ぐるぐる・ぶらぶら

歌舞伎と映画と美術と読書の感想

【映画】PERFECT DAYS

2024-01-02 11:08:30 | 映画
東京のなかにある景色、平山の暮らしの光景、の切り取り方・つくりかたとか、
役所広司さん演じる平山の表情のありようとか、ちいさなエピソードの積み方とか。

時を経るということと、みずみずしさと。

ことし年明け最初の日に目に心に入れるのに、最良のものでした。

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公式サイト:https://perfectdays-movie.jp/

(2024.1.1)


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【映画】ザ・クリエイター/創造者

2023-11-08 22:33:50 | 映画
AIを殲滅しようとするUS軍、AIと共存しているアジア圏という構造で。
子供のなりをしたそれは自己成長型で、影響範囲無限大に至る勢い。
絵はよくできてて、アナログ&レトロで鄙な光景と、SF的未来都市や兵器の造形。
SFのスタイルで描かれたおとぎばなし。

国家の自己中心性に立った暴力の行使への批判。
理不尽でためらいがなく無差別な暴力が、生活を破壊する様を何度も何度も見せつけている。

AI(機械+知能)を題材にしているけれど、人工のレベルが超ド級なのでほぼ神、
このあとこの子はどうなるのであろうと見終わって考えずにはいられない。

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公式サイト:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/thecreator

(2023.11.8)



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【映画】ジョン・ウィック コンセクエンス

2023-09-24 22:31:05 | 映画
キアヌ・リーブスによるジョン・ウィックのシリーズ第4作です。
導入部で前3作のあらすじをさっと流して、つまりは、戦闘が必要な状態に至っている
ところからスタートですから、もう最初っから撃って打って蹴って切って刺してぶん投げて、が、
ほんとうにみごとに途切れのない流れで繰り出されていきます。
前作の感想でも繰り返し書いてるのですが「すごすぎて笑う」。

インターナショナルに転戦する本作では、各国の景色の中でのバトルやカーチェイス、
ロケハンすげー!!(あるいはそっくりにしつらえたセットか?CGか?それもならそれですげー)と、
折々に差し挟まれる天井が高い建物がうみだす、神とか人智超えの意思の思わせぶりと、
主役級の俳優陣の、素人目にもものすごく高度高価で、せくすぃな身体を際立てるスーツとか
みどころが絶え間なし。
ラウンドアバウトのカーチェイス、サクレ・クールの階段落ちの繰り返しもすごかった。

暴力的な描写は本来得意ではないのだけれど、キルカウント最大だという
あれだけ大量にあるバイオレンスが、数個のシーンを除いて、痛みを連想しないで済むのが
自分でも観ていて不思議だった。
とにかく全部きれいにきまるので、舞や型を観ている感じになっているのかもしれない。
あるいは職人芸を堪能している感じとか。

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公式サイト:http://johnwick.jp/

んで、女性の扱いがおおむね旧来型である。徹底しているので何かの美意識であろうか。

(2023.9.24)



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【映画】リバー、流れないでよ

2023-07-02 11:07:20 | 映画
もとは舞台劇なの?と思うほど不条理がコンパクトにまとまっていて、
雪景色のいったりきたりと水流の画像に知覚を乱されつつ
ときどきくすくす笑ったりツッコミ入れたりしながらなりゆきをみまもる。

座席でじっとみているのに、身体疲労感を得てしまい(階段が…)、
人間の脳のミラーリング能力すごい、と妙な感慨も持ったのだった。

作家と猟友会?の体験がインパクトあるよな。
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公式サイト: https://www.europe-kikaku.com/river/

神社と旅館のしつらえがすてきで、舞台効果満点。
ほわほわした設定のものがたりの足元をしっかりさせている。

(2023.7.1)



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【映画】怪物

2023-06-04 21:11:28 | 映画
観客が暗に脳内に構成する”設定”は、
やわらかくけれどきっぱりと、反転させられる。2度。

印象的な出来事、景色、天候、衣服の色、ことば、小さな物たちは、
”あのとき”を特定する符牒として緻密に配置されている。

ああ、なるほど、と思いながらも、ちくちくと硝子の破片の触れたように胸が痛むのは、
登場する誰かに対する批判的な心情を持った罪悪感、ではなく、
透明感にあふれる”彼ら”の、青葉のような感性が直面しあるいは直面するであろう
理不尽の予感からだろうか。

解釈をどう述べようとしても、言葉にしたら陳腐になりそうで書けない。
うけとって、かかえて、苦みや痛みやねがいなど、小さな種々の情動が、
わらわらと手の内に在るのを、ジャッジせずにあるがまま持っていられるかを
試されている気がした。

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公式サイト:https://gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/


(2023.6.4)



