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一意専心の資格マニアの記録

いくつか資格を取得するうち、楽しさを覚えるようになりました。主にビジネス系です。

「礼を逸した行為」(J-castニュース)

2014-01-30 04:00:00 | 日本語・漢字

 しかし、全経連が運営するビジネスグループの名簿の中に下村文科相の名前が入っており、その名簿に載っている全員に招待状が送られていたことが確認できたため、出席は礼を逸した行為ではなかったことが判明した。 《リンク》
(J-castニュース 「韓国政府がまたまた難癖 安倍首相の朴大統領演説傍聴に不快感」 2014/1/24)

 「礼を逸した行為」ではなく「礼を失した行為」でしょう。

 「礼を逸(する)」を日本語コーパス「少納言」で検索すると、次の2件の使用例が見つかりました。なお、正しい(と思われる)方の「礼を失(する)」は27件でした。

カタセ・シンタロウ。私は空でつぶやいた。 雇い主になる人間の名前を失念して礼を逸することのないように、と必死の思いで頭にたたきこんだ自分が、今となっては滑稽ですらある。
(小池 真理子(著) 「恋」 早川書房 1995年)

時代がもう一つの世紀末へと突入する以前に―幸いにも、とここで言うことは礼を逸しているだろうか―逝去した吉田健一のかなり後まで生き延びなければならない運命を背負っている世代にとって、あのかつての黄昏の光を同時代の幸福として生きるという虚構は、たやすくは共有しがたいものだと告白しなければなるまい。
(松浦 寿輝(著) 「ヨオロツパの世紀末」 筑摩書房 1987年)


「WSにすら出られない惨状」(日経・春秋)

2014-01-29 04:00:00 | 日本語・漢字

1964年、ヤンキースは転落への曲がり角にあった。「常勝」の誇りは驕りにかわり、他の球団に比べて黒人選手を使うのにも消極的だったチームはこの年、2年連続でワールドシリーズ(WS)に敗れる。このあと、WSにすら出られない惨状が11年続くのである。
(2014/1/24 日経・春秋)

すら(デジタル大辞泉)
1 極端な事を例としてあげ、他を類推させる意を表す。さえ。でも。…でさえ。「子供で―計算できる」「手紙―満足に書けない」

 「WSにすら出られない」と書いてしまうと、「WS以外に類推される、出ることがより困難な何か」があることになります。つい上のように書いてしまいそうになることもあるのですが、「WSに出ることすらできない」と書くのが正確でしょう。


「感動を与えたい」は誤りか?

2014-01-28 04:00:00 | 日本語・漢字

 書店で『知らずに使っている実は非常識な日本語』(梅津正樹(著))という本を見かけました。内容を見てみると、最初の項目で「感動を与えたい」という言い方が「×」(誤り)とされていました。理由は、「与えるは目下に対する行為について使い言葉であること」と「感動は物ではないので与えることはできないこと」でした。

 しかし、「与える」には「相手に、ある気持ち・感じなどをもたせる」(デジタル大辞泉)の意味もあります。「感銘を与える」という例文もついています。必ずしも誤りとは言えません。梅津氏の判断こそ誤りです。

 小学館の「日本語マナーの歳時記」というコラムでも、この「感動を与える」が取り上げられています(第32回)。そのコラムは、「間違いとまでは言えない言葉であっても『言葉が与える印象』にも注意したいものですね。」と結ばれていました。

 つまり、間違いではなくても、間違いだと考える人や印象が悪いと感じる人がある程度いるような言葉は、使わない方が賢明だという判断ですね。このような考え方であれば、受け入れることが可能です。

 「日本語マナーの歳時記」では、次のような言いかえを提示しています。

「(いっしょに・同じように)夢を感じていただくことができたなら、いちばんの喜び」
「元気な気持ちになったと言っていただけるようなものになればうれしい」

 どちらもやや長いので、「感動していただければ望外の喜びです」としてみてはいかがでしょうか。

amazon・『知らずに使っている実は非常識な日本語』へのリンク
小学館・日本語マナーの歳時記 第32回「感動を与える」へのリンク》


「艶やかな話」(東洋経済オンライン)

