すこぶる…日記 

室長のアートな日々

アート情報

2016-03-29 21:35:51 | 日記
 春になって面白そうな展覧会が増えて来ました。その中でぜひ行きたい二つの展覧会!

 一つは、美術館「えき」KYOTOで開催される 写真展「木村伊兵衛 パリ残像」4月1日(金)~4月24(日)まで。

 土門拳と並ぶ写真界の巨匠「木村伊兵衛」(1901~1974)が、1950年代ヨーロッパ取材時に撮ったリリシズムあふれるパリの風景や市井の人々の姿。木村伊兵衛と言えばモノクロ作品のイメージが強いが、今回の作品はカラ―作品約130点。興味深いです。

 二つ目は、大阪市立東洋陶磁器美術館で開催される「没後100年 宮川香山」展。4月29日(金・祝)~7月31日(日)まで。

 天才陶芸家「宮川香山」(1842~1916)は、明治時代にヨーロッパで盛んに開催された万国博覧会に、「高浮彫」と言う超絶技巧で制作された動植物の装飾で彩られた陶磁器を出品し世界を驚かせた!私は、これらの作品をテレビの美術番組や美術雑誌で紹介されていたのを見て、一度は本物を見たいと思っていたので、今回の機会はとてもうれしい!

老舗古書店

2016-03-22 21:36:10 | 日記
 先日、服部緑地の霊園でお墓参りをした後、天牛書店(江坂本店)に寄りました。天牛と言えば明治40年創業の大阪を代表する老舗古書店。天牛ビルの一階(文藝、写真、アート、雑誌、歴史、宗教、旅行、音楽etc)と二階(音楽、新書、文庫、医学、建築、心理学、コミックetc)の吹き抜け天井のある広々したフロアーに10万冊の蔵書がある。またクラシック、JAZZ、ロック、ブルースなどの中古CDも充実。ここを、じっくり見て回って本を選ぶのが、古本好きにとって至福の時です。

 この日の収穫は、湯浅学著「ボブ・ディラン」(岩波新書)、横尾忠則著「病気の神様」(文春文庫)、島崎今日子著「安井かずみがいた時代」(集英社文庫)→ この本は、最近文庫化されたのを知って気になっていた。そして、雑誌「東京人 特集 喫茶店の憩い」→ 沼田元気氏のレトロ喫茶店の写真が秀逸です。

 江坂本店は、遠いので時々しか行けないですが、天神橋支店は、よく行きます。今や、私の求める本ヒット率ナンバー1の店です。やはりアート本が充実しているのがうれしい!

 現在、次々と古書店が閉店する状況で、天牛書店は、永く続けてもらいたいものです。

ヘンリー・ダーガ―

2016-03-15 21:30:20 | 日記
 先日、BS美術番組「ぶらぶら美術・博物館」で、横浜美術館・「村上隆スーパーフラット・コレクション」展を特集していました。これは、現代アート作家村上隆氏の膨大なコレクション(約1000点)を大公開した展覧会。例えば、曽我蕭白・白隠の水墨画、魯山人の陶器、一休・秀吉の書、奈良美智・アンゼルム・キーファーの現代美術など。その中に、アート・ブリュット(正規の美術教育の影響を受けず、そしてそれらに囚われないフリーダムな驚くべきアートとその表現者たち)の代表的な作家「ヘンリー・ダーガ―」の作品がコレクションに入っていたのには驚いた!この番組のコメンテーター役の山田五郎氏もこの作品について熱く語っていた。

 で、その「ヘンリー・ダーガ―」の事が、今読んでいる四方田犬彦著「蒐集行為としての芸術」(現代思潮新社)に書かれていた。

 ― ヘンリー・ダーガ―はディキンソンより半世紀後にシカゴに生れ、幼くして孤児になった。利発であったが生来の内気さから知的障害を疑われ、養護施設で育てられた。彼は病院の雑役婦として極貧の人生を終えた。だが、死後、下宿の部屋を開いた大家は、そこに五千八十四頁にわたる自伝と一万五千百四十五頁の幻想小説の草稿、さらに巻紙状の挿画が夥しく残されていることを知り驚嘆した。ダーガ―は孤独な空想のなかで、可憐な少女たちを守護して悪しき大人たちを退治する正義の英雄を演じていた。だが生涯にわたって少年と少女の肉体的差異を知らなかった。 ―

