昨日(2013/8/6)の日経のコラム「春秋」に、次の文がありました。
TPP交渉の作戦を練るため、約100人の官僚たちが研修所で合宿をした。直立不動の交渉チームを前に、担当大臣の甘利明さんが「同じ釜の飯を食って団結しよう」と熱く檄を飛ばした。
下線を引いた「檄を飛ばす」という言葉は、「自分の主張や考えを,広く人々に知らせて同意を求める」という意味であり、「がんばれと励ます」ことではありません。「国語に関する世論調査」(文化庁)でも取り上げられたことのある、有名な誤用です。
ですから、新聞のコラムで、この言葉が、「がんばれと励ます」の意味で誤用されるのは意外でした。
「国語に関する世論調査」で取り上げられた誤用くらいは避けたいと、個人的には思うので、この機会に、それらの正しい言い方や正しい意味をメモしておくことにします(一部、誤用のままのものがありますが、それらには「×」をつけています)。縁あってこのブログをご覧になる皆さんも、参考になるようでしたら、この表をお使いください。
*「国語に関する世論調査」では、「誤用」という言い方はせず、「本来の言い方ではない」というような表現を使っています。
【23年度】
煮え湯を飲まされる
信頼していた者から裏切られる
うがった見方をする
物事の本質を捉えた見方をする
にやける 例文:彼はいつもにやけている。
なよなよとしている
失笑する 例文:彼の行為を見て失笑した。
こらえ切れず吹き出して笑う
割愛する 例文:説明は割愛した。
惜しいと思うものを手放す
「本心でない上辺だけの巧みな言葉」
舌先三寸
「何かを食べたくなる,転じて,あることをしてみようという気になること」
食指が動く
「ひっきりなしに続くさま」
のべつまくなし
「世間の人々の議論を引き起こすこと」
物議を醸す
「快く承諾すること」
二つ返事
【22年度】
情けは人のためならず
人に情けを掛けておくと,巡り巡って結局は自分のためになる
雨模様 例 文:外は雨模様だ。
雨が降りそうな様子
姑息 例文:姑息な手段
「一時しのぎ」という意味
すべからく 例文:学生はすべからく勉学に励むべきだ。
「当然,是非とも」という意味
号泣する 例文:悲しみの余り,号泣した。
「大声を上げて泣く」という意味
「することや話題がなくなって,時間をもて余すこと」
間が持てない
「古くからのやり方にのっとった様子で」
古式ゆかしく
「僅かの時間も無駄にしない様子」
寸暇を惜しんで
「大きな声を出すこと」
声を荒(あら)らげる
「前に負けた相手に勝つこと」
雪辱を果たす
【20年度】
「チームや部署に指示を与え,指揮すること」
采配を振る
「目上の人の気に入られること」
お眼鏡にかなう
「はっきりとしていて疑う余地のない様子」
火を見るより明らかだ
「是が非でも。どんなことがあっても」
石にかじり付いてでも
「よく分かるように丁寧に説明すること」
嚙かんで含めるように
手をこまねく (例文:手をこまねいて待っていた。)
何もせずに傍観している
時を分かたず (例文:事件の後には,時を分かたず,厳重な警備が行われた。)
いつも
破天荒 (例文:彼の人生は破天荒だった。)
だれも成し得なかったことをすること
御の字 (例文:70点取れれば御の字だ。)
大いに有り難い
敷居が高い (例文:あそこは敷居が高い。)
相手に不義理などをしてしまい,行きにくい
【19年度】
「全力で物事に取り組むこと」
心血を注ぐ
「論理を組み立てて議論を展開すること」
論陣を張る
「何かがきっかけになって,急に物事の本質が分かるようになること」
目から鱗(うろこ)が落ちる
「卑劣なやり方で,失敗させられること」
足をすくわれる
「胸のつかえがなくなり,気が晴れること」
溜飲(りゅういん)を下げる
さわり 例文:話のさわりだけ聞かせる。
話などの要点のこと
煮詰まる 例文:七日間に及ぶ議論で,計画が煮詰まった。
(議論や意見が十分に出尽くして)結論の出る状態になること
憮然 例文:憮然として立ち去った。
失望してぼんやりとしている様子
檄を飛ばす
自分の主張や考えを,広く人々に知らせて同意を求めること
琴線に触れる
感動や共鳴を与えること
【18年度】
「混乱したさま」
上を下への大騒ぎ
「前言に反したことを,すぐに言ったり,行ったりするさま」
舌の根の乾かぬうちに
「そんなに思いどおりになるものではないこと」
そうは問屋が卸さない
「差し出て振る舞うものは他から制裁されること」
出る杭(くい)は打たれる
「夢中になって見境がなくなること」
熱にうかされる
役不足 例文:彼には役不足の仕事だ。
本人の力量に対して役目が軽すぎること
流れに棹さす 例文:その発言は流れに棹さすものだ。
傾向に乗って,勢いを増す行為をすること
気が置けない 例文:その人は気が置けない人ですね。
相手に気配りや遠慮をしなくてよいこと
ぞっとしない 例文:今の映画は,余りぞっとしないものだった。
面白くない
やおら 例文:彼はやおら立ち上がった。
ゆっくりと
【17年度】
周囲のみんなに,明るくにこやかな態度を取ること
あいきょうを振りまく
激しく怒ること
怒り心頭に発する
我慢できない思い
腹に据えかねる
はっきりと言わないあいまいな言い方
言葉を濁す
× うそをついてあとで後悔した
× 早起きして行ったのに,順番を一番最後にされた
× 今年の元旦の夜は,みんなで初もうでに行こうよ
× その方法は,従来から行われていたやり方だ
× 美術館建設の候補地として,この村に白羽の矢が当たった
【16年度】
○ 会社が学生を青田買いする
○ 前回失敗したので今度は汚名返上しようと誓った
○ 知事は議会解散という伝家の宝刀を抜いた
他山の石
他人の誤った言行も自分の行いの参考となる
枯れ木も山のにぎわい
つまらないものでも無いよりはまし
世間ずれ
世間を渡ってきてずる賢くなっている
【15年度】
檄を飛ばす
自分の主張や考えを,広く人々に知らせて同意を求めること
姑息 例文:姑息な手段
「一時しのぎ」という意味
憮然 例文:憮然として立ち去った
失望してぼんやりとしている様子
つっけんどんで相手を顧みる態度が見られないこと
取り付く島がない
実力があって堂々としていること
押しも押されもせぬ
物事の肝心な点を確実にとらえること
的を射る
【14年度】
奇特 例文:彼は奇特な人だ。
優れて他と違って感心なこと
役不足 例文:彼には役不足の仕事だ。
本人の力量に対して役目が軽すぎること
確信犯 例文:そんなことをするなんて確信犯だ。
政治的・宗教的等の信念に基づいて正しいと信じてなされる行為・犯罪又はその行為を行う人
流れに棹さす 例文:その発言は流れに棹さすものだ。
傾向に乗って,ある事柄の勢いを増すような行為をすること
気が置けない 例文:その人は気が置けない人ですね。
相手に対して気配りや遠慮をしなくてよいこと
【12年度】
情けは人のためならず
人に情けをかけておくと,巡り巡って結局は自分のためになる
一姫二太郎
一人目の子供は女,二人目の子供は男であるのが理想的だ
かわいい子には旅をさせよ
子供は手元で甘やかさず,世間に出して苦労をさせた方がよい
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