14年前
---まだ生後半年にも満たぬ幼犬期は別としても、ゆきは
本当にモテた。成犬になりあの社交場での友達作り
仲間と戯れ、他の群れ達との合流。。。
あの頃はまだ殆どが大型犬だった。
フラット、ラブ、GR主流の中にゆきは埋もれて居た。
99%洋犬でしかも雑種は何年通っても
ゆき一頭だけだったかと思う。
ゆきが社交場へ入ると、フリーにされて居た彼等は
まるで何かの魔法に繋った様にゾロゾロと彼女の元へ来る。
移動すれば、皆付いて来た。
♂イヌの飼い主さんからは
ヒート、或いはヒート間近かと良く聞かれる程にモテた。
ゆきちゃん、羨ましいわね。
フェロモン出しまくってるのかしら、
等と冗談を言うママさん達も居た。
その頃から不思議だった。
ヒトの場合は外見の容姿がまずストライクゾーンに
入るか否か脳が真っ先に判断するのだろうが
。。。と同時か少し遅れ内面的部分が分析されそうだが
イヌの場合にはどの様に「好み」が決められるのか、と。
ゆきがモテたのは恐らく。。。多分だが匂いも去る事乍ら
本当の意味のヘテロシスで
強健且つ、繁殖能力にも優れて居る故だった
のではなかろうか。
雑種♀はゆきだけだった。しかもゆきは優しい。
限り無く優しく限り無くしつこい♂イヌから
アプローチをされてもけして怒らず、奇声を上げる事も無く
上手くかわして居た。
イヌが「あの子優しいから好き」と考えるとは
余り思えない。。。やはり野生の本能に因り先の、
この♀なら自分の子孫の、しかも強い子を沢山産んでくれそうだ
と感じたのか。それにしては種が異なる。
♂イヌさん等は皆、由緒正しき血統を持つ犬種名の
付いた子等。。。ゆきは生粋の?何処の馬の骨雑種。。。
詰まるところ、もしそういった事由に因り彼等がゆきから
離れなかったのであれば、イヌの本能の中には
「犬種名」「種」は組み込まれて居ないのか。
拘るのはニンゲンばかりで、当のイヌ達の脳は
件の情報には因われない、と言う事かも知れない。。。
それから何年もゆきはモテまくって居た。
その様なお陰も有り
;当時は恐らく怖い思いもした経験等有ったかも
判らないが;すっかり大型犬が好きになった。
その中でも一番の好色黒ラブさんピートには
沢山構われて居たが、今でも黒ラブは男女問わず
大好きな様だ。
年を経、丈夫なゆきは徐々に病気がちになって来る。
雑種は丈夫なはずなのにね、と良く言われるが
雑種であれ、年を重ねればそれ也に疾患にも罹る。
それでも和犬や和犬雑種の特に♀には
襲われ、忌み嫌われるも♂にはボチボチ好かれて居る。
今でも比較的好意的に寄って来る子は多い。
これまでは自分から匂い嗅ぎをし
好意を示す事は余り無かった。。。
現在もそうでは有るが;てっちゃんは別としても;
最近、♂イヌの匂いを随分嗅ぐ様になって来て居る。
特に争いを好まないゆきは勿論、
相手が怒らないと確信した上で行う様では
有るが。。。
それ等はこれまでに余り見られなかった行動だ。
前述の如く、ゆきは昔からモテた。ヒト的に言うところの引く手数多だった。
その過去の栄光が忘れられない、或いは染み付いて居り
覚えて居るのか、実は男好きなのかもよ?
昔、散々追いかけられた事が忘れられないのではないか、
と本気とも思えぬ事を言う知人も居るが
飼い主としては、ここで又嫌な予感を覚える。
---それは、本能から。。。もう然程長くはないかも
判らない自分の生を感じ取り、悟り
既に子宮卵巣が無く生殖能力等が皆無であっても
後世に自分のDNAを残そうとして居る故の行動の一端
ではなかろうか、と---
そうでない事を願うが、動物はニンゲンの何百倍もの
予知的能力含む、第六感が働く気がする。
地震予知等は一種の物理的変化をイヌが感じて居る
だけの様に思うが。。。
昔からそうであればまだしも
ゆきの最近の変化は単に「♂イヌ好き」と笑って済まされない
事かも判らない。。。
嫌だ。。。