 村上氏は、この挿画の一部をコレクションしていた。いつか、ヘンリー・ダーガ―の挿画展は見てみたいものです!それから、四方田氏の美術に関する文章を集めたこの本「蒐集行為としての芸術」は、スコブル面白いです。ちなみに、この本で取り上げられた作家は、ヘンリー・ダーガ―をはじめ、ジョセフ・コーネル、四谷シモン、寺山修司、石内都、杉浦茂、楳図かずお、パラジャーノフ、坂東玉三郎、パウル・クレーetc。アート好きにはオススメの本です。

アート情報

2016-03-08 21:40:15 | 日記
今後、開催される気になる展覧会を二つ。

 ①京都龍谷ミュージアムで開催される特別展「水 神秘のかたち」4月9日(土)~5月29日(日)まで。

この展覧会は、私の好きな美術番組「ぶらぶら美術・博物館」で紹介されていて、見たいなと思っていたら京都に巡回してきたのでラッキーでした。水に込められた願いや祈りを表した絵画・彫刻・典籍などの名品が出品されていて、中でも前から本物を見たいと思っていた重要文化財「日月山水図屏風」と水の聖地の女神とされる「弁財天坐像」を見るのが、今からの楽しみです。

 ②大阪中之島・国立国際美術館で開催される特別展『森村泰昌 自画像の美術史 「私」と「わたし」が出会う時』4月5日(火)~6月19日(日)まで。

 女優や著名な美術作品に扮したポートレイトでおなじみの現代アート作家「森村泰昌」の大規模な展覧会。今回、どんな名画の自画像に扮するのか楽しみです。森村氏と言えば著書も多く、その中でも、「露地庵先生のアンポン譚」(新潮社)は面白いのでおすすめです!

 

幻花幻想幻画譚

2016-03-02 21:34:48 | 日記
 前回紹介した本「ぼくは散歩と雑学が好きだった。小西康陽のコラム1993-2008」の中に、小西氏が画家「横尾忠則」のコアなファンである事を示す文章があった。

 ― 横尾忠則さんは、1969年からずっとぼくのスーパースター。横尾さんがいまもガンガン新しい本や作品を発表しているのは、ローリング・ストーンズも健在というか、自分がまだ少年時代にいるような錯覚に陥るような。でも、ストーンズより断然カッコいいです。 ―

 小西氏は、1959年生まれだから、1969年からファンと言う事は、当時10歳!恐るべき子供ですね。

 で、先日神戸にある横尾忠則現代美術館で開催中(3月27日まで)の展覧会「幻花幻想幻画譚」に行って来ました。東京新聞に連載(1974~75)された瀬戸内晴美(寂聴)による時代小説「幻花」のために横尾忠則が描いた挿絵の原画展である。全371点を展示。

 精緻な線描で表現された世界は、まさに横尾忠則イラスト曼荼羅である。幻想、神秘、エロス、奇想(室町時代が舞台なのにUFOが登場する)、そしてアバンギャルド!見応えのある展覧会です。また、美術館側の注意事項を守れば撮影が可能です。これはうれしい!

 この美術館に来てのもう一つの楽しみはミュージアムショップです、横尾さんに関しての著書、画集、ポスター、ポストカード、Tシャツ、バッグ、グッズ、CD、etc。横尾ファンには、たまらない場所です。

 横尾さんが手掛けた江戸川乱歩全集(屋根裏の散歩者、パノラマ島奇譚、孤島の鬼、猟奇の果etc)のデザインワークも素晴らしいので、次回は、江戸川乱歩をテーマにして展覧会を開催してほしい。