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消費者からは“ボロカス”生産者からは「よく言った」備蓄米放出に“反対”のJA福井県五連が1050トン入札へ
FNNプライムオンライン によるストーリー
全国のスーパーの店頭からコメが消えた「令和の米騒動」。新米が流通してもコメの価格高騰は収まらず、国は備蓄米21万トンを市場に放出する方針を決めた。
この方針に対し「生産者の安定した収入のため」と 反対の姿勢を示していたのがJA福井県五連の宮田幸一(みやた こういち : 昭和26年生まれ )会長。
だが、2月25日の定例会見では備蓄米放出に反対の姿勢は示しつつも、備蓄米1050トンを受け入れる方針を明らかにした。
いまだ品薄、高価格が続き消費者は困惑
福井市内のショッピングセンター「アル・プラザベル」を取材すると、令和の米騒動から半年ほど経ったいまも、コメ売り場には『1家族あたり1袋限り』とする張り紙が。
村中秀行食品店長は「現状はコメを発注しても入荷が少なく、供給が不安定な状況。一時期、だいぶコメの値段が上がり、以来ずっと高止まりしている」という。
備蓄米放出の報道が出て以降もコメの価格は高止まりしていて、この店ではコシヒカリの販売価格は例年の1.7倍から2倍に上がっている。
客からは「コメの値段が高い!無茶苦茶高い!5割増しぐらいになってるのと違う?」「高いから食べないようにしている。安くなったらまた買う」と困惑の声が聞かれた。
コメの円滑な流通と価格安定のため、2月、国は緊急時に限られている備蓄米21万トンを市場に放出すると発表した。
備蓄米は、国が不作や大規模災害などに備えて、毎年全国各地から毎年20万トンずつコメを買い入れ、常時100万トンを維持している。
流通や価格安定を目的とした放出するのは今回が初めてだ。
アル・プラザベルの村中秀行食品店長は「備蓄米放出でおそらく価格が下がってくると思うが、どの程度まで下がるのか、まだ情報が入っていない」と不安げだ。
備蓄米放出に“反対”し消費者から「ボロカス」
一方、
備蓄米放出について、
JA県五連の宮田幸一(みやた こういち : 昭和26年生まれ )会長は1月の会見で
「農業団体としては備蓄米放出に反対。もし足らないのであれば生産調整をしている面積を増やし、主食用米を作れる状態にして需給バランスを合わせてもらう」
と、
備蓄米放出に反対の姿勢を示していた。
しかし、25日の定例会見では
「生産者の先頭に立ってコメの価格を安定化させるのがJA福井県の狙いで、基本的には備蓄米放出に反対していかなければならないが、国が放出を決めた。
国の立場もあるので、それはそれで我々も従っていかなければならない」
と
苦渋の表情を浮かべた。
JA福井県としては、備蓄米放出に反対の姿勢は維持しつつも、国の方針に従って受け入れることを決めたというのだ。
その背景について JA福井県五連の宮田幸一(みやた こういち : 昭和26年生まれ )会長 は
「1月に備蓄米放出反対と言ったら全国から色んな反響があった。生産者からは『よく言った』と言われたが、消費者からはボロカスに言われた」
と
明かした。
3月下旬にも店頭に
放出される21万トンのうち15万トンについては、3月上旬にJAなどの集荷業者が国に入札を行い、備蓄米が引き渡される。
JA福井県では、3月初旬に最初に放出される備蓄米15万トンのうち1050トンを入札し、県内の卸業者を中心に販売する方針。
入札価格は現時点で明らかになっていないとしている。
仕入れたコメは、卸業者からスーパーなどの店へと流れ、3月下旬から4月上旬には店頭に並ぶ見通し。
今回の備蓄米放出で、安定した供給、生産者、消費者が納得する価格の安定が本当に図られるのか注目だ。
ちなみに
2025年は
昭和100年です
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米価70%高騰の裏で…自民・農林族議員がJA関連団体から1.4億円を受け取っていた《備蓄米放出遅れの核心》
「週刊文春」編集部 によるストーリ
米価の上昇が止まらない。
2025年2月21日に総務省が発表した1月の消費者物価指数では、米類の価格が前年同月比で70.9%上昇していることが明らかになった。
米価の高騰は昨夏から続いていたにもかかわらず、政府が備蓄米21万トンの放出を決定したのは 2025年2月14日のこと。「遅きに失した」と批判を集めた。
「農林族議員も農水省も、JA(農業協同組合)の顔色を窺っている。
備蓄米放出を渋ったのは、米価が下がってJAが反発するのを恐れているからです」
(元農水官僚でキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹)
JAと自民党農林族議員の「コメ癒着」
そこで「 週刊文春 」は、自民党の主要な農林族議員6名の関連政治団体の政治資金収支報告書を精査。
すると、21年から23年までの3年間で、JA関連団体からの献金やパー券収入が約1.4億円に上ることが判明した。
中でも、党や国会運営を一手に担うある政権中枢には3年間で840万円の献金やパー券収入が。
さらに、
元農水大臣には3年間で3065万円、
元農水政務官には同じく9199万円が渡っていた。
収支報告書から明らかになった、JAと自民党農林族議員の「コメ癒着」。多額の献金を受けているのは誰なのか――。
2月26日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」ならびに2月27日(木)発売の「週刊文春」では、
これらの農林族議員の実名に加え、