2014-01-27 04:00:00 | 日本語・漢字

「あるネット」とは俳句ファンが世界中から集まる交流サイト。そこでマーガレットやキャサリンと知り合って、彼女たちが来日すると俳人ゆかりの場所に案内したりして、国際交流に励むという具合です。ただし、それ以上の艶やかな話はないようですが(苦笑)。 《リンク》
(東洋経済オンライン 「オヤジよ。モテたければネットを使え なぜネットは、最強のモテツールなのか?」 2014/1/24)

つや‐やか 【艶やか】(デジタル大辞泉)
[形動][文][ナリ]光沢があって美しいさま。「―な肌」

 上の文で「艶やかな話」と書かれていますが、辞書の意味を当てはめて「光沢があって美しい話」と考えても、何のことかわかりません。「艶やかな話」ではなく、「艶っぽい話」のことと思われます。

つやっ‐ぽ・い 【艶っぽい】(デジタル大辞泉)
[形]色気がある。なまめかしい。「―・いしぐさ」

 

 上記記事の全文を読んで、最も印象に残った部分を引用しておきます。的を射た分析だと思います。

 このように、SNSは「共感」という内面的な要素に焦点を当て、自然な形で関係を昇華させる出会いの場です。その真逆が婚活と言えるでしょう。年収・年齢・学歴など「条件」という外面的な要素に焦点をあて、シビアに選別し合う出会いの場。しかも、お見合いパーティの「回転寿し」に代表されるように、システムがあまりにも不自然……。 《リンク》


ピストン輸送

2014-01-26 04:00:00 | 日本語・漢字

第一に紹介する以下のエピソードは、広島、長崎に原子爆弾が投下されたところへ、「前門の虎、後門の狼」さながら、昼夜兼行の列車輸送で(当時、シベリア鉄道は単線レールだったので、ベルリンに突入したソ連赤軍は、ウクライナまで取って返して、キエフ始発の貨車を極東の終着駅で全部焼き捨てるというピストン輸送をした)シベリアに集結されていたソ連極東軍の大兵力が、中国の東北地方(満州)と北朝鮮の国境を突破、南サハリンにまで侵入してきたとき、皇居の地下壕内で緊急招集された御前会議の模様である。
(大森 実(著) 「日本はなぜ戦争に二度負けたかー国民不在の政治」 中央公論新社 2001年)

 上の文章は、2014/1/24に載せたものの一つです。「前門の虎、後門の狼」という言葉の使い方を誤っている例として載せたのですが、よく読んでみると、「ピストン輸送」という言葉も誤って使われています。

 ピストン輸送とは、その名のとおり、往復しながら輸送することです。

ピストン‐ゆそう 【ピストン輸送】 (デジタル大辞泉)
車両・船舶などを休みなく往復させて、物や人を次から次へと送ること。

 しかし、上の文章によると、貨車を終着駅で全部焼き捨てていたというのですから、往復してはいません。このような状況を「ピストン輸送」ということはできません。


香辛料

2014-01-25 04:00:00 | 日本語・漢字

料理が趣味という石破氏は白いコックコートに身を包み、ナツメグやシナモンなどの香辛料を混ぜ込む。 《リンク》
(2014/1/16 日本経済新聞 朝刊 「記者手帳」-「石破カレー 今年は辛め」)
※ 「石破氏」とは「自民党の石破茂幹事長」のこと。

 シナモンが香辛料だということを寡聞にして存じませんでした。

 調べてみると、香辛料は「飲食物に、かおりまたは辛味を添えて風味をます調味料」のことでした(日本国語大辞典第二版)。同辞書では、香辛料のうち、香りを添えるものが「芳香性のもの」、辛みを添えるものが「辛辣性のもの」と表現されています。今まで香辛料というと、「辛辣性のもの」だけを思い浮かべていました。

辛辣性のもの
山椒(さんしょう)、芥子(からし)、唐辛子(とうがらし)、胡椒(こしょう)、生薑(しょうが)、山葵(わさび)、大蒜(にんにく)、肉桂(にっけい)など

芳香性のもの
丁字(ちょうじ)、薄荷(はっか)、紫蘇(しそ)、茴香(ういきょう)、月桂葉(げっけいよう)、バニラ、ナツメグなど


前門の虎、後門の狼。(ダイヤモンドオンライン)

