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【展覧会】吉田博展

2021-03-07 00:48:55 | アート・文化
山岳の澄んだ霧まじりの空気。朝靄、昼の光、夕焼、月夜。
精緻なかたちと繊細な自然光を再現する色彩。

入って間もなく目にする「上高地の夏」「渓流」の水彩に目を奪われ、
その緻密さと色彩がそのまま版画に映されていく。

精緻なかたちは、版木の緻密な彫や刷りの技に由来すると知る。

"特大版"は見どころの一つだと思うのだけれど、
苦労したという桜。この繊細な枝に重なる桜花の位置が
少しでもずれたら全く違うものになるのだろう。
その後の展示で枝垂れる桜や柳の見え方も変わってくる。

USを始めとする世界各地の街や自然の光景。

夏目漱石に関連するエピソード、同時代の人なのだ。没後70年。
褪せた感じはまったくない。

#51 渓流 この辺りに至るともはや「ここには何か棲んでいる」感。
#53 河口湖 けぶる空気
#73 中里の雪 の雪の厚み。
#112 雨後の八ヶ岳 平面のようで微妙な色調が雲海そのもの
#160 嵐山 奥行
#181 陽明門 版画なのだ。

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特別展「没後70年 吉田博展」
東京都美術館
2021年1月26日~3月28日
https://www.tobikan.jp/exhibition/2020_yoshidahiroshi.html

(2021.3.6)


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