「オイお前だよ、そこの女」
ぞんざいな口調で呼び止められ振り返ると、そこには跡部景吾がいた。
不機嫌そうに眉をひそめながら、放課後の廊下をこちらに歩いてくる。
生徒会の途中なのか、書類を持っていた。
どんどん距離は近くなるが、彼に呼び止められる理由は一向に思いつかない。
実は話すのもこれが初めてだ。
「お前昨日が何の日だったか、分かってねぇようだな」
記憶によると昨日はバレンタインデイだった。
岳人に頼まれたチョコを渡し、忍足に一応チョコを渡し、友人達と一緒にチョコを食べたので間違いない。
それ以外に特にイベント事や提出物は無かったはずだ…と思う。
いくら考えても理由は思いつかないし、混乱のあまり声もろくに出ない。
言葉につまる私を見て、彼はあきれたように大きくため息をついた。
「…いいか、教えてやる。
昨日はバレンタインだ」
瞬間私の頭はさらなる混乱に陥ったが、おかまいなしに話は進んでいく。
「バレンタインと言ったら、女が俺様にチョコを渡す日だろ」
優雅な動作で、白い綺麗な手が私の前に差し出された。
状況がつかめず「はぁ」と空気の抜けるような返事をする。
この手をどうしたらよいのか。
途方にくれて彼の顔を見ると眉間の皺がいっそう濃くなった。
「お前…俺様がわざわざチョコ取りに来てやったのに、何バカみてぇな面してんだよ」
他にどんな顔をすれば良いのか。
「…まさか…今日も忘れたなんて言うんじゃねぇだろうな…」
アーン?とさらに機嫌を悪くする彼に、慌てて鞄に入れっぱなしだった昨日のチョコの余りを渡す。
フッと軽く笑い、
「手間取らせるんじゃねぇよ」
そう言いながら勝ち誇ったようにチョコを取った。
じゃあな、と来た方向へ帰っていく帝王。
しばらく私は呆然として彼の消えた廊下の先を眺めていた。
◎後書き◎
跡部×「私」では無いですが「女は皆俺にチョコを渡すものだ」と思っている跡部タマ。
そんな跡部たまはカワイイかなと。(笑)
ちなみにこのべったまは超本気です。べったまにとっては100%親切です。
氷帝3年全員制覇を目指しましたが、滝とジロがまとまりませんでした…オゥ!
とりあえずバレンタインシリーズは終了です(^^)
お付き合い下さった方、まことにありがとうございました(≧◇≦)
楽しかったです♪
ぞんざいな口調で呼び止められ振り返ると、そこには跡部景吾がいた。
不機嫌そうに眉をひそめながら、放課後の廊下をこちらに歩いてくる。
生徒会の途中なのか、書類を持っていた。
どんどん距離は近くなるが、彼に呼び止められる理由は一向に思いつかない。
実は話すのもこれが初めてだ。
「お前昨日が何の日だったか、分かってねぇようだな」
記憶によると昨日はバレンタインデイだった。
岳人に頼まれたチョコを渡し、忍足に一応チョコを渡し、友人達と一緒にチョコを食べたので間違いない。
それ以外に特にイベント事や提出物は無かったはずだ…と思う。
いくら考えても理由は思いつかないし、混乱のあまり声もろくに出ない。
言葉につまる私を見て、彼はあきれたように大きくため息をついた。
「…いいか、教えてやる。
昨日はバレンタインだ」
瞬間私の頭はさらなる混乱に陥ったが、おかまいなしに話は進んでいく。
「バレンタインと言ったら、女が俺様にチョコを渡す日だろ」
優雅な動作で、白い綺麗な手が私の前に差し出された。
状況がつかめず「はぁ」と空気の抜けるような返事をする。
この手をどうしたらよいのか。
途方にくれて彼の顔を見ると眉間の皺がいっそう濃くなった。
「お前…俺様がわざわざチョコ取りに来てやったのに、何バカみてぇな面してんだよ」
他にどんな顔をすれば良いのか。
「…まさか…今日も忘れたなんて言うんじゃねぇだろうな…」
アーン?とさらに機嫌を悪くする彼に、慌てて鞄に入れっぱなしだった昨日のチョコの余りを渡す。
フッと軽く笑い、
「手間取らせるんじゃねぇよ」
そう言いながら勝ち誇ったようにチョコを取った。
じゃあな、と来た方向へ帰っていく帝王。
しばらく私は呆然として彼の消えた廊下の先を眺めていた。
◎後書き◎
跡部×「私」では無いですが「女は皆俺にチョコを渡すものだ」と思っている跡部タマ。
そんな跡部たまはカワイイかなと。(笑)
ちなみにこのべったまは超本気です。べったまにとっては100%親切です。
氷帝3年全員制覇を目指しましたが、滝とジロがまとまりませんでした…オゥ!
