すこぶる…日記 

室長のアートな日々

アート情報

2017-02-28 21:20:03 | 日記
 先日、昨年の年末放映された美術番組「日曜美術館」の特番「ゆく美くる美」の中で学芸員の方がオススメの博物館としてあげられていた「竹中大工道具館」へようやく行って来ることができました。数々の大工道具の展示そして歴史を、映像や、体感できる展示物を交えてわかりやすく解説していてとても楽しく見ることができて見応えがありました。何より木をふんだんに使った館内は、そこにいるだけで癒やされました。

 その後、横尾忠則現代美術館へ行きました。現在開催中の「ようこそ!横尾温泉郷」(3月26日まで)を見ました。美術館なのに温泉気分を満喫できて、とても楽しめる展覧会でした。あえて内容は言いません、ぜひ体験してください。面白い!

 そして、今後楽しみな展覧会が。

 ①「マティスとルオー展」4月4日(火)~5月20日(日)あべのハルカス美術館
 この美術界の二大巨匠は、美術学校からの友人で、半世紀の間親交を暖めた。そんな二人の親交と作品の軌跡をたどった展覧会。初来日作品を含む約140点を紹介しているのもうれしい。貴重な機会だと思います。

 ②「北野恒富展」6月6日(火)~7月17(月祝)あべのハルカス美術館
 北野恒富(1880~1947)明治末から大正昭和と大阪で活躍した日本画家。「画壇の悪魔派」と呼ばれたキーワードが気になり今まで数点の作品を見ていますが、悪魔派と言われるだけあって艶っぽい美人画がいいんです!今回が大阪で初の大回顧展なのでうれしい限りです。

 この二つの展覧会も楽しみです。

美と建物とカフェと読書

2017-02-14 21:28:38 | 日記
先日待望の「ルカス・クラナーハ展」を見る為に大阪中之島の国立国際美術館へ行って来ました。この展覧会を見て、今まで味わったことのない独特なものを感じました。特にこの画家の描く裸体画はエロティックで、妖しげで、摩訶不思議で、そのワールドに引き込まれました。以前に、仏文学者の澁澤龍彦氏のこの画家を紹介した文を読んだり図版を見たりしてから、この画家の作品をいつか見たいと思っていたので今回の大回顧展は、本当にうれしかったです!

 そんな余韻を味わいながら、中之島界隈を散策しました。そんな時フッと大阪府立中之島図書館に新しくカフェがオープンした事を思い出しましたので、そこへ向かいました。

 大阪府立中之島図書館は、1904年(明治37年)に建てられた新古典主義スタイルの建物で、建築家野口孫市の代表作。この図書館は以前、1階の入り口からしか入れなかったのですが、現在は、階段を登って2階の正面玄関から入れるのがうれしい。その玄関を入って上を見上げるとドーム天井に美しい天窓があり、レトロ建築好きにはたまらない空間でした。

 そして、玄関右の廊下を進むと、カフェがあります。こちらは、1922年(大正11年)に増築された建物です。そして、ドアを開けるとそこにはおしゃれなカフェの空間が広がっていました(女性客が多かったです)。そこで、コーヒーを飲むと本当にホッコリできました。

 そして、そこでゆっくり読みたかった本が、沢木耕太郎著「キャパの十字架」(文藝春秋社)です(最近読了しました)。世界的な写真家ロバート・キャパの代表作であり世紀的な戦争写真「崩れ落ちる兵士」には、たくさんの謎があり、例えば、いつどこで撮られたのか、どんな状況だったのか、兵士は死んだのか、その兵士は誰なのか、そしてキャパ以外の人間がとったのでは...。そんな謎の真相を確かめる為の著者の追跡行を綴ったノンフィクション作品。その追跡がスリリングでとても面白かったです。この本を読んで著者が翻訳したキャパの伝記も読みたくなりました。

 このブログ、パソコンの関係で少しの間、お休みします。よろしくお願いします。

映画「この世界の片隅に」

2017-02-08 21:32:19 | 日記
先日、前から気になっていた映画「この世界の片隅に」を見に行きました。上映時間一時間前ぐらいに行ったら残席わずかになっていたので焦りましたが座席は確保できホットしました。上映時には満席になり人気があるんだなと思いました。

 この映画、主人公のすずと言う女性を通して、戦時下の広島・呉の街に暮らす人々の日々の営みが丁寧に描かれていたり、アメリカ軍の容赦ない空襲・空爆をリアルに描いていて、いままで知らなかった当時の様子や戦争の現実を知ることができとても良かったです。

 そんな逼迫した状況でも、助け合い(時にはユーモアも忘れず)たくましく生きていく主人公、家族、そして人々の姿に感動しました。中でも、すずの声を担当した女優「ノン」と映画音楽を担当したミュージシャン「コトリンゴ」(この映画を見た翌日にラジオ番組にこの人がゲストに出ていて、そのインタビューを聞くことが出来てラッキーでした!)が特によかった。

 最近読んだ本の中で、著者が戦争体験について次のように書かれていました。

 ― 当時は、学校へ行く子供も、動員先へ通う学徒も、防空頭巾か鉄兜と、救急袋と呼ばれるショルダーをたすぎがけに肩に掛けて出かけた。防空頭巾とは空襲の際、落下物や火の粉から身を守るための、自家製の綿入れの頭巾である。救急袋の中には空襲でケガや火傷をしたときのために、包帯、三角巾、ガーゼ、赤チン、火傷薬などを入れた。キンカンという火傷薬はとりわけ必須品と言われていた。

 服の胸には住所氏名と血液型を書いた布切れを縫いつけていた。血液型は大怪我を負って意識を失っても輸血ができるようにということであり、住所氏名は爆風で吹き飛ばされて気絶しても、いや、首なし死体になっても身元がわかるようにということである。考えてみると、恐ろしい時代であった。 ―       澁澤幸子著「澁澤龍彦の少年世界」(集英社)より

 戦争体験者が少なくなっている現在、この映画はたくさんの人に見てほしい映画です、また映画としても素晴らしいアニメーション作品です。