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【読書】誤作動する脳

2020-05-06 21:11:42 | 読書記録
レビー小体型認知症の診断を受けている著者による、体験の開示。

個人的にここ10年、家族のアルツハイマー型認知症が進行していくのを見、
職場では老若・複数のメンタル面の不調があるメンバーを見る中で、
脳にかかわる不調は正常・異常の両極にあるのではないと思うようになった。
認知症や精神的な病理と病名を付されるような状態は
私自身の日常のコンディションの揺れと地続きなところにある。

たぶん、私もいつか、なる。
程度や状態はどうあれ。なるときがくる。そう確信している。

本書を読み、ストレスやその他環境によっても変化する症状について知り、
幻聴や幻視のリアルな表現を受け、以前の私の家族のことを思い出し、
分かってあげられてなかったなと思う。
著者が受けたうつ病の誤診の経過はとても苦い。

本書を読んでみて良かったと思うのは、嗅覚や時間間隔が失われる辛さや
不便の痛みを思うことで、いつかの時の心の備えのような感じになったこと。

それと最近視力が落ちて増えた失敗が、著者のエピソードと重なるのが幾つか。
視力の問題か認知力の問題か…。

少々衝撃だったのは、不眠の様子の一節。
健康でないと「睡眠で回復する」ことが難しいのか。
寝て回復できるなら、それは幸いなことなのでしょう。
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誤作動する脳
樋口 直美 著
医学書院 2020/03
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=108712

(2020.5.6)


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