とりあえずバレンタインシリーズは終了です(^^)
お付き合い下さった方、まことにありがとうございました(≧◇≦)
楽しかったです♪
「一個貰うぜ」
お菓子の山から、宍戸亮が私のチョコを取る。
バレンタイン当日の昼休み、例年通り私は友達と持ち寄ったお菓子を食べていた。
去年岳人に渡したのはこういった代物の余りだ。
「つかお前ら、それ全部食うのかよ」
私の持ってきたお徳用チョコを中心に、女の子らしく手作りのチョコケーキなんかもある。
信じられねぇ…と小さく、だが確かに呟いたのを私は聞き逃さなかった。
同じく聞き逃さなかった友人が、宍戸の手からチョコを奪い取る。
「じゃあ食べなきゃいいでしょ。
どうせあの人から貰えるんだから」
「は?誰からだよ」
俺彼女いねぇし…と小さく呟き他のチョコに手を伸ばす。
ちょっと怒った風を装ってるが、大分気になっているのだろう。期待と照れで動きがぎこちない。
「…誰だよ」
宍戸の耳が赤くなり始めているのに気付いてしまった。
誰って…ねぇ、と友人はニヤニヤしながら宍戸の顔を見る。
「2年の鳳君」
そこにいた宍戸以外の全員が思わず吹き出してしまった。
宍戸だけは「…それ笑えねぇよ…」と不貞腐れたようなため息をついたのだが。
◎後書き◎
鳳は自分が貰ったチョコも宍戸さんにあげてしまいそうで…(汗)
…つか宍戸さん身長170以上あるの!?
え?日吉と同じ??何だよー!!!
もうYou達ジャニーズ入っちゃいなYo!!(何故?)
…ちなみにワタクシ岳人より身長低ぅございます。
……アイツ意外と身長高いんスよ…と言ってもヤツも160無いですが…( - -)。
お菓子の山から、宍戸亮が私のチョコを取る。
バレンタイン当日の昼休み、例年通り私は友達と持ち寄ったお菓子を食べていた。
去年岳人に渡したのはこういった代物の余りだ。
「つかお前ら、それ全部食うのかよ」
私の持ってきたお徳用チョコを中心に、女の子らしく手作りのチョコケーキなんかもある。
信じられねぇ…と小さく、だが確かに呟いたのを私は聞き逃さなかった。
同じく聞き逃さなかった友人が、宍戸の手からチョコを奪い取る。
「じゃあ食べなきゃいいでしょ。
どうせあの人から貰えるんだから」
「は?誰からだよ」
俺彼女いねぇし…と小さく呟き他のチョコに手を伸ばす。
ちょっと怒った風を装ってるが、大分気になっているのだろう。期待と照れで動きがぎこちない。
「…誰だよ」
宍戸の耳が赤くなり始めているのに気付いてしまった。
誰って…ねぇ、と友人はニヤニヤしながら宍戸の顔を見る。
「2年の鳳君」
そこにいた宍戸以外の全員が思わず吹き出してしまった。
宍戸だけは「…それ笑えねぇよ…」と不貞腐れたようなため息をついたのだが。
◎後書き◎
鳳は自分が貰ったチョコも宍戸さんにあげてしまいそうで…(汗)
…つか宍戸さん身長170以上あるの!?
