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角栄著「日本列島改造論」を読み返した

2016-05-06 | 日記
ゴールデンウィークもあと少し。
Uターンラッシュはピークだ、という。

世間は大型連休。
こちらは死ぬまで続く超超大型連休。

田中角栄再評価の流れで、本棚から古本を引っ張り出す気になった。
「日本列島改造論」(日刊工業新聞社)。
初版が「昭和47年6月20日」になっているので、44年前だ。
定価500円。

「田中角栄 100の言葉」の書籍が大きさ、ページ数、装丁もほぼ同じ。
だが、定価は1000円。
2倍の値段だ。

さて読み返そうとした。
真っ先に驚いたのは「字の小ささ」だった。
老眼にはきつい。

書籍も、新聞も今では活字がどんどん大きくなっている。

角栄の名言にこんなのがある。
 「用件は便せん1枚に大きな字で書け。初めに結論を言え。理由は3つまでだ。この世に3つでまとめきれない大事はない」
角栄のニックネームは「わかったの角さん」。
合理性とスピードを重んじた。

上記の名言はまさにマスコミ文章の基本なのだ。

ニュースは次から次と入電してくる。
結論を先に書いておかないと、後ろのほうの文章を削りにくい。
新聞のスペースと締め切り時間は限られているのだ。

古巣の新聞社では入社当時、1行15字詰めだった。
今では11字ほどか。
字が大きくなるということは行間も開けなければ、読みづらい。

写真、見出しも年々、視覚に訴える(ビジュアルに)ために派手になる。
スポーツ紙はもちろんだが、一般紙も例外ではない。
高齢化社会の象徴ともいえる

単純計算で情報量は3割減。
新聞の情報量は毎日、文庫本一冊分といわれる。

だから、売っている側としては「1か月購読料4000円とか5000円」は安い、となる。

冒頭のテーマに戻る。
列島改造論を出したのは当時通産大臣だった角栄54歳。
自民党総裁選を控える、政策論として出版した。

▼新幹線の整備 全国を一日行動圏にする。合わせて高速道路を拡充。
▼全国的通信網 コンピュータによる情報処理。ソフトウエアの開発、普及。
▼大都市の改造 高層ビル建設への転換。
▼地方再生 工業団地を軸に全国に25万都市を建設。

東北、九州、北陸、北海道…列島はほぼ新幹線が縦断する時代になった。
地方創生とか、安倍政権の1億総活躍うんぬんとか、のキャッチフレーズは、角栄の著書をなぞっているに過ぎない。
角栄の発想と実行力は先見性に満ちあふれていた。

「日本中の家庭に団らんの笑い声があふれ、年寄りが安らぎの余生を送り、青年の目に希望の光輝く社会を作り上げたい」
角栄の、列島改造論のあとがき部分だ。

政治の世界で思うに任せなかった石原慎太郎。
著書「天才」(幻冬舎=1400円)で改めて評価した心境が、少しはわかる。
石原があとがきで記す。
「…もしもという言葉は禁句としても、無慈悲に奪われてしまった田中角栄という天才の人生は、この国に掛け替えのないものだったということを改めて知ることは、決して意味のないことではありはしない」



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