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【映画】帰れない山

2023-05-05 20:45:44 | 映画
彼らの、この痛みを感じるほどに強いつながりは、何であろうか。

自分のしたいこと・居場所を自覚してひたすらそうあろうとする片割れに
おのれを照らして自らに問いをなげつづける片割れ。

「俺は 好きなことをする」(ブルーノ)

かれらの人生のできごとは、自然の光や冬の怖さ厳しさとも重なってみえ、
分かりやすく完結するドラマパッケージと一線を画す厚みがある。
観る者は、清涼も渋みもふくめてなんども噛み締めざるをえないだろう。

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公式サイト:http://www.cetera.co.jp/theeightmountains/

(2023.5.5)



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【映画】サイド バイ サイド 隣にいる人

2023-04-15 12:00:00 | 映画
テンポといい展開といい、安易な予想の線上にはない。

台詞の間合いが割と長いのだけれど、そういえば誠実に言葉を口にしようとしたら
こういう感じになるよな、と思う。

ものがたりに、激しい変動があるわけではないのだけれど、
よくよくみればあんがい、とくべつなことがおきているようだ。
ひととひとのかかわりからそれは生じていて、
やわらかく、優しく、そうして不可逆で少し切ない。

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公式サイト:https://happinet-phantom.com/sidebyside/

(2023.4.15)



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【映画】シン・仮面ライダー

2023-03-21 21:27:15 | 映画
感想まとめにくい作品なので、箇条書きにします。

・バイク走行、空中戦、真剣、戦闘みどころ多い。
・サイエンスっぽいリクツが、イマドキなサイバー要素入れて、よく練られてる。
 空中元素固定装置+ヨガ(の呼吸、プラーナ)、トランスヒューマニズム…
・(TV放送見てた世代として)TVプログラムにおけるフレーミングはそうかこういう感じだったとニヤつく。
  -どうやって侵入したかは端折っていいし「どうやって入った」とは問わない
  -屋外の広い場所に移動して戦闘
  -そこがどこかというリクツは不要
  -山を背景にした平地、コンビナート、操車場、、
・悪役のおまぬけ要素(キュートの素)にもニヤつく。
・文字通り破壊的な身体能力を表現するためとはいえチノリガー。
・キャスティングがリッチ。演技派ならぶ。排他性質キャラ並ぶが全体はウェット。
・森山未來さんの所作がうつくしい。

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公式サイト:https://shin-kamen-rider.jp/

(2023.3.21)


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【映画】Winny

2023-03-21 21:24:57 | 映画
リアルの成り行きをうっすら知っているから、観たら苦いだろうなと思ったけれど、
観ておかなければいけない気がした。

当事者の方と世代が近いし、IT業界にいるので、この事件は外形的には知っていた。
当時の私は、今よりも”人”を重く扱えていなかったし、つくったモノの機能に関する争いとして
見ていたと思う。人の創造性、ひいては人生が賭された場面であると気づけなかった。
見過ごしを直視する。
エンドロールでのご本人の映像と、作中の東出さんの見せる人物像の重なりがおおきいことも
影響している。ああ、こういう技術者のひと、いる。いるよ。純で、尊敬できて。悲しいね。

Winnyに関する裁判に、もう1つ別の告発、ものがたりは、2つが平行で語られる。
なぜこの語り口にしたのかな。批判でなく素朴に、意図に興味。

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公式サイト:http://winny-movie.com/

(2023.3.18)

#投稿さぼってたので1か月分連投いきます(2/11~3/21)



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【映画】美しい彼~special edit version~

2023-03-21 21:23:33 | 映画
これたしかTVコンテンツですよね?

とても繊細につくりあげられている。
景色も、人と人も、どこを切り取っても、きらきらときれい。

人物と人物の物理的な距離とか、髪ひとすじ、
折々のシーンの微細な表情、首の角度、まばたきひとつ、ゆびさきひとつ。

彼の志向はちょっとしたら粘着性に見えるほんの手前のところで
若くて繊細な感情として画面に現れる。

原作がそうなのか、脚本・演出・演技の功なのか。両方か。
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公式サイト:https://www.culture-pub.jp/news/239/

#投稿さぼってたので1か月分連投いきます(2/11~3/21)

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【映画】エゴイスト

2023-03-21 21:17:42 | 映画
見る前、恋愛の、話なのだろうと思っていた。
ちょっとドロドロしてたりするのかしら、とか。

恋愛の話だった。
だけどむしろ、"一緒に生きていく"ことの喜びと重さとか。
社会での立ち位置の異なるふたりが最大限近くに在りつづけようとする
姿が描かれていたようにも思うし、終盤には"縁"て何だろとも思った。