そのうちの1人が語った備蓄米放出遅れに対する見解や、
石破茂首相がリーダーシップを発揮できない理由、
国会での参考人招致が行われる旧安倍派の元会計責任者を直撃した模様などを詳報している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年3月6日号)
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だからコメの値段が下がらない、下げるつもりもない…JA農協のために備蓄米を利用する農水省の呆れた実態
コメ価格の高騰を受けて、農林水産省は政府備蓄米を条件付きで販売できるようにする考えを示した。
これから価格は下がるのだろうか。
キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「将来的に国が買い戻す条件付きでJAなどの集荷業者に販売するとなっている。
放出してもいずれ市場から引き揚げるのであれば、コメの供給量は増えない。
これでは米価を引き下げる効果はなく、国民は高いコメを買い続けることになる」という――。
いまのコメ価格は史上最高水準
新米が出回ってもコメの価格が高止まりしている。
このため、江藤拓農林水産大臣は、1月24日閣議後の記者会見で政府備蓄米を条件付きで販売できるようにする考えを明らかにした。
JA農協が卸売業者に販売する「相対価格」と呼ばれる米価(2024年産)は、60キログラム(一俵)当たり2万4665円(24年12月)にまで高騰している。
高米価を批判された食糧管理制度時代の米価、なかでも冷害による大不作で平成の米騒動と言われた際の米価をも上回る過去最高水準だ(1993年産の不作を反映した94年の政府買い入れ価格は1万6266円、自主流通米価格は2万3607円)。
昨年夏にコメ不足が問題になる以前から、農林水産省とJA農協が農家に減反を強化するよう指導していた。
このため、
2021年産1万2804円、
22年産1万3844円、
23年産1万5306円となり、
10年ぶりの高米価となっていた。
それから、
現在の水準に高騰するまで、農林水産省は何も対策を講じてこなかった。
「政府買入価格」とは、食糧管理制度(1995年廃止)によって政府が農家から農協を通じて買い入れる際の価格(最高値は95年の2万0976円)、「自主流通米」とは、政府を通さないで農協が卸売業者に販売するもので、政府米よりも品質の良い米(したがって政府米の価格よりも高い)である。
コシヒカリなどの良質米はほとんど自主流通米として流通した。
その価格は、「全国米穀取引・価格形成センター」で値決めされたものである。
2005年、全農秋田県本部により、このセンターを利用して子会社である販売業者との間で架空取引を行い、米価を高く操作した事件が起きた。
その後、JA農協は同センターを利用するのをやめ、コメの高い集荷力を利用して米価に影響力を行使するため、卸売業者との相対取引に移行した。
このため、同センターの利用は激減し、2011年3月廃止された。
しかし、同センターに関する規定は、今でも食糧法(「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」)に残っている(第18条から28条)。
農家にとってはリスクヘッジの機能を持つ先物市場も、2005年から商品取引所により創設の要請が行われてきたにもかかわらず、価格操作ができなくなるJA農協の反対により実現せず、24年8月になってコメ指数先物に限り認められることになった。
特定の産地銘柄の先物取引は認められていない。野菜や果物については、卸売市場で公正な価格形成が行われる。しかし、主食のコメについては公正で適正な価格形成を行う市場は存在しない。
米価を上げたい農政トライアングル
今回の備蓄米の放出も、農林水産省が自発的に行ったとは思えない。
そうなら、同省はJA農協や自民党農林族の反感を買うからだ。
農林水産大臣は記者会見で、
「生産者の方々にとっては、やはり備蓄米を出すことになれば、せっかく米価が高いところまで上がってきて、生産コストを賄え、将来に明るい兆しができた。
そこで、国が在庫を出すことについては、反発もあるかもしれません」
と
述べている。
農林水産省、JA農協、自民党農林族の農政トライアングルは、現在の異常な高米価を望ましいと考えているのだ。
価格が上がると、零細な兼業農家でも利益が出るようになる。
兼業農家の収入(給与所得を含む)は、JAバンクに預けられ、JA農協の繁栄を支えてきた。
しかしこのことによって、農地の集約は進まず、非効率な兼業農家が残留し、国民は高いコメを買い続けることになっている(参考記事〈「農家の高齢化で、日本人に餓死の危機」はウソである…専門家が「むしろ農家はもっと減らすべき」と説くワケ〉)。
国民・消費者は、彼らの眼中にはない。
備蓄米制度は国民のためになっていない
備蓄米は毎年20万トンずつ主食用米(1万5000円/60kg)として買い入れ、
放出しなければ5年後にエサ米(1000円/60kg)として処分する。
年間500億円、100万トンの備蓄なのでトータル2500億円の財政負担が生じる。
負担しているのは国民・納税者である。
しかし、米価が高騰しても備蓄米は放出されない。
国民・納税者は消費者であるのに備蓄米制度の利益を受けない。
それだけではない。
実際には、備蓄米は毎年20万トン市場から隔離することで米価維持の役割を果たしているのだ。
利益を得るのはJA農協である。
しかし、国民・消費者は備蓄米制度があるために高い米価を払わされているのだ。
こんなことを許していいのだろうか。