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一意専心の資格マニアの記録

いくつか資格を取得するうち、楽しさを覚えるようになりました。主にビジネス系です。

「又は」と「及び」の混在

2015-12-18 00:00:00 | 日本語・漢字

 文章の書き方を説明している記事を読んでいたところ、分かりにくい文の例として、「または」と「および」が混在している、次の例が挙げられていました(富士通ラーニングメディア連載コラム「わかりやすく書く」 ~語句の併記~)。 《リンク》 

 

{(引用開始)
★アンケート★

社員旅行で行きたい場所を選んでください。 

候補地:
ニャンコ島または青空牧場およびミルク工場
(引用終了)}

 

 さて、候補地の「ニャンコ島または青空牧場およびミルク工場」という書き方が分かりにくい理由は、それが

 ・ (ニャンコ島または青空牧場)およびミルク工場

 ・ ニャンコ島または(青空牧場およびミルク工場)

の2通りの意味にとれるためですね。

 前者であれば、「ニャンコ島と青空牧場の一方」と「ミルク工場」の2か所に行くことになります。

 後者であれば、「ニャンコ島」の1か所、あるいは「青空牧場とミルク工場」の2か所に行くことになります。

 

 このような曖昧な文を書かないようにしなければならないのは当然のことです。

 しかし、もし法律を読んでいて、「ニャンコ島又は青空牧場及びミルク工場」と書かれている条文に出くわした場合は、どのように解読すべきでしょうか。

 はっきりした決まりをWebで探し出すことはできませんでしたが、実際の条文を見てみると、前者、つまり

「ニャンコ島と青空牧場の一方」と「ミルク工場」の2か所

と理解しなければならないようでした。

 

 その例として、まず会社法の条文が見つかりました。

○会社法
(定款の記載又は記録事項)
第二十七条  株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
 五  発起人の氏名又は名称及び住所

 この例では、「氏名又は名称」が小さなくくりで、それと「住所」が並列されていることが明らかです。

 

会社法でもう一つ例がありました。

○会社法
(株式の内容についての特別の定め)
第百七条
2  株式会社は、全部の株式の内容として次の各号に掲げる事項を定めるときは、当該各号に定める事項を定款で定めなければならない。
二  当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項
ハ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容及び又はその算定方法

 この第107条の場合も、「内容」と「数又はその算定方法」を並列させていることが分かると思います。

 

 この方法で、より複雑な、特許法第195条の4もうまく解読できます。試してみましょう。

○特許法
(行政不服審査法による不服申立ての制限)
第百九十五条の四 査定、取消決定又は審決及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分については行政不服審査法による不服申立てをすることができない。

「査定、取消決定又は審決及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分」の部分を解読しましょう。

 まず、各パーツを、次のように、A、B、C・・・の記号に置き換えます。

査定、取消決定 ⇒ A
又は
審決 ⇒ B
及び
特許異議申立書、 ⇒ C
審判 ⇒ D

若しくは
再審 ⇒ E
の請求書

又は
第百二十条の五第二項 ⇒ F
若しくは
第百三十四条の二第一項 ⇒ G
の訂正の請求書
の却下の決定
並びに
この法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分 ⇒ H

 

記号を使うと、次のように短く書くことができます。

A又はB及びC、D若しくはEの請求書又はG若しくはHの訂正の請求書の却下の決定並びにI

 文の意味を考えながら、各パーツのまとまりごとにカッコでくくってみます。※「申立書及び各種請求書の却下の決定」という要素を取り出すことが理解のカギでした。

(A又はB)及び(C、((D若しくはE)の請求書)又は((F若しくはG)の訂正の請求書)の却下の決定)並びにH

ここで、更に、

P=(A又はB)
Q=(C、((D若しくはE)の請求書)又は((F若しくはG)の訂正の請求書)の却下の決定)
R=I

と置き換えると、
 
(P及びQ)並びにR
 
という骨組みが見えます。


 結局、不服申し立てをすることができない処分等を列挙すると、次のとおりとなります。

・査定

・取消決定

・審決

・特許異議申立書の却下の決定

・審判の請求書の却下の決定

・再審の請求書の却下の決定

・第百二十条の五第二項の訂正の請求書の却下の決定

・第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定

・この法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分



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