風邪の方ですが、昨日病院に逝ってだいぶ体調は良くなりますた。
とはいえまだ咳や痰は出るんですけどね。でも鼻水は止まったし、頭の重さも大分和らぎますた。
しかしまだまだ悪いもんは悪いんですがねえ…病み上がりまであと一歩っつーか。
とりあえず今日も絶対安静かなあ…?
そんなんで暇つぶしに某おばさまから借りた『プロデューサーズ』のオリジナルの映画版を観てます。
『屋根の上のヴァイオリン弾き』のオリジナル・テヴィエにして『ローマで起こった奇妙な出来事』のオリジナル・スードラス
(映画でもこの役演ってた)でもある、BWきっての怪人俳優ゼロ・モステルがマックスを演じております。
ギョロ目と観てるこっちまで威圧してくれる大声のオーバーアクションの迫力はこの作品でも健在で、
作品のムードを牽引するまさしく"主役"の大仕事を縦横無尽に演じきっていて、ひたすら脱帽の限りなのですが、
この作品ではジーン・ ワイルダー扮するレオたん(キャラ的によりリアルなものの、今度は全然かわえくない。
ある意味褒め言葉やけど登場シーンはひたすらキモい)を初め、次から次へと現われる奇人変人方の突飛な演技のインパクトが、
それに輪をかけてディープで物凄く(カルメン姐さんのあのイカニモなヒゲと目つきがその中でも特にツボっした)、
やや一歩引いたような印象があるんですよね。どっちかっちゅーと。どう観ても主役である事には変わりないものの。
それらの奇人変人をまるで猛獣珍獣をあやすムツゴロウさんの如く、スリリングに手玉にとる様がメインなような。
ミュージカル版の『Betraved』のような単独で場をさらう見せ場のようなシーンが一つホスィかったと思うのは、
ミュージカルファン的な欲目なんでしょうか?小ネタだけでも充分面白いんですけど…。
あと何より驚いたのが、本的にはこの作品、ミュージカル版の筋立てと殆ど変わりないんですよねえ。
後半になって、『ヒトラーの春』の大ヒットに気付くタイミングがちと早かったり(ミュージカル版では事務所に戻り、
そこで漸く初日の大成功を知るのが、オリジナルでは幕間に近くのバーに集まった客の意外な後反応で、
既に感づいて恐る恐る様子を見に行くようになってる)、裁判のシーンの前に既にマックスとレオが和解していたり
(ミュージカル版では判決直前にお助けヒーローの如くリオから戻ってきて『Til Him』で和解となるわけやけど)、
そーゆー細かい違いは出てくるものの、あとはミュージカルナンバーにスムーズに移行する為のシーンの扱い方の違い位で
(フランツに脚本を依頼するシーンで彼の部屋に入るか入らないか等)、殆ど悪質なカットや場違いなエピの挿入が、
ミュージカル版には無かった事が良く判りました。やっぱり同じ人(勿論我らがメル・ブルックス御大!)が脚本なだけに、
自
分の本やから尊重して当たり前やろーがえと言われたらまあそれまでっちゃーそれまでなんですけんども。
だからこのオリジナル版もそのまま"ナンバーを殆ど削った形でのミュージカル版『プロデューサーズ』"と受けとる事も、
逆に考えたらできるわけで…それでもこれだけ楽しめる作品だって事は矢張り元の本の出来が卓越してたと言う事の、
証明になっているのではと思われますです。でも決してミュージカルナンバーが邪魔ってワケじゃない。
1時間半程のオリジナルにそのまんま45分程のミュージカルナンバーをはめ込んだという寸法になる訳なんですが、
映画版の印象と重ね合わせても決してそれでシナリオのテンポの良さが殺がれているわけでもないように思われましたし。
その中でもまあ流石にこれは今の時代じゃ受け入れられんだろーっちゅーもんはキレーサッパリなくなってはいましたね。
ウーラ嬢がボインをユサユサさしてゴーゴーを踊り狂ったりとか(久し振りにあんなベタなゴーゴー観たよあたしゃ…)、
あとはヒトラー役に選ばれた、パーペキフラワーチルドレンのLSD氏(オーディションの歌がまた容赦無いダメサイケ。
バンドのオネーチャン方の造形もガチハマリでサイコーw)などは存在自体無かった事にされてましたなあ…ミュージカル版では。
この辺りは時代層の問題なんでしょうね単純に。LSD氏なぞは結構お気に入りのキャラやったんで、
ミュージカル版にも登場したらおもろかったやろなとヲモたんですが(でもそうなるとロジャー姐さんの出る幕が…)。
『ヒトラーの春』も、ミュージカル版はオリジナル版のプロローグを引き伸ばした、全篇レビューのような形なんですよね
(少なくとも作中で観られる部分については)。そこだけ比べてみるとヒトラーが出るか出ないかの違いだけで、
ほぼオリジナル版はミュージカル版と同じ造りになっているのが興味深かったです。ただ大きな違いと感じたのは、
金をかけてド派手な衣裳と人海戦術でそれっぽく見せるミュージカル版に対し、オリジナルの方はとにかく、
歌やダンスのスピード感がかなりキてます。その分かなり衣裳とかはチープなんですけんどもね。残念ながら。
映画だけの感想でちょっとアレなんですが、どちらも良いけどこれについてはオリジナルの方が好きかなあ。
あんまり大掛かり過ぎると『ヒトラーの春』のB級感(これってあくまで駄作たる事を念頭に置いて作られた作品なんやし…)が、
損なわれるような気がしますしねえ…ちょっとカンチガイしてる意見かもですが…でも固まってる観客はどちらも同じとw
ところでこの『ヒトラーの春』のテーマとオーディションのシーンの『ドイツのバンドは最高さ』(落とされた歌手が歌ってるけど)が、
あとオーラス部分での『Prisoners Of Love』のテーマ(これのリハのシーンでオリジナルは終わりなんすよねえ…)が、
このオリジナル版でも使われておりますが…作曲、ちゃう人っすよね。でもミュージカル版のクレジットには御大の名前のし。
『ヒトラーの春』のテーマの方はどうやら、メル御大自身の作詞作曲らしんですが、後者2つはどうなんでしょ…。
あ、メル御大、ラスト近くで主席判事役で特出してます。昔っからあんな顔なのね…老けないっつーか昔から老けてたっつーか…。
全体的にそれでもミュージカル版より幾分か軽めの印象は受けましたが、笑いがシニカルで毒ありまくりな割には、
軽い作品として楽しめる質のええコメディーといったノリで御座います。その内きっと国内版DVD化も…ありやと思うけど…
ミュージカル版の映画のヒット状況が微妙なんでねえ…劇評も見事なまでに賛否両論で…。