北の暮らしに役立つ防災コラム&豆知識

防災委員会情報部会((社)日本技術技術士会北海道支部)

このブログが目指すもの

2006-06-01 09:52:11 | 情報発信WGから

 平成9年5月に防災研究会が「技術士からの提言~地震災害に備えて」を刊行した際、情報系部会では「災害情報の共有化に向けて」と題して、ハザードマップ等の防災情報の提供を通じて行政と住民が信頼関係を構築し、住民自らが行動できるようにすることの重要性や、災害時の情報共有体制や緊急対応体制の早期確立等を提言した。特に、当時普及し始めたインターネット(電子メールやホームページ等)の有効性に着目し、技術士自らが果たすべき役割も認識して、日常的な情報共有のため北海道技術士センターがメーリングリストを運用することを提案した。これは、のちのメーリングリストEPO(北海道技術士センター会員500名余りが参加して現在稼働中のメーリングリスト)の実現につながることとなった。

  その後、携帯電話の爆発的普及もあり、インターネットは社会の隅々まで浸透し、実用的な情報提供システムが数多く見られるようになった。例えば北海道では、平成11年7月に道内の道路情報総合案内サイト「北の道ナビ」が開設されたり、国土交通省が平成15年6月にホームページ「防災情報提供センター」を開設して省内の防災関連情報を一元的に提供し始めたりするようになった。

  一方、平成15年度は台風10号や十勝沖地震、道東豪雪等の大規模災害が北海道を襲い、機関の枠を超えた地域防災情報の共有や道民・利用者への分かりやすい情報提供が道内行政機関の共通の課題となった。こうした状況を受けて、北海道庁は平成16年6月に登録ユーザーの携帯電話にきめ細かな防災情報を電子メールで配信するサービスを開始した。また北海道開発局札幌管区気象台もインターネットできめ細かな防災情報等を迅速に提供するようになった。

  情報系部会ではこれらのシステムの担当者等からお話を聴いたり、住民への防災情報提供が果たす役割や将来に向けた可能性を議論したりしてきた。これらのシステムによる情報提供は、行政と住民の情報共有や信頼関係の醸成を促し、草の根レベルの防災意識高揚に高い効果を発揮するものと思われた。また近年、個人でも簡単にホームページの更新が行える“ブログ(blog)”という仕組みがインターネットで流行し始めるなど新しい動きも出てきた。情報系部会では、こうした仕組みの防災情報システムへの活用についても検討し、その潜在的な可能性の大きさを実感してきた。

  このような経緯を経て、このブログ“北の暮らしに役立つ防災コラム&豆知識”は平成18年6月にオープンすることとなった。防災と減災に関する情報活用の位置づけを考えると、行政が行うきめ細かな情報提供を前提として、メーリングリストEPOとブログ“北の暮らしに役立つ防災コラム&豆知識”が両輪となって技術士の防災と減災に向けた社会活動をサポートしていけたらと願う次第である。技術士の社会的立場をふまえ、住民と行政、専門家の間の適切なコミュニケーション環境の形成に一定の役割を果たし、地域防災力の向上に貢献していければ幸いである。

  情報系部会では、このブログの運営を通じて以下の事項の実現を図り、地域防災力の向上を目指していきたいと考えている。

 <今後の防災体制に重要となる事項>

 1)ネットワーク的・分散的な構造を導入すること
 2)様々な組織が入り柔な構造へと変化していくこと
 3)様々な情報源とグループによる情報伝達が実現すること
 4)能動的・相互的な情報収集と共有が図れること
 5)相互バックアップの情報経路が確保されること
 6)減災指向の考え方~被害発生もある程度想定すること 図-1 集中から分散、防災から減災に向けて

 図-1 集中から分散、防災から減災に向けて

 

(文責:加治屋安彦技術士【建設部門】)


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