八喜為てんてこりんブログ 第3回目
震災から1ヶ月あまりが過ぎ、電気・ガス・水道がすべて復旧し、街が少しずつ動き始めた頃、我が八喜為も少しずつ始動しはじめました
方々に散ったスタッフたちに声をかけ、傾いた店の前(外)で「青空 八喜為」を開店したのです
古株スタッフ「中根さん」をはじめ、寄り集まったスタッフと力を合わせて、店の前にブルーシートでテントを張り、テーブルと椅子を置き、サザンオールスターズのBGMでノリノリの再開店をしました
頑張れ八喜為頑張れ新開地We Love KOBE
こんな意気込みで、串かつは、創業当時の価格と同じ1本30円
この青空八喜為の根本には「皆の為に温かいものを安く提供したい!!」という大将の強い信念があったのです
瓦礫の中、青空の下での営業再開になんとも言えない気持ちが込み上げてくる大将やいのちゃん専務、そして集まった八喜為スタッフたち
来店されたお客様は「熱いものが食べれる!」「安い!!」「嬉しいっ!!!」と涙を流して食べてくれました
互いに酒を交わし、震災の話をしながら、串かつをほおばっていたそうです
お客様に喜んで頂けて、ますます胸が熱くなった大将とスタッフたちは、次は「定食もしよう」と「串かつ定食」と「出し巻定食」を始めました
荒れた街中を、お米屋さんがお米を運んで来てくれました
釜をフル活動させ、ジャンジャンご飯を炊きました
寒空の下で炊き立てのごはんを食べたお客様は本当に喜んで下さり、たくさんの「ありがとう」という言葉を頂きました
大将もいのちゃん専務もスタッフも皆、頑張って良かったと嬉しい気持ちになったそうです
そしてこの時の定食価格は、今は亡き先代大将もビックリの「280円」
そうこうしているうちに、同じ商店街の近所の飲食店さんも、再開店し始め、少しずつ、神戸の街が元気を取り戻して来ました
そんな神戸の街の様子を取材しに来たテレビ局さん
カメラの前で、臆することなくインタビューに応えた先代おかみの「八重野ちゃん」
こころなしか、いつもよりお化粧のほほ紅が濃かったこと、ひそかにとんちんかんなコメントをしていたこと、皆は覚えています(笑)
こういった初めてのテレビ取材も、非現実的な中の現実でした
このように必死で店を頑張る一方で、まだまだ壊滅状態の続く街に、現おかみ「いのちゃん専務」は本当にこれで良いのか・・・と苦悩した日々もあったそうです
「自分達は、今、八喜為の中で必死に頑張っているけど、本当にこれが正しいのだろうか…街を見渡せばまだまだ目を覆うような光景が広がっている・・・本当は、もっと他にしなければいけないことがあるのではないのだろうか・・・」
と悶々と悩み、迷宮に入りかけたある日、神戸の象徴でもある「ポートタワー」に登ったそうです
その時の感想をこのように語ってくれました
「壊滅状態にある街の中で・・・人がアリのように小さく見えて、自分もアリや!災害に悩んでいる自分が小さく情けなく思って・・・くよくよ悩んでる場合じゃない今、自分たちができることをして、なんとかしていかなあかんっっ」と・・・。
そしてポートタワーから降りて来た時には、また再び元気を取り戻したそうです
・・・それもアリやな・・・
こんな風に自分達のしていることに迷いつつも、一進一退を繰り返しながら「青空 八喜為」は約1年ほど続いたのです
そんな中、色々な珍事件もあり、警察さんにも良くお世話になりました
次回は「青空八喜為・珍事件」偏 お楽しみに
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