「動機」 は警察ものです。主人公は、警察官ですが刑事ではなく、事務方のエリート官僚という設定です。自分が提案した警察手帳の一括保管の試行中に、何と20冊の手帳が紛失してしまう、という事件が起きます。
「誰が」「何のために」・・・主人公は何とか手帳を見つけようと、もがき苦しみます。主人公の疑念や諦観、そして「家族」への切ない思い・・・色々な感情がもつれ合い、混沌とするうちに思いもかけない展開が・・・。
謎解きとしても、一流の短編ですが、やはり人間の心の悲しさや強さをしっかりしっとり描いているところに強く惹かれました。読み終わって、ホントもう少しで落涙するところでした。
「逆転の夏」は一転して、元殺人犯の出獄者が主人公です。立派な保護司の指導の下、葬儀社に勤め始めた主人公に、徐々に迫る恐怖の罠・・・。これも主人公の孤独と家族への思いが、だんだん主人公を追い詰めていく様をじっくり描いています。
複雑に絡まる人間関係と、謀略の筋書き・・・これらを手際よく説得力を持って描ききる作者の力量は並大抵のものではないと感じました。
残り2編も、女性事件記者と裁判官を主人公とした好編でした
是非皆さん読んでください
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