2014-01-24 04:00:00 | 日本語・漢字

 2014年は消費税率を上げて、わが国が財政不安を乗り切っていけるかどうかを試す年になる。景気が腰折れせずに成長持続で行ければ、2015年10月の次の消費税の増税を受け入れることが容易になるだろう。
 しかし、問題は「案ずるより産むが易し」だった場合の方だ。税収が増えれば、必ず財政赤字削減よりも、歳出拡大をしたくなる。口実をつけて財政拡張を推進する動きも高まるだろう。
 一方、次の消費税は15%、20%といった議論も出てくるだろう。軽減税率が敷かれて、税率を上げやすくなることが怖い。消費税率の引き上げは、2014年に「前門の虎、後門の狼」と戦うことになる。虎は歳出拡大圧力、狼はさらなる増税の思惑だ。 《リンク》
(ダイヤモンドオンライン 「2014年以降、歳出拡大圧力と増税の思惑が? 消費税率引き上げに見る「前門の虎、後門の狼」――熊野英生・第一生命経済研究所経済調査部 首席エコノミスト 」2014/1/21)

 「前門の虎、後門の狼」とは、「一つの災いを逃れても別の災いにあうたとえ」(デジタル大辞泉)です。つまり、「一つの災いを切り抜けたと思ったら、もう一つの災いが待ち受けていた」という状況です。しかし、上の文章では、「二つの(手ごわい)敵と(同時に)戦う状況」という意味で、誤って使われているようです。

 そこで、この言葉には誤った使用例が多いのだろうかと思い、日本語コーパス「少納言」で「前門の虎」を検索してみました。すると、6件の使用例が見つかりました。それらを読んでみますと、どうも6件とも上の文章と同じような意味で、誤って使っているようです。各使用例は次のとおりです。

ジレンマとは進退がきわまる事。いたばさみ。窮地(に陥ること)をいいます。人間にはいろいろなジレンマがあります。前門の虎、後門の狼、進退これきわまったというように、その他たくさんあります。
(Yahoo!知恵袋 2005年)

農水省は、外で「福岡・佐賀県と長崎県」、内で「干拓と水産」という二重の「前門の虎、後門の狼」状態となってしまった。
(竹村 公太郎(著) 「日本文明の謎を解くー21世紀を考えるヒント」 清流出版 2003年)

一時期、この諫早干拓はややっこしい状況になった。事業を行う農水省は「前門の虎、後門の狼」状態であった。前進しようと思えば、福岡・佐賀両県のノリ業者が立ち塞がり、後退しようとすれば長崎県が一丸となって許さない。
(同上)

第一に紹介する以下のエピソードは、広島、長崎に原子爆弾が投下されたところへ、「前門の虎、後門の狼」さながら、昼夜兼行の列車輸送で(当時、シベリア鉄道は単線レールだったので、ベルリンに突入したソ連赤軍は、ウクライナまで取って返して、キエフ始発の貨車を極東の終着駅で全部焼き捨てるというピストン輸送をした)シベリアに集結されていたソ連極東軍の大兵力が、中国の東北地方(満州)と北朝鮮の国境を突破、南サハリンにまで侵入してきたとき、皇居の地下壕内で緊急招集された御前会議の模様である。
(大森 実(著) 「日本はなぜ戦争に二度負けたかー国民不在の政治」 中央公論新社 2001年)

武吉が後ろを振り返ると、味方の赤旗が巨大な炬火となって三人の背を押してくる。 「前門の虎、後門の狼ならぬ、前は逆巻く怒濤、後ろは生きとし生けるものを焼き尽くす劫火。
(芝 豪(著) 「太公望-殷王朝を倒した周の名軍師」 PHP研究所 2000年)

関東よりは内府、背後の奥州よりは伊達。前後に虎狼を控えた新任の地ゆえ、しっかりと固めてあらねば、万一のおり豊家の為めに働き難い。前門の虎も曲者、後門の狼も油断はならぬ。
(山岡 荘八(著) 「伊達政宗」 毎日新聞社 1997年)