え?日吉と同じ??何だよー!!!
もうYou達ジャニーズ入っちゃいなYo!!(何故?)
…ちなみにワタクシ岳人より身長低ぅございます。
……アイツ意外と身長高いんスよ…と言ってもヤツも160無いですが…( - -)。
「なぁ、エエやん。」
そう言って肩を抱こうとする忍足侑士を避けるように、私は足を速めた。
「なんでアカンの?」
岳人にはチョコあげるんやろ?と、誰に聞いたのか(おそらく岳人自身からだろうが)なおもしつこく食い下がる。
ここで足を緩めてはいけない。
話を聞いてしまうとあの関西弁に引き込まれ、確実にチョコをあげるはめになってしまう。
「忍足君は本命チョコ沢山もらうんでしょ?」
そうなのだ。
さすがにあの跡部景吾には負けるものの、それでも忍足はチョコをよく貰う。
しかもそのほとんどが本命である。
その中に参戦し、他の女子から敵対視されるのは何としてもさけたい。
「…なんや、嫉妬するなんて自分…可愛い所あるやん」
口の端をニヤリとゆがめる。
本気で言っているようなので対応に困る。
引きそうにないので、軽くため息をつき足を止めた。
「岳人君と競争してるんでしょ?私岳人君に、忍足君にチョコあげないって約束しちゃった」
実際はそんな約束していないが、とりあえず最後の学園生活を無事に過ごしたい。
これで引いてくれるかな?と思っていたら、なんやそんな事かいな…と呟きながら忍足はゆっくり私の手を取り、耳元で囁いた。
「そんなら岳人には内緒でエエやん…
俺ら…共犯でエエやん…」
どう突っ込めばいいんだろうか。
そう真剣に考えたとき、タイミング良く授業開始のチャイムが鳴った。
ごめん、と走り去ろうとした私を追うように「俺待ってるから!」と忍足の声が響いた。
◎後書き◎
私忍足大好きですよ?(説得力無い)
でも、ほら、これギャグですから!!
忍足は女の子に引かれても「なんやねん、あの子猫ちゃん…」みたいに思ってたらいいと思います。
…格好良い忍足好きの方、ごめんなさい…!(汗)
そう言えば20.5を見たのですが、忍足とジャッカルと赤澤と南って同じ身長なんですねぇ…へぇ。
南が…(何か言いたげな目)
そう言って肩を抱こうとする忍足侑士を避けるように、私は足を速めた。
「なんでアカンの?」
岳人にはチョコあげるんやろ?と、誰に聞いたのか(おそらく岳人自身からだろうが)なおもしつこく食い下がる。
ここで足を緩めてはいけない。
話を聞いてしまうとあの関西弁に引き込まれ、確実にチョコをあげるはめになってしまう。
「忍足君は本命チョコ沢山もらうんでしょ?」
そうなのだ。
さすがにあの跡部景吾には負けるものの、それでも忍足はチョコをよく貰う。
しかもそのほとんどが本命である。
その中に参戦し、他の女子から敵対視されるのは何としてもさけたい。
「…なんや、嫉妬するなんて自分…可愛い所あるやん」
口の端をニヤリとゆがめる。
本気で言っているようなので対応に困る。
引きそうにないので、軽くため息をつき足を止めた。
「岳人君と競争してるんでしょ?私岳人君に、忍足君にチョコあげないって約束しちゃった」
実際はそんな約束していないが、とりあえず最後の学園生活を無事に過ごしたい。
これで引いてくれるかな?と思っていたら、なんやそんな事かいな…と呟きながら忍足はゆっくり私の手を取り、耳元で囁いた。
「そんなら岳人には内緒でエエやん…
俺ら…共犯でエエやん…」
どう突っ込めばいいんだろうか。
そう真剣に考えたとき、タイミング良く授業開始のチャイムが鳴った。
ごめん、と走り去ろうとした私を追うように「俺待ってるから!」と忍足の声が響いた。
◎後書き◎
私忍足大好きですよ?(説得力無い)
でも、ほら、これギャグですから!!
