよかったですが、そこで働く作業員にとっては、既成のマスコミ報道によって誤解が生まれる事に憤慨することも多いと言う(現場で、心臓疾患で亡くなった人の事を被爆で亡くなったと書かれたこともあったらしい)。

 改めて、地道に現場で働く作業員の人たちのおかげで復旧作業が支えられているんだなと思いました。

 震災後、原発関連のニュースが減っているので、今回このコミックを読めてよかったです。このコミックを読んで、福島原発の実態をより多くの人に知ってほしいと思いました。ぜひぜひ! 

映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」

2017-04-04 21:24:03 | 日記
 先日、神戸のお気に入りの映画館で、映画を見てきました。映画館に到着してチケットを購入した後時間があったので、旧居留地のレトロビルヂング(中でも、商船三井ビルヂング1922年大正11年ルネサンス様式のサーファードの美しさはピカイチです!)を見て回ったり、今年、開港150周年でリニューアルしたメリケンパークへ行ったりして、神戸の町歩きを楽しみました。

 そして、映画館へ。今回は、イギリスの名匠ケン・ローチ監督の作品「わたしは、ダニエル・ブレイク」を見ました。この監督の事を、以前から知人がとても評価していたのでいつか見てみたいなと思っていました。今回ようやく見る事が出来ました。

 舞台は、現在のイギリスの状況を描いていて、主人公は、大工をしている59歳の男性。心臓病を患って医者から働く事を止められる。その為国の援助を受けようとするが、その手続きの複雑さのため困難を極める。その制度は、合理性や効率を高める為、弱者を切り捨て人間の尊厳を踏みにじる様なシステムである。

 これには、誰の為の制度なんだと、その理不尽さに怒りを覚えました。

 それでも、主人公は、知り合った幼い子供二人抱えて貧困に喘いでいるシングルマザーのケイテイを手助けする。この主人公のやさしさに感動しました!

 この映画のチラシに、山田洋次監督が「ひと言もない、敬愛するケン・ローチ監督の最高傑作。」ー こんな映画こそ大ヒットしてほしい。と書かれていましたが、本当にたくさんの人に見てほしい映画です。