「各○○ごとに」は重複表現でした。

2014-01-23 04:00:00 | 日本語・漢字

 Microsoft Wordで文書を作成していると、「各○○ごとに」という部分に緑色の下線がつきました。つまり、この表現は間違っているということです。そこで早速、「各〜ごとに」をWebで検索してみました。すると、これは重複表現であり、誤りであるとの記述がいくつか見つかりました。

 そのうちの一つは、富士通ラーニングメディアという会社の「わかりやすく書く」という連載コラムのでした(第1回「〜重複した表現をなくす〜」)。なぜ富士通(の子会社)が日本語関係のコラムを載せるのかというと、製品のマニュアルをわかりやすく書けるようにという趣旨らしいです。

 その記事には、「各○○ごとに」のほか、「必ず○○する必要がある」、「まずはじめに」、「あらかじめ予定していた」、「だけに限る」が重複表現とされていました。

 大変わかりやすい文章で書かれているのも、この連載の特徴です。

 この連載を読んで、富士通のノウハウを少しでも身に着けてみたいものです。

※ 「身に着ける」と「身に付ける」のどちらが正しいのか辞書で確認したところ、大辞林第三版では前者、日本国語大辞典第二版とデジタル大辞泉では後者となっていました。


「ごぼう抜き」、「むかつく」

2014-01-22 04:00:00 | 日本語・漢字

ゴボウ(牛蒡)抜き
 × 次から次へと先行者を追い抜く
 〇 一気に引き抜く

むかつく
 × 腹が立つ/癪に障る
 〇 胃に違和感や不快感を覚える
(翔ソフトウェアー「言葉の誤用」 2007/4/6)

 言葉の誤用について多くの事例を集めてある上記Webページを見つけました。ざっと見たところ、上記2項目の正誤は誤っていました。「ごぼう抜き」には「何人かの者を一気に追い抜くこと」の意味もあり、「むかつく」には「腹が立つ」の意味もあります。

 つまり、上記2項目の正誤は次のようになります。

ゴボウ(牛蒡)抜き
 〇 次から次へと先行者を追い抜く
 〇 一気に引き抜く

むかつく
 〇 腹が立つ/癪に障る
 〇 胃に違和感や不快感を覚える


諸刃の刃(アントニオ猪木vs.藤原喜明)

2014-01-21 04:00:00 | 日本語・漢字

[古館伊知郎] いつ何時、藤原が大技を仕掛けてくるかわかりません。攻めてくれば相手に切りかえされる、そのチャンスを与えてしまうという、おそるべき諸刃の刃(やいば)であります。 《リンク》
(YouTube 「【前田怒りのハイキック!】アントニオ猪木vs.藤原喜明 1986 Japan」 11:22〜11:31)

 上記の古館さんの実況の中で、「諸刃のやいば」という言葉が出てきますが、「諸刃の剣(つるぎ)」というべきではないかと思い、調べてみました。

 信頼できる解説をWebで探してみたところ、「飯間浩明のことばのページ」というサイトが見つかりました。そこには「諸刃のやいば」という記事があり、この言葉が取り上げられてました。読んでみますと、「諸刃のやいば」という言い方について、

ちょっと意味が通りにくい言葉です

としながらも、

『広辞苑』(第3版・第4版)を引くと、「諸刃の剣」の言い替えとして「「諸刃の刃(やいば)」とも」と出ています

と書かれていました。「諸刃の刃」という言い方もあるんですね(広辞苑が手元にないので、直接確認してはいません)。

 

   ***2014/2/1追加(ここから)***
『広辞苑』(第5版)に、「「諸刃の刃(やいば)」とも」と書かれていることを確認しました。
   ***2014/2/1追加(ここまで)***


「なるほど」は目上に対して使えないのか?