忍足は女の子に引かれても「なんやねん、あの子猫ちゃん…」みたいに思ってたらいいと思います。
…格好良い忍足好きの方、ごめんなさい…!(汗)
そう言えば20.5を見たのですが、忍足とジャッカルと赤澤と南って同じ身長なんですねぇ…へぇ。
南が…(何か言いたげな目)
「なぁ、チョコくれよ!」
本をめくる手を止め、声のした方向を見ると、隣のクラスの向日岳人が飛び込んできた。
当然のように私の前のイスに跨がる。
「もうすぐバレンタインじゃん?」
嬉しそうにニカっと笑う。
てか何読んでんの?と私の持つ本のタイトルを覗き込んだが、知らね、と一言言ったきり興味を失ってしまったようだ。
テニス部の男子が「今年も忍足と何かやってんのかよ」と岳人の後ろから声をかける。
今年も…という事は、去年もやっていたのか。
「そうなんだよ!」
さっきまで前のめりだったイスが、今度は倒れる直前まで後ろに反った。
あまりのせわしなさに、彼の型破りなテニススタイルを思い出す。
「去年も数ならオレの勝ちだったのに!
クソクソ侑士め!!」
今度は拗ねたように口を尖らせ、ぜってぇオレの方がモテる!!と豪語した。
そう言えば、去年は同じクラスだったのでチョコをあげたのだ。
といってもお徳用チョコ一粒だったが。
ただの気まぐれだったのだが、よく憶えていたものだ。
「だからさぁ」
急にガタン!とイスを傾けて岳人がこちらに向き直る。
いきなりのリアクションにビクッとしてしまった。
「今年はちゃんと包んだヤツくれよ!
じゃないとカウントしねぇって」
ユーシのヤツが!と言ったとたん、岳人は何かに気付いて慌てて廊下に飛び出した。
騒ぐあまり、授業開始のベルが鳴った事に気付かなかったのだ。
今年はちゃんとあげようかな…と考えながら、私はゆっくり教科書を開いた。
◎後書き◎
岳人は義理チョコを沢山もらってそうですね~☆
本命を貰ってもそれに気付かなさそうと言うか(^^;)
本をめくる手を止め、声のした方向を見ると、隣のクラスの向日岳人が飛び込んできた。
当然のように私の前のイスに跨がる。
「もうすぐバレンタインじゃん?」
嬉しそうにニカっと笑う。
てか何読んでんの?と私の持つ本のタイトルを覗き込んだが、知らね、と一言言ったきり興味を失ってしまったようだ。
テニス部の男子が「今年も忍足と何かやってんのかよ」と岳人の後ろから声をかける。
今年も…という事は、去年もやっていたのか。
「そうなんだよ!」
さっきまで前のめりだったイスが、今度は倒れる直前まで後ろに反った。
あまりのせわしなさに、彼の型破りなテニススタイルを思い出す。
「去年も数ならオレの勝ちだったのに!
クソクソ侑士め!!」
今度は拗ねたように口を尖らせ、ぜってぇオレの方がモテる!!と豪語した。
そう言えば、去年は同じクラスだったのでチョコをあげたのだ。
といってもお徳用チョコ一粒だったが。
ただの気まぐれだったのだが、よく憶えていたものだ。
「だからさぁ」
急にガタン!とイスを傾けて岳人がこちらに向き直る。
いきなりのリアクションにビクッとしてしまった。
「今年はちゃんと包んだヤツくれよ!
じゃないとカウントしねぇって」
ユーシのヤツが!と言ったとたん、岳人は何かに気付いて慌てて廊下に飛び出した。
騒ぐあまり、授業開始のベルが鳴った事に気付かなかったのだ。
今年はちゃんとあげようかな…と考えながら、私はゆっくり教科書を開いた。
◎後書き◎
岳人は義理チョコを沢山もらってそうですね~☆
本命を貰ってもそれに気付かなさそうと言うか(^^;)