よんたまな日々

サッカーとゲームと本とおいしい食べ物

原は沢田研二の香りがする

2005年01月16日 | 読書
という表題を書いて、中身を考えていて、弱りました。このタイトルで言いたいことが言い尽くされてしまった。

「カサブランカ・ダンディ」とか、「憎みきれないろくでなし」とか、「勝手にしやがれ」とか、知っています?
「聞き分けのない女の頬を、一つ二つはり倒して」と歌ってますが、当時小学生か中学生かだった僕の記憶では、当時でも本当にこんなことをすれば、ただじゃ済まなかったですよ。
そういうのをあえて堂々と歌うダサさが逆に格好いいという感覚で聴いていました。
すごい化粧と、ギンギラギンの衣装も面白かったし。

昔、大滝詠一が、細野、松本と日本語でロックは可能かという議論をやっていて、そういう延長上にはっぴいえんどが登場したそうですが、原も、日本を舞台にハードボイルドを書くことが可能かという問いに対して、一つの答えを示したと思います。
ハードボイルドを気取る主人公の探偵、沢崎が、周囲の人間に「お前は馬鹿だ。」と言われ続けて、自分でも苦笑いしながら、それでもハードボイルドに事件を追いかけていく小説です。

最近ようやく原の「さらば長き眠り」を読んだのですが、こちらは残念ながら舞台が、バブルがはじけた後の日本になってしまいました。巨人が強くて長島さんが選手として活躍していた頃の日本が舞台である、前3作のほうが楽しめました。

コージー・ミステリーとは対極の、暴力的な男達の物語ですが、僕は大好きです。
多分、こういう小説が肌に合わない人はいっぱいいると思いますが。(うちの奥さんは、この手の痛そうなやつはダメらしい)


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1 コメント

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うちの奥さんからの質問 (h_tutiya)
2005-01-20 07:03:38
僕の書き込みに、うちの奥さんから、質問がありました。

「『痛い』って、肉体的に?それとも、精神的に『イタイ』?」

もちろん、ハードボイルドなので、肉体的に痛いのほうを意図したのですが、確かに主人公の沢崎は中年男の自意識過剰という意味で、精神的にもイタイかも。

でも、同じ、自意識過剰のイタさでも、中年男・沢崎のイタさは、ある種のエンターテインメントとして楽しめるが、「春季限定いちごタルト事件」の若者主人公のイタさは、ちょっとお気楽に笑ってられような気がする。この差って一体何なのでしょうね。

暇があれば、考えてみます。
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