2014-01-20 04:00:00 | 日本語・漢字

 また、相づちを打つ際、「なるほど」という言葉を使う人は多いが、じつは「立場が上の人には用いない」もの。「目下が目上を評価」する言葉のため、失礼にあたるのだ。かといって「なるほどですね」と言えば、これまた慇懃無礼な言い方に。こうした場合は、「ごもっともです」と返事をするか、無言で頷けばいい。重要なのは「相手の発言を受け止め、しっかり間をとり熟慮」し、相手を尊重していることを伝えることだ。 《リンク》
(ダヴィンチ電子ナビ 「敬語のつもりが失礼に! 『よくある話し方』の落とし穴」 2013/5/29)

 上記記事の他にも、Yahoo!知恵袋では、「『なるほど』は目上に対して使えないのか」との質問が繰り返され、その多くに対して「使えない」との回答が寄せられています。

 私はこの話を初めて聞きましたし、目上に対して「なるほど」を使ったことがあります。気になるので辞書で確認してみることにしました。

 その結果、目上に対して「なるほど」を使っていると思われる例文が、下記のとおり2つの辞書で見つかりました。どちらの例文でも、相手に敬語を使っており、下位者から上位者への発言と考えられます。本当に目上に対して使えないのだろうかと疑問に思います。

なる‐ほど 【成る程】(デジタル大辞泉)
二 [感]相手の言葉に対して、その通りであると同意する気持ちを表す。「―。おっしゃる通りですね

なる‐ほど 【成程】 (日本国語大辞典第二版)
相手のことばに対して、その通りであると同意する気持を表わす。
*咄本・軽口御前男〔1703〕二・一五「『慥成(たしかなる)証拠があるか』『成(ナル)ほど、年よりたる母が証拠で御座ります』」

 どちらの辞書にも、「なるほど」は「同意する気持ちを表す」とされています。ところが、ダヴィンチ電子ナビの上記記事やYahoo!知恵袋の回答では、「『なるほど』は、相手を評価する言葉だから目上には使えない」との根拠が書かれています。「同意」と「評価」を一緒にはできませんね。「評価」の意味をそこまで広げて目上に対して使えないとするならば、上記記事で「なるほど」の代替案とされている「無言で頷」くことや「ごもっともです」と言うことも、「評価」が含まれている点では変わりないので、目上に対して使えないことになってしまいます。


ありていに言えば・・・

2014-01-18 04:00:00 | 日本語・漢字

 「ありていに言えば」という言葉を、知人が間違って使っていたことがきっかけで、Webで「ありてい」の使われ方を調べてみました。そうしていると、「すべからく」を「すべて」の意味で使用することが許容されるかどうかという点について議論されているブログが見つかりました《リンク》。そのブログを読んでみたところ、ブロガーとそれに対してコメント欄で反論している人の両方が、「ありてい」という言葉の意味を、誤解して使っていました。2人とも相当インテリジェントな方とお見受けしたのですが、意外な誤りが含まれているものだと思いました。

 まず、そのブログの本文およびコメントから「ありてい」を含む分を抜粋します。

 3.およそ現代日本語で「すべからく」といった古い漢文調の表現を用いるからには、用いる人は相当に改まった―ありていに言えば気取った―心理状態にあるものと思われる。 
※ ブログ本文から

 しかし、じゅにさんは、後で述べるように、極限にありていに言えば「インテリ気取って、すべからくと書いたんだろうけど、ソレ意味違いますからwww」というつもりだったんだなとこのエントリーを読み取ったのですが、いかがでしょう。
※ コメントから

 3についてですが、冒頭で触れたように、それをもっとありていに言うと、「なんだコイツ、イタイ奴だなw」ということでしょうかねw
※ コメントから

 「ありていに」の意味は、「ありのままに」ということです。

 しかし、上の3つの例はいずれも、「口語的に」とか「俗な言い方で」という意味で「ありてい」を使っているように思われます。

 青空文庫では次の使用例も見つかりました。 

『彼奴(きゃつ)は遠からず死ぬわい』など人の身の上に不吉きわまる予言を試みて平気でいる、それがまた奇妙にあたる。むずかしく言えば一種霊活な批評眼を備えていた人、ありていに言えば天稟(てんりん)の直覚力が鋭利である上に、郷党が不思議がればいよいよ自分もよけいに人の気質、人の運命などに注意して見るようになり、それがおもしろくなり、自慢になり、ついに熟練になったのである。彼は決して卜者(うらない)ではなかった。
国木田独歩 河霧 - 青空文庫
 
 ここでは、「むずかしく言えば・・・、ありていに言えば・・・」と対比して書かれていることから、「わかりやすく言えば」の意味で「ありていに言えば」と書かれていることが分かります。本稿のきっかけとなった知人の発言でも、このような使い方がなされていました。
 
