よんたまな日々

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何でPCってネットにつながったの?

2008年07月31日 | ネット生活
と、例によって、いきなり本質をつく質問を私に向かって投げつけてくるうちの奥さん。

近所の飲み屋で軽く仕事の疲れを洗い落として、もはや双方ともあまり明晰な理性を維持していない深夜24時過ぎ。

「だって、便利じゃん。」とありきたりに返すと
「最初は、でっかいホストにバカ端末がぶら下がっていたんでしょ。それから、PCが出てきて、みんなこれで個人で楽しめるって喜んだのに、何でまた、ネットにつなげるんよー。」
「やはり孤独はつらいってことが身に染みたんでしょうよ。」
と文学的に返すと首を絞められた。げほげほ。

「そもそも、ホストにバカ端つなぐのと、WSでクライアントサーバーするのと、どう違うのよ。」
と、SEの初歩みたいな質問をぶつけてくる。うちの奥さんがこういう質問をするのは、絶対何か裏があってのことなので、しょうがない、半分寝ていた脳みそをゆすって、半身を起こした。

最初はみんなホスト接続で使っていたの。それしかなかったから。
ところがPCが出てきて、個人でCPUを占有できることがわかった。
それまで、ホスト接続していて、タイムシェアリングで使っていても、ある程度CPUパワーを占有する処理を走らせると、センター側から勝手に切られて、夜間ジョブに回せって言われたの。で、夜間ジョブに回すと翌朝まで結果が出ないんで、大規模シミュレーションをちょっとづつ条件を変えてやるなんてのは、すごい時間のかかる作業だったの。
ところが一人一個CPUを占有できるようであれば、別に不便な夜間バッチなんてやらなくても、PCで好きな時間にジョブを走らせておいて、同じように一晩かかったとしても、翌日すぐに条件を変えて次のシミュレーションができるので、夜間バッチなどというものに縛られずに済むようになったの。
で、大学の研究室とかで、みんな当時50万円くらいしたPC98を買って、シミュレーションを行うようになったんだけど、一人一台50万円というのは、なかなか勿体無い投資で、それなら8人でシェアできる200万円くらいのWSを買ったほうが結局は安上がりになるの。
だから、大学の研究室はWSを導入し始めたのです。
で、WSと小規模ネットワークによるクライアントーサーバー モデルが世に林立し始めた頃、これからはシンクライアントじゃー、これを使うとクライアントの面倒を見なくても済むから便利なのじゃーと叫ぶ、かつてのホストを復活させるような中央集権主義者と、サーバー管理でUNIXの知識がいるなんて素人には無理ですよねー、サーバーもPCと同じ形で管理できますよーとささやくアナーキストどもが、次世代の処理系の主権をめぐって争いあう中、そういう風に個人や組織で解決しなくても、やりたいサービスを切り売りしますよんというNW-ASPな人達が、個人消費者を根こそぎ持っていったというのが、今のネットワーク状況なのさ。

とかなり過去の体験を織り交ぜつつ語ったところ、酔いがさらに深まったうちの奥さんが、
「よし、それを内田樹先生に教えてあげなさい。」という。
「何を僕みたいなどこにでも掃いて捨てるほどいる一SEが、内田樹先生に。」
というと、
「内田樹ブログを読め。先生は、まさしくその件でお困りじゃ。」
とのたまわって、混乱している僕を尻目に、寝てしまった。

冷房が切れてさきほど暑くて目が覚めたら、うちの奥さんの言葉が気になったので、内田樹ブログを読みにいった。
確かにそういうエントリがあった。(これhttp://blog.tatsuru.com/2008/07/30_0945.phpです。)

しかし、何も悪辣(でないかもしれない)商業サイトに個人情報売り渡さなくたって、自分でスケジュール管理サーバーを立てればいいのに、と、クライアントーサーバーモデル全盛期にSE修行した杵柄管理職は思うのであった。

先生、世間にはサイボウズというとっても便利なものがありますぜ。
特に回し者ではないはずですが。


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