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【歌舞伎】歌舞伎座 三月大歌舞伎 2025年3月

2025-03-09 20:04:26 | 歌舞伎
三月大歌舞伎 
通し狂言 仮名手本忠臣蔵
歌舞伎座
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昼夜Bプロの通しで拝見しました。

ワタシ観劇史上最高に揺さぶられた通し上演かもしれない。
「口上人形」で期待を盛り上げ、微速の幕開けでじらされた後に顕れた"場"の空気、
舞台全体、ちょっとないくらい、他所事を考えることを許さない、引力がすごかった。
松の間から塩冶判官切腹に至る途切れなくシビシビとした緊張感。
高師直のしたたかないびり、塩冶判官の憤懣・無念、
遺骸を整える由良之助の指先の敬愛と哀切から城門での決意と、
場の様相が切り替わりながら間断なく道行までその感じは続き。

そうして夜の部はまた違った味わいの引力で、舞台から気も目もそらす隙がない。
昼の主要人物に比して、夜の勘平や平右衛門は
直情と未熟が波乱の要因になっているのだなと、今さらながらじっくり感じ取り。
勘平は不運なれど、案外、観る側は最終的に暗い心情におちないことを発見し驚いたり。
引き戻って四段目の由良之助は、あそこから、復讐(仇討ち)を目的に生きる心理の
昏さというものだなぁと思い返したり。
がっつり見た後に、討入りでちょっと肩の力抜こうと思ったけれど
立ち廻りにも引き込まれ、御馳走の馬上の菊五郎さんと花道の仁左衛門さんまで
やっぱりずっと舞台に引き込まれっぱなし。

すごく豊かだけれど長時間刮目状態に消耗もした1日でした。

Aプロも観たくなってしまった。

追記:引揚げの場、太鼓橋の向こうから向かって来る臨場感、
   徐々にあらわれる陣容に圧倒され、
   服部殿を迎える四十七士の配置が立体的で全員のお顔が見れてよい。

◆昼の部
大序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場
三段目 足利館門前進物の場
   松の間刃傷の場
四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場
   表門城明渡しの場
浄瑠璃 道行旅路の花聟

◆夜の部
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
   二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
七段目 祇園一力茶屋の場
十一段目 高家表門討入りの場
   奥庭泉水の場
   炭部屋本懐の場
引揚げの場

(2025.3.8)



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