(後半~終盤は別の角度から心に来るところがあったけれど、
 下手に書くと、ネタバレになってしまうので、以下自粛)。

龍太(宮沢氷魚さん)の白い肌に朱が差すさまをともなう微笑みが、
うたがいようもない純性を表していて、
浩輔(鈴木亮平さん)の思いやりと恣意っぽさ、
企業社会の人らしい、無自覚に持っている行動形式の枷みたいなものを
行き来する様は、観終わって振り返れば、さすがの感がある。

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公式サイト:https://egoist-movie.com/

浩輔の部屋の絵がすてきだなと。高山夏希さんという画家さんの作品のようでした。

(2023.2.11)

#投稿さぼってたので1か月分連投いきます(2/11~3/21)

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【映画】仕掛人・藤枝梅安

2023-02-05 21:08:17 | 映画
皮膚が。面の皮が。それだけでここまで物語るのだ。
一種の驚きというか。崇高なものを感じさせる何かというか。

行燈の薄暗い室内にあって、映画館の大画面のアップショットがとらえる
男性俳優陣の貌は、皺、しみ、たるみ をあらわし陰影を備える。

高解像度化に伴って、つるつるとしみもなく毛穴もみえないキレイな面皮を
スタンダードとしつつある昨今のあれこれとは一線を画す彼らの相貌は、
たいへんに、とてつもなく、味わい深く、存外に醜さを感じることがなく、
ここまで徹底しているということはメイクなのか、とも思いつつ。
当然に俳優それぞれ異なる個性・唯一無二であること、
その人生の時間の降り積もった結果としての身体であることを示し、
梅安(豊川悦司さん)、彦次郎(片岡愛之助さん)、蔓役その他の関係人物の
背景の厚みに重ねられている。

そこにたぶんわたしは美を感応しているけれど、
もっと根源的なもので、「美しい」という言葉では上滑りしてしまう。

原作を読んだのはずいぶん前で、原作からどう物語を組んだのかは
確認していないけれど、ひとの厚みを味わう構成だと思う。
(おもんとの接点が最初意外で、あとまで見て腑に落ちた)。

俳優さん男女ともキャスティングすばらしく。
池上作品の特徴、悪か悪でないかが単純でない狭間の人物たち。
おみのの天海祐希さん、絶妙。

剣劇の殺陣は若い侍・石川(早乙女太一さん)で2回、
いずれも切れがたいへんにすばらしく、リアリティの高い虚構の粋、
こんなにいい殺陣を久しぶりにみた。演者も演出もみごと。

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公式サイト:https://baian-movie.com/

エンドロールの後に2につながる映像があるから、
さいごまで席を立たない方がよいですよ。

追記
屋外の風景、葉の落ちゆく銀杏、ふりしきる江戸時代の雪、
季節と日常のたべもの、登場人物たちの棲家のしつらえ、
細部にまでゆきわたる表現は大画面でそこここに存在感を示しており、
最終盤の石川の着物の衿の毛羽立ちに震えた。

(2023.2.5)


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【映画】THE FIRST SLAM DUNK

2023-01-03 23:00:40 | 映画
すごい。すごいすごいすごい。

山王戦をじっくりと。

井上雄彦さんの絵の力を再認識する。
漫画画面のあの雰囲気、迫力、重量と質量、美しさ、を滅することなくさらに
アニメーションでしかできない表現が重ねられた劇場の大画面に圧倒された。

「FIRST」は、当初のプロットがリョータを主軸にあてていたということなのだろうか。
どこか、プレスか何かにFIRSTの由来が語られているのかな。

水彩のような肌の着色、貌の影のつきかた、リアリティの濃い身体動作表現、
30年を経た今の技術で可能になった表現でもあるのだろう。
エンドロールのスタッフの人数構成もそういう印象。

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公式サイト:https://slamdunk-movie.jp/

連載オンタイムから30年経過して観る方も歳とって涙もろくなってきてるのか、
「ここで泣くのかお前」(対・自分)っていうのが何度かあった。

(2023.1.3)


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【映画】ルイス・ウェイン

2022-12-01 11:00:00 | 映画
「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」。

カンバーバッチが主演の時点で察するべきだったのかもしれないが、
あんがいほろ苦いやつだった。

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公式サイト:https://louis-wain.jp/

(2022.12.1)投稿忘れてた。過去日付で投稿します。


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【映画】グリーン・ナイト

2022-11-30 23:00:00 | 映画
「ダークファンタジー」よりも「寓話」の表現のほうがしっくりくる。

ロケハンとCGとセットがなめらかに融合して、
かつてのイングランドの陰影が特徴的で美しい景色を表現し、
衣装と道具には再現と創造のすばらしい統合がみられる。

予定調和でないなりゆきに、最初、少し戸惑ったのだけれど、
観終わったら、なぜかわからないけれど、とても豊かな感じ。
深くて厳しくて優しい"智慧"のにおいがする。
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公式サイト:https://www.transformer.co.jp/m/greenknight/

(2022.11.30) 投稿忘れてた。過去日付で投稿します。



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