 本来は次のように使われる言葉です。
 
林「うむ、少しは疵も付いたろう、自業自得(じごうじとく)だ、誰を怨(うら)むところがあるか、神妙にお縄を頂戴しろえ、これ友之助、大切(たいせつ)な御用だぞ、上(かみ)へお手数(てすう)の掛らねえように有体(ありてい)に申上げろよ」

 


「募金を呼びかけた」(週刊エコノミスト)

2014-01-17 04:00:00 | 日本語・漢字

東京都の副知事時代、猪瀬氏は、尖閣諸島を購入するための募金を呼びかけた
(週刊エコノミスト2014年01月21日号 「闘論席」(佐藤優))

 「募金」とは「お金を募ること」であり、「お金を寄付すること」ではありません。しかし、上のように、後者の意味で使われることも多いようです。

 NHK放送文化研究所の「最近気になる放送用語」というページでも、この「募金」という言葉の使い方が取り上げられています。 《リンク》

 「最近気になる放送用語」には、「募金」という言葉について、「このことばの新しい意味として『お金を寄付すること』というものを認める余地もあるのではないかと思っています」と書かれており、一定の理解が示されています。

 それでも解説の最後に、「募金を呼びかけています」のような、本来は誤りである表現の言いかえが示されています。そこでは、「募金を呼びかけています」が「募金への協力を呼びかけています」と言いかえられています。


たわわな胸

2014-01-16 04:00:00 | 日本語・漢字

「今年の4月に新卒入社した水樹たま似の女性社員(推定Gカップ)が私の部署に入ってきたんですけど、おっとりしているので営業に不向きだと思ったんですよ。そんな性格だからか、あまり周囲の目線を気にしないみたいで、いつも無防備にたわわな胸の谷間を見せているんです。むしろ、こっちがセクハラにならないように目のやり場に気を使っていましたよ」 《リンク》
(日刊SPA! 「知られざる巨乳の経済効果『Gカップ新入社員の活躍で業績向上』」 2014/1/11)

たわわ【×撓】(デジタル大辞泉)
[形動][文][ナリ]実の重さなどで木の枝などがしなうさま。たわ。「枝も―に実る」

 上に引用したのは、某Web制作会社の営業部長さんが、部下の女性について述べた部分です。記事の続きによると、この女性を営業先に帯同することの効果は絶大だったそうです。

 それはそうと、上の強調部分のような、「たわわな胸」という言い方はできるのでしょうか。「たわわ」とは、辞書によると、枝がしなうさまを表す言葉です。すると、「枝」ではなくて「実」に相当する「胸」(乳房)をこの言葉で修飾して、「たわわな胸」ということはできないように思うのですが、いかがでしょうか。

《参考》道浦俊彦Time 新・ことば事情 5353「たわわ」
  ※2014/02/23追加


「トライ&エラー」

2014-01-15 04:00:00 | 日本語・漢字

[質問・ダイヤモンド]目指しているカルチャーとは具体的にどのようなものでしょうか。
[回答・東洋経済] 元々、東洋経済は自由な雰囲気の会社ですが、それをよりネットカルチャーに近づけたということですね。フラット、実力主義、多様性、トライ&エラー、横断的、集団より個人…そのような文化になるように意識しています。 
《リンク》
(ダイヤモンドオンライン 「東洋経済オンラインさん、目指すビジョンは何ですか? 佐々木紀彦編集長インタビュー 後編」 2014/1/9)

 「試行錯誤」は、「トライ&エラー」じゃなくて「トライアル&エラー」だろ、と思って辞書を引いてみました。すると、「トライアルアンドエラー」はもちろん、「トライアンドエラー」もちゃんと辞書(デジタル大辞泉、日本国語大辞典第二版)に載っていました。
※ ただし大辞林第三版では、「トライアルアンドエラー」のみが載っていました。

 さらに、Webで"トライ&エラー"と"トライアル&エラー"を検索(フレーズ検索)してみると、”トライ&エラー”のヒット件数の方がはるかに上回っていました。「トライアル&エラー」よりも「トライ&エラー」の方が広く使われているんですね。意外でした。
※ 「&」を「アンド」に替えて検索しても同様の結果になりました。

 英語ではもちろん